ミライトーチMedia 薬剤師

社会に貢献できる薬剤師を育てたい。2021年に薬学部を新設する湘南医療大学の想いとは

湘南医療大学キャンパス

社会のニーズが多様化する今、薬剤師の職域では医師や看護師といった多職種との連携・協働が推進され、医療への幅広い知識が求められるようになってきています。

そんな時代に対応できる薬剤師の育成をモットーとし、2021年に薬学部を設立する湘南医療大学。

設立の背景にはどのような想いがあるのでしょうか。今回は、薬学部設置準備室の鈴木勉さん、加賀谷肇さん、石橋芳雄さん、定本清美さんに詳しくお聞きしました。

4名の詳しい経歴はこちらをご覧ください。

2025年10月は転職を冷静に考えやすい月

  • 求人数はやや落ち着くが、競争率も低いため狙い目
  • 繁忙期ではないため、引継ぎや職場になじむ準備がしやすい
  • 年末までに転職したい薬剤師にとって、計画的に動きやすいタイミング

※当サイトは口コミの一部を掲載しています。

1.ふれあいグループだからできる薬学教育への貢献。薬学部設置の背景とは

ー薬学部医療薬学科を設置するに至った背景を教えてください

まず神奈川県内に薬学部が1校しかないという危機感がありました。薬剤師を目指す学生の需要に、薬学部の数が間に合っていない状況です。

当然、薬学部志望の学生は東京など県外の大学に通うことになりますから「地元で薬学を学びたい」という学生にとって便利な環境とはいえませんでした。

そこで本学の母体である「ふれあいグループ」保有の17の病院と51の保険医療福祉施設を活かして薬学部の設立に至りました。これにより県内外の薬学教育にも寄与できるのではと考えています。

また本学は、グループ内の病院と連携することで円滑なコミュニケーションが可能です。 実習時には教員も現場に同行し、学生とともに実習の指導にあたります。現場で教員が背中を見せながら学生に指導できるのは、ほかの大学にない強みだといえるでしょう。

ーほかにも何か特長はありますか?

昨今“社会が求める薬剤師像”と“大学が育成すべき薬剤師”に乖離があると考えています。

一般的に、薬剤師に対して「患者さまと向かい合う」イメージを持たれている方がほとんどかと思いますが、本学の薬学部が育てるべき薬剤師とは「患者に寄り添う」ことができる人材と考えています。

これから社会が求める薬剤師の養成には、多職種と連携した実践的な教育が必要です。しかし、医療系の大学で、医学部や看護学部、薬学部、リハビリテーション学部を併設する大学は少ないという現状があります。

本学には保健医療学部に看護学科、リハビリテーション学科があります。これらと連携し一貫した教育を受けることで、より実践的にコミュニケーションスキルなど様々な素養を身につけてもらいたいと考えています。

2.多岐に活躍できる薬剤師を育てるために。学生の視野を広げる教育体制

ー湘南医療大学薬学部ならではの特色を教えてください

もっとも特徴的なのは、臨床一貫型連携教育という新しい教育体制をとっているところです。

「医療人としての素養を身につけるための環境」を実現するための体制を整備しています。

もともと薬学部が6年制になった目的は「実務実習をとおして、臨床に強い薬剤師をつくる」ことだったと思います。本学ではこの当初の目的に立ち返り、“臨床に強い薬剤師”を育てるために幅広いカリキュラム・さまざまな学部・学科と連携した教育体制を整えています。

臨床一貫型連携教育では、臨床教育による幅広い知識の習得はもちろん、実務実習で看護学科やリハビリテーション学科と連携することで多職種との相互理解を促します。
基礎的な教育と臨床的な教育を同時に行なう「臨床一貫型」にすることで、現場で十分活躍できる薬剤師を育てられると考えています。

