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この記事の目次
こんにちは、ライターの田中です。薬剤師の皆さん、昨今『かかりつけ薬剤師』のあり方が見直されはじめているのはご存知ですか?
平成27年に厚生労働省によって策定・公表された『患者のための薬局ビジョン』。
今後少子高齢化が更に進んでいく中で、地域医療の充実が目下の課題となっていきます。
患者さんが自分の住んでいる地域で安心して医療・介護を受けられる環境を作っていくために、ビジョンでは薬剤師の役割と機能があらためて示されました。
今回は地域を支える『かかりつけ薬剤師』のあり方について、日本薬剤師会副会長の田尻副会長にお話をお伺いしました。
<お話をして下さった方>
田尻 泰典(たじり・やすのり)
公益社団法人 日本薬剤師会 副会長 熊本県出身、福岡県在住。
北九州市でオレンジ薬局を開局。
1.かかりつけ薬剤師・薬局の意義について
―かかりつけ薬剤師・薬局の意義について教えてください。
田尻副会長:昨今は薬物医療が高度化し、多種多様の薬が処方されています。
使用方法が複雑化し、そういう状況の変化に伴い、当然患者さんにとって薬剤師の役割がより求められるようになっていきます。
患者さんが信頼できる薬剤師に出会い、その薬剤師に気軽に相談にし、薬の治療を受ける。”かかりつけ”ってそういうことですね。
―それは、私たちにとって本当にありがたいですね!
ただし、ビジョンで示された内容とこれまで求められてきた薬剤師のあり方に大きな差があるわけではありません。
今までずっと患者さんに寄り添ってきたかかりつけ薬剤師もたくさんいます。
むしろそういう人たちの活躍があったからこそ、薬剤師の必要性が問われ、こうしたビジョンができたと思っています。
―私は体調を崩しやすい子供だったのですが、いつも同じ薬剤師さんに薬をもらっていたんです。処方箋を持って薬局に行くたびに「今日はどうしたの?」「あのお薬どうだった?」と声をかけてもらったことを覚えています。
その人が田中さんのかかりつけ薬剤師だったんですね。
―意識はしていませんでしたが、そうなのかもしれません。なんだか今、あの時のほっとするような温かい気持ちを思い出しました。
医療の場は、弱っている患者さんにとって温かい場所じゃないといけませんからね。
―弱っている人にとって、薬剤師さんの優しさや思いやりが何よりの薬かもしれませんね。
2.かかりつけ薬剤師に本当に必要なもの
―薬剤師が”かかりつけ”としての役割を発揮するために必要なことはなんですか?
それは、やはり”愛”でしょう(笑)。
―”愛”、ですか!
はい。さきほど、医療の場は患者さんにとって温かい場所であるべきだとお話しましたが、それは医療を提供するこちら側にとっても同じことなのです。
その患者さんの”目線”で、”立場”で、”理解できる言葉”で寄り添う。
そういうことを本当に成し遂げるには、患者さんへの愛がないとできません。
私は、医療人は皆一様に人が好きで、だからこそこの道に入ったと信じています。だから、必要なことというよりは当たり前のことなのかもしれませんが。
もっと根本的な話になりますが、薬剤師だって医師だって、医療に関わる全ての人は、何のためにその職についているのかをもっと考えてほしいんです。
割に合うからその仕事をするわけではなく、人が好きで、人を救いたいから動くんです。
医療人には、常にそういった覚悟と、温かい気持ちを持っていてほしい。
―とても良いお話ですね。
薬剤師であれば患者さん一人ひとりを大切にしてほしいです。
患者さんがどんな症状で、どんな薬をのんだのかを把握し、愛を持って継続的に気にかけていってほしいのです。
それが薬剤師の役目だと思いますし、そこまでしないと患者さんも安心して自分の人生を預けることができないですよね。
―患者さんの人生と一緒に歩んでいくのがかかりつけ薬剤師だと。
そうですね。少なくとも私の薬局では、基本的に同じ薬剤師がずっと同店舗で働きます。
幼少期から、学生になり、大学を卒業して社会人になる。そうやって、患者さん一人ひとりの人生を一緒に歩んでいくことができるのは、かかりつけ薬剤師の特権だと思いますね。
そして、もちろん患者さんが老いていく過程も共にするわけです。
私たち薬剤師は、患者さんがこちらを信頼して自分の命を預けてくれていることを忘れてはなりません。
求められる薬剤師像はさまざま
ただ、そうは言っても薬局によって薬剤師のあるべき姿は変わってくるのではないかとも思います。
例えば都内の駅前にある薬局と、地方の町に根付いた薬局では客層も全く異なりますし、求められるものは必ずしも同じではないはずです。
そういう風に、”かかりつけ”のあり方を柔軟に考えていく必要はあると思います。
3.かかりつけ薬剤師・薬局を必要としている患者像について
―かかりつけ薬剤師・薬局を必要としている患者さんは、主にどんな人なんでしょう?
