HOP!薬剤師

資格の取得はスタート地点。研さんを重ねて正しい情報を提供する「NR・サプリメントアドバイザー」とは

日本臨床栄養協会の講義

臨床の立場から栄養について考え、健康の維持・増進への貢献を目指す日本臨床栄養協会。
今回は、本協会に所属し「NR・サプリメントアドバイザー」として活動する上坂さんにお話を伺いました。

上坂 麻樹(うえさか あさき)さん

宗教法人 神戸アドベンチスト病院 薬剤科

神戸薬科大学を卒業後、保険薬局で11年勤務し、処方箋調剤をはじめ、在宅業務や老人ホームの調剤を経験。延べ3社で管理薬剤師。
2018年より現職。NR・サプリメントアドバイザー,公認スポーツファーマシスト,JPEC認定薬剤師,認定実務実習指導薬剤師,介護支援専門員。

現在は病院薬剤師として、主に入院患者の調剤・服薬指導、病棟業務、麻薬の管理、抗がん剤のミキシング、在庫管理などの業務を担当。
患者さん向けの健康プログラムで薬について情報提供することもしばしば。

活きた栄養学の確立を目指して。日頃の自己研さんが重要

ー日本臨床栄養協会はどのような協会なのでしょうか

本協会では、臨床栄養に関わるさまざまな活動を実施しています。 主に、協会に所属している医師や薬剤師、栄養士の健康食品や保険機能食品の知識を高める研修会の開催、情報誌の発行などを行なっています。
また一般の方々へ正しい情報を提供することも重要な活動です。

日本臨床栄養協会のブース

活動内容は個人によりさまざまだと思いますが、私は本協会で「NR・サプリメントアドバイザー」の資格を取得して病院薬剤師の業務に活かしています。 院内の患者さんからサプリメントの相談を受けたり、知見をもとに雑誌に寄稿をしたりと、色々な場面で健康食品に関する情報提供を行なっています。

ー「NR・サプリメントアドバイザー」について詳しく教えてください

元々、NRとサプリメントアドバイザーは別の資格だったんです。NRは栄養情報担当者といい、国立健康・栄養研究所が認定する資格でした。それが政権交代とともに事業仕分けされ、本協会が認定するサプリメントアドバイザーと統合されたという経緯があります。

この資格を取得する一番のメリットは、やはり患者さんや医療従事者に正しい健康食品に関する情報を提供できることでしょうか。

また資格を維持するために単位制の研修を受けるので、普段は学ばないような知識やトレンドを継続的に学習可能です。 研修によって知らなかった知識を吸収できるので、良い刺激になるなという実感がありますね。「こういう勉強も必要なんだな」といった意識の向上にもつながります。

ー「一度資格を取得してそれで終わり」というわけではないんですね

そうですね。情報はどんどん変わっていきますし、情報量も増えていきます。たとえば2015年から始まった「機能性表示食品」の登場は、私が資格を取得したあとの話です。この場合、資格を取得したというだけでは機能性表示食品に関する知識は身につきませんよね。
日頃から情報をキャッチし、勉強を重ねるようにしています。

病院や調剤薬局、幅広い場面で活きる知識

ー「NR・サプリメントアドバイザー」の資格が活きる場面があれば教えてください

特定保険食品や機能性食品などさまざまな食品がありますが、医療従事者でもそれらの違いが分からない方が多いと感じています。 患者さんも、薬の代わりにサプリメントや健康食品を活用するという方もいます。 そういった方々に向けてお話をする際に、やはり知識があると全然違いますし、資格が役に立つなと感じますね。

また病院薬剤師として働くなかで、看護師さんなどに健康食品に関する質問をされる場面が結構多いんです。たとえば「患者さんが普段服用しているサプリメントや健康食品があるが、継続使用しても大丈夫なのか」などですね。 こういった質問に対し、知識をもとに根拠に基づいた情報を提供できます。

健康食品に関する知識が豊富な病院スタッフは少ないので、資格を活かして病院全体のケアの質向上に貢献できれば嬉しいですね。

ー病院では連携をとりながら患者さんをサポートされているんですね

普段からコミュニケーションを取る場面は非常に多いです。私は調剤薬局を10年経験したのち転職して病院は3年目ですが、看護師さんなど他職種との連携はしやすいなと感じます。

ー調剤薬局では資格をどのように活用されていたのでしょうか?

薬局薬剤師は患者さんと近い位置にいるので、薬の効能や飲み合わせに関する質問・相談を受けるケースがとても多かったですね。

健康食品のなかには、明確な根拠がなくメーカーが効果を謳っているだけの商品もよくあるんです。 根拠が示されている商品もありますが、それにもレベルがあります。「誰かがこう言っていた」では当然根拠としては不十分で、実験や検証に基づいた論文などを検討し、正しい情報かどうかを確認することが必要なんです。

こういった商品についての相談を受けたり、服用している薬との飲み合わせについてアドバイスをしていました。

患者さんに近い立場で、正しい栄養指導を

ー最後に、この記事を読む薬剤師にメッセージをお願いします

薬剤師は健康食品に関する相談を受けるケースがありますよね。 その際、正しく情報提供ができず歯がゆい思いをすることもあるはずです。

「正しい情報を患者さんに伝え、健康的な生活に貢献したい」という気持ちがあれば、資格取得に挑戦してもいいのではないでしょうか。 勉強する機会が得られますし、薬剤師としての信用度も上がります。私としても仲間が増えるのは嬉しいですね。