ほかにも、「オープンラボ」という7つのラボ・17の研究室・4つの研究分野が交差する研究環境を整えている点も特徴に挙げられるでしょう。

今までは各研究室・分野ごとに完全に分かれて研究を行っており、異分野の研究内容を知るのは難しい状況でした。
オープンラボでは研究室を完全に隔離せずに教育スペースや実験スペース、交流スペースといった機能別にスペースを区分けしているので、分野が異なる研究者同士で交流を深め、自由で創造的な研究をできるようにしています。

体制が完全に整っているわけではないものの、新たな議論や研究に繋がり、研究精神旺盛な薬剤師を輩出できればいいと考えています。

3.“社会に貢献できる医療人”を育てる湘南医療大学が描く学生像

ーどのような学生に薬学部に入部してほしいと考えていますか

学習意欲の高い方、使命感を持っている方、向上心のある学生に来てほしいです。

本学の理念である「社会に寄与・貢献できる医療人の養成」実現のためにも使命感や目的意識は重要視したいです。

本学だからこそ実現できる他学部と連携した臨床教育は、卒業後どんな場所でも活躍する力を養えると考えています。

ー最後に、薬学部に入部したい学生へメッセージをお願いします

薬学部を卒業したあとに働く薬局や病院は、薬剤師だけでなく医師や看護師とも連携が求められる、いわば“社会の縮図”のような場所だと考えています。

6年間で臨床教育や研究、実務実習の経験を積むことで、将来自立した人生を歩めるように、そして“社会に貢献できる医療人”になっていただけると考えています。

■薬学部設置準備室4名の紹介

鈴木 勉(すずき・つとむ)さん

  • ・経歴

  • 星薬科大学卒業、同大学院修了、星薬科大学薬品毒性学教室教授、名誉教授、ミネソタ大学医学部留学、厚労省薬事食品衛生審議会委員、WHO薬物依存専門委員会委員、湘南医療大学薬学部設置準備室特任教授

  • ・専門分野

  • 医療用麻薬の適正使用に関する研究

加賀谷 肇(かがや・はじめ)さん

  • ・経歴

  • 明治薬科大学薬学部製薬学科卒業、博士(薬学)、北里大学病院薬剤部勤務、米国ミシガン大学病院・ケンタッキー大学病院にて臨床研修留学、済生会横浜市南部病院薬剤部長、神奈川県病院薬剤師会会長、明治薬科大学臨床薬剤学研究室教授、湘南医療大学薬学部設置準備室特任教授

  • ・専門分野

  • 臨床薬剤学、緩和医療薬学

石橋 芳雄(いしばし・よしお)さん

  • ・経歴

  • 明治薬科大学大学院修士課程修了、医学博士、順天堂大学医学部生理化学研究室助手、明治薬科大学微生物学教室講師、米国スタンフォード大学医学部博士研究員、明治薬科大学免疫生物学教室准教授、明治薬科大学免疫制御学研究室教授、湘南医療大学薬学部設置準備室特任教授

  • ・専門分野

  • 微生物学・免疫学

定本 清美(さだもと・きよみ)さん

  • ・経歴

  • 東邦大学薬学部卒業、薬剤師、東邦大学医学部卒業、大学院卒業、医学博士、英バーミンガム大学 master of social science Health Management卒、内科系リウマチ科診療、産業医、湘南医療大学薬学部設置準備室特任教授

  • ・専門分野

  • 薬学教育、医療系大学院教育

 
湘南医療大学薬学部の公式HPはこちら

ミライトーチMediaとは

転職やキャリアに関わるコンテンツを通じ、「今の仕事に悩む人」がより自分らしく働けるようにサポートしているメディアです。

不安のない転職活動や理想の転職先探しに役立ててもらうため、転職者や人材業界関係者へのインタビュー調査はもちろん、厚生労働省などの公的データに基づいたリアルで正しい情報を発信し続けています。

ミライトーチMedia
ミライトーチMedia-関わるヒトすべてをポジティブに-
さまざまな業界で「今の仕事に悩む人」がより自分らしく働くためのサポートをするメディアです。
詳しくはこちら