ぱっと目に浮かぶのは、主に高齢者。特に、多剤服薬している高齢者です。
ただ、本当にそれだけでしょうか?
ちょうど昨日、薬局で数時間接客をしていた時に、赤ん坊を抱えたお母さんが来店されたんです。
初めてのお子さんだったようで、詳しい薬の説明をしてもどこか不安そうでした。
きっと薬の効能や使用方法について理解はしていても、実際に帰宅して一人で看病するとなったら心細いでしょうね。
私はそのお母さんに「分からないことがあったらすぐに電話するんだよ」と言いました。
―薬を服用する人だけでなく、お子さんに薬をのませる親御さんにとってもありがたい存在なんですね。
だから、高齢者の方に限らずどなたでも薬剤師を頼ってほしいですね。薬って使う時になってはじめていろいろな疑問や問題が発生するんです。
そこを解決してあげるのが薬剤師の仕事です。薬局から患者さんが出ていくのを見送るまでが仕事じゃないんです。
4.これからの薬剤師の目指す姿について 本番はこれから
ーそれでは、今後薬剤師が目指す姿についてお話を聞かせてください。
2025年以降、少子高齢化が著しく進んでいくと予想されています。そこでとても大切になるのが地域包括ケアシステムです。
『患者のための薬局ビジョン』に詳しく記載されているのですが、これは住民が地域で暮らしながら医療と介護を安心して受けられるための仕組みづくりです。
―ビジョンを拝見しました。私達が、自分の町で安心して生き生きと暮らしていくために必要な、とても大切な仕組みだと思いました。
その国民にとって大切なシステムの幹になる重要なポジションが薬剤師だと思っています。期待しているのは、若い世代の薬剤師が高度な医療に関与し、患者さんを支えていくことです。
今後どんどん病床数が減少し、自宅療養となるケースが増えてくるでしょう。薬剤師は、医療業種の中でも特に患者さんに近い立場だと思います。
医師に言いづらいことを薬剤師には気軽に話してくれる患者さんはたくさんいます。
私たち薬剤師にできることはたくさんあります。本番はこれからですね。
5.最後に 親が子を想うような気持で患者さんに接する
―最後に、田尻副会長が仕事をしているうえで心がけていることはありますか?
当たり前のことですが、治らない病気はあります。痛いときは痛い。効かないときは効かない。
その時、何をしてあげられるかをいつも考えています。”寄り添う”という言葉が医療の場面でよく出てきます。
ただ、この言葉をはき違えている人は多いと思います。優しい言葉をかけるだけじゃなく、時には厳しいことも言わないといけないんです。
例えば、薬を決められた分飲まなかったりしたら、それは患者さんのためにも良くないですよね。
厳しくすることまで含めて、”寄り添う”だし、優しさなんだと私は思っています。
薬剤師が患者さんを想う気持ちは、親が子を想う気持ちと同じかもしれませんね。子育ては真剣勝負ですよね。子を想うが故に厳しくなることもある。それと一緒です。
田尻副会長のお話を聞いて、自分にはもっと頼ってもよい存在が身近にいたんだなと気づかされました。
幼少期、風邪をひくといつも近所の薬剤師さんに頼っていたように、大人になった今も、『かかりつけ薬剤師』という心強い味方を、自分の生活の中に置いてみてもよいのかもしれないと思いました。
更なる少子高齢化を迎える社会にとって、そして地域で暮らす住民にとって大切な存在になっていくであろう『かかりつけ薬剤師』。今後の活躍、大いに期待です。
公益社団法人日本薬剤師会について
公益社団法人日本薬剤師会は都道府県を活動区域とする薬剤師会との連携のもと、薬剤師の倫理の向上及び学術の振興を図り、 薬学及び薬業の進歩発展を図ることにより、国民の健康な生活の確保・向上に寄与することを目的とした団体です。
かかりつけ薬剤師・薬局について詳しく知りたい方はこちら
オレンジ薬局
住所:〒802-0051 北九州市小倉北区黒原3-20-9
営業時間: 9:00~19:00/土曜9:00~13:00
定休日: 日曜日・祭日
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