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高齢者の患者さんに接する機会のある薬剤師は肌で感じているかと思いますが、高齢になると服用する薬が増えていく傾向にあります。中には「こんなに飲んでいて大丈夫なの?」と、心配になってしまうほどたくさんの服用をしている患者さんがいます(僕が調剤している処方箋では内服16種類が最高です)。 2018年度調剤報酬では、医師に対し減薬を提案し、それが減薬につながった場合に算定できる「服用薬剤調整支援料」が新設され、処方に対する薬剤師の関与が期待されています。
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ポリファーマシーはなぜ問題なのか
現在、日本の人口における高齢者(65歳以上)の割合は27%を超えており、超高齢化社会を迎えています。医療費の伸びも高齢者、特に75歳以上で顕著です。
高齢者における医療費が高額になる要因の1つとして、多剤併用、すなわちポリファーマシーがあります。加齢に伴い疾患が増えることで、次第に処方される薬の量が増えていき、ポリファーマシーとなる傾向があります。
また、ある薬剤による有害事象(副作用)であっても、そのことに気づかず、その症状を抑えようと別の薬が処方されること(処方カスケード)もあります。
こうしたポリファーマシーの高齢者では、薬剤の相互作用や高齢者の生理機能や代謝能の低下などにより、有害事象の発生頻度が高くなるのです。
さらに、服用薬剤が増えたり服用回数が増えたりすると、飲み忘れや飲み間違いといったアドヒアランスの低下につながります。
問題となるポリファーマシーとは
ポリファーマシーは、一般に「5~6種類以上の薬を服用している状態」を目安として定義されています。
しかし、ポリファーマシーはあくまで「状態」であり、それだけですぐに「良くない」と判断することは早計です。薬剤数が多くても、医師の処方意図がしっかりとしており、患者さんのアドヒアランスが良好で、効果が十分に得られ、かつ、有害事象が起きていない状態であれば、すぐに介入する必要性は低いと考えられます。
一方で、問題となるポリファーマシーは、
- 有害事象が発現している、または有害事象が予見される
- 患者さんのアドヒアランスに影響がある(飲み残し・飲み間違いがある)
- 処方意図が不明、かつ、効果が不明である薬剤がある
などが考えられます。
こうした問題点の洗い出しや、減薬の提案をするためのツールとして、日本老年医学会が発刊した「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」などを参考とすると良いでしょう。
「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」は、日本老年医学会のウェブサイトからPDFでダウンロードすることが可能です。
「服用薬剤調整支援料」の算定要件とは
こうしたポリファーマシーを解消するための診療報酬として、前回の2016年度改定では医科の点数に、6種類以上の内服薬を2種類以上減薬した場合に算定できる「薬剤総合評価調整管理料」(250点)が新設されました。
そして、今回の2018年度調剤報酬改定では、同様の薬剤師の取り組みに対し「服用薬剤調整支援料」(125点)が新設されました。
「服用薬剤調整支援料」は、6種類以上の内服薬を処方されている患者で、薬剤師が文書を用いて処方医に減薬の提案を行い、2種類以上が減薬された場合に、月1回まで算定できます。
この加算の算定にあたっては、
- 内服開始後4週間以上経過した内服薬6種類以上が対象
- 内服薬の種類数が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続した場合
- そのうち少なくとも1種類は薬剤師による提案したものである
- 同一薬効分類の有効成分を含む配合剤及び内服薬以外の薬剤への変更を薬剤師が提案したことで減少した場合は、減少した種類数に含めない
- 2種類以上を同時に減薬する必要はない
という要件を満たす必要があります。
加算ありきで減算を進めないことが肝心
この「服用薬剤調整支援料」は、薬剤師が「減薬提案」という処方への関与に対して加算されるため、薬局薬剤師の評価につながると期待されています。
ただし、加算のためには2剤以上の減薬が必要であるため、加算を意識するあまり、医師の処方意図や患者さんの状態・要望を軽視した減薬を強引に提案しないよう注意が必要です。高齢者では生理機能が低下しており、減薬により病態の急激な変化が起こることがあるからです。
また、有害事象が起きているからといって、抗不安薬や睡眠薬、鎮痛薬など、患者さんが「必要だ」と感じている薬剤を減薬すると、患者さんの不安や不満につながってしまうことがあります。
医師の処方の意図や患者さんの意向、家族や介護者の意見などを踏まえながら、慎重に減薬の提案をしていくことがポイントだと言えます。
医師や患者さんとの信頼関係を築きながら、薬学的判断に基づいた適切な減薬提案を行い、薬局薬剤師の大きな役割を果たしていきたいですね。
・参考文献:高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015(日本老年医学会)
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