関連記事

城西大学薬学部が「栄養・薬学アドバンストコース」に込めた想いと…

薬のみにとどまらず、栄養支援の知識も有した薬剤師の育成を目指されている城西大学薬学部。今回は城西大学薬学部に2020年度に新設された「栄養・薬学アドバンストコース」に関して、城西大学薬学部 薬学…

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

薬剤師としてのスキルアップだけでなく、人と人のつながりを大切に…

現場で活躍する薬剤師や医師による講義を、オンラインで実施している北海道科学大学薬学部。今回は北海道科学大学薬学部の「生涯研修認定制度」について、北海道科学大学の今…

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

地域医療に貢献する薬剤師を養成するために。大分大学の取り組みとは

薬剤師の育成・教育・専門性向上の支援を通じて、地域医療への貢献を目指す大分大学医学部附属病院薬剤部。 具体的な取り組みについて、薬剤部長の伊東さんに詳しいお話を伺いました。

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

健康情報をすべての人に。『ヘルス・グラフィックマガジン』のこだ…

調剤薬局は、対人業務の重要性の高まりとともに「薬をもらうところ」から「健康相談ができる場所」に変化しつつあります。 そんななか、アイセイ薬局では従来の調剤薬局の役割から一歩踏み込んだ取り組…

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

デジタル化への転換で患者さまのクオリティオブライフを追求。クオ…

コロナ禍により薬局業界が大きな転換期をむかえています。 クオールでは、多様化する患者さまのニーズに応えるためデジタル化の取り組みを開始しました。 今回は新たな取り組みの「デジタルAI戦…

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

苦労の先に養われる「真実を見抜く力」。熊本大学薬学部の学部長に…

薬学的思考力と倫理観を備えた、創造性豊かな人材育成を目指す熊本大学薬学部。今回は社会人薬剤師が大学院で学ぶ意義について、熊本大学薬学部の学部長 甲斐広文さんにお話を伺いました。

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

オンライン診療に新たなカタチを。凸版印刷が提供する処方せん薬宅…

凸版印刷株式会社の100%子会社、おかぴファーマシーシステム株式会社が2020年3月にリリースした処方せん薬宅配サービス「とどくすり」。今回はサービスの特徴や開発に至った背景、そして今後の展望を同社…

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

『Musubi』が薬剤師と患者さんのコミュニケーションを手助けしてく…

東京都板橋区にある「りおん薬局 志村坂店」は、在宅訪問医療を中心におこなっている地域密着型の調剤薬局です。「りおん薬局 志村坂店」で働く薬剤師の方々は、患者さんとのコミュニケーションを何よりも大切に…

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

薬剤師に新たな価値を!電子薬歴システム「Musubi」に込められた開…

「服薬指導で話したことを、ひとつひとつ思い出して薬歴に記録するのは非効率」。そう話すのは、株式会社カケハシが開発・提供している電子薬歴システム「Musubi」のプロダクトオーナーを務める永瀬彩夏(ながせ…

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

薬剤師とセラピストの二足のわらじで職種にとらわれない働き方を提唱

働き方改革が叫ばれる昨今、薬剤師業界でもパラレルキャリアを目指す人が増えています。 今回お話を伺った佐藤澄江(さとう・すみえ)さんもそのひとりです。漢方薬剤師とドッグセラピストの二足のわら…

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

過去の知識やスキルは関係ない。「フローラ薬局」が大切にしている…

本日は、茨城県水戸市にあるかかりつけ薬局「フローラ薬局 河和田店」にお邪魔しています。「患者さんにとってより身近に感じられる存在でありたい」と話す同局の代表、篠原久仁子(しのはら・くにこ)さんが、…

  • 🕒
  • 2025.09.18更新

漢方薬剤師が「もうやんカレー」の香辛料を監修!漢方に秘められた…

こんにちは。ライターの渡辺です。今日は、東京都新宿区にある「漢方の氣生」 にお邪魔しています。「漢方の氣生(き…

  • 🕒
  • 2025.09.18更新
目次