「栄養」に関しては栄養士が専門ですが、一般の方々はなかなか会える存在ではありません。しかし薬剤師は病院や調剤薬局で気軽に会える身近な存在です。だからこそ患者さんへの栄養指導が期待されていると思うんです。

そんな期待に応えられる薬剤師が増えれば、薬剤師全体の評価も上がっていくのではないでしょうか。

日本臨床栄養協会の公式ホームページはこちら
HOP!ナビ
HOP!ナビ-関わるヒトすべてをポジティブに-
さまざまな業界で「今の仕事に悩む人」がより自分らしく働くためのサポートをするメディアです。
詳しくはこちら

関連記事

健康情報をすべての人に。『ヘルス・グラフィックマガジン』のこだ…

調剤薬局は、対人業務の重要性の高まりとともに「薬をもらうところ」から「健康相談ができる場所」に変化しつつあります。 そんななか、アイセイ薬局では従来の調剤薬局の役割から一歩踏み込んだ取り組…

  • 🕒
  • 2020.12.21更新

緊急性と安全性の両立を。地域医療においてベルランド総合病院が目…

高度急性期病院として、地域医療に貢献するベルランド総合病院。 今回は同院の薬剤部で活躍する薬剤師の皆さんにお話を伺いました。 ▽取材にご協力いただいた方々 ■小泉 …

  • 🕒
  • 2020.12.09更新

「コロナ禍でようやく理解された」月刊『最新医療経営 フェイズ・ス…

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、医療機関は患者数・処方せん枚数の激減といった深刻な影響を受けています。 厳しい経営に頭を悩ませる医療関係者も多いのではないでしょうか。 そこで今回…

  • 🕒
  • 2020.12.03更新

デジタル化への転換で患者さまのクオリティオブライフを追求。クオ…

コロナ禍により薬局業界が大きな転換期をむかえています。 クオールでは、多様化する患者さまのニーズに応えるためデジタル化の取り組みを開始しました。 今回は新たな取り組みの「デジタルAI戦…

  • 🕒
  • 2020.12.03更新

「Lehmannプログラム」の導入に込められた想いとは。京都薬科大学が…

愛学躬行(あいがくきゅうこう)の精神を掲げ、多領域で活躍できる人材の育成を志す京都薬科大学。 今回は2020年度からスタートした社会人向け年間プログラム「Lehmannプログラム」について本学の学長、後藤直正…

  • 🕒
  • 2020.11.11更新

基礎研究・臨床・英語力の3本柱で薬剤師を育成。近畿大学薬学研究科…

多様な薬学領域で活躍できる薬剤師を輩出する近畿大大学院薬学研究科。今回は大学院のコースのひとつである「地域医療薬学講座」について、本学の川畑教授にお話を伺いました。 …

  • 🕒
  • 2020.11.11更新

苦労の先に養われる「真実を見抜く力」。熊本大学薬学部の学部長に…

薬学的思考力と倫理観を備えた、創造性豊かな人材育成を目指す熊本大学薬学部。今回は社会人薬剤師が大学院で学ぶ意義について、熊本大学薬学部の学部長 甲斐広文さんにお話を伺いました。

  • 🕒
  • 2020.11.11更新

独自取材!患者目線の薬局経営・東京メディエールが描く地域の薬局

こんにちは!「HOP!」の編集担当・与那覇です。最近、「かかりつけ薬局」や「かかりつけ薬剤師」という言葉を耳にする機会がずいぶん増えましたよね。そこでHOP!編集部では、都内で21店舗の薬局を経営する東京…

  • 🕒
  • 2020.11.04更新

スポーツ振興の旗手として、日本大学薬学部が取り組む「アンチ・ド…

一見縁がなさそうに見える「薬剤師とスポーツ」の融合によって生まれたアンチ・ドーピングプロジェクト。アンチドーピングの啓発活動および研究拠点の確立に向けてどのような取り組みを実施しているのでし…

  • 🕒
  • 2020.11.02更新

直撃取材!「ヤクジョブ」が追及する人と人を大切に繋げる転職とは…

クラシス株式会社が運営する薬剤師専門の求人サイト「ヤクジョブ」。 サービスの特徴や強み、そして転職サポートにかける想いを同社の営業担当清水さん、薬剤師の渡邉さんに伺いました。

  • 🕒
  • 2020.10.30更新

オンライン診療に新たなカタチを。凸版印刷が提供する処方せん薬宅…

凸版印刷株式会社の100%子会社、おかぴファーマシーシステム株式会社が2020年3月にリリースした処方せん薬宅配サービス「とどくすり」。今回はサービスの特徴や開発に至った背景、そして今後の展望を同社…

  • 🕒
  • 2020.10.21更新

ポイント還元サービス「レシートで貯める」が見出した、レシートの…

日々のレシート投稿でポイント還元を受けられるサービス「レシートで貯める」。今回は本サービスを提供するソフトブレーン・フィールド株式会社の山室さんにお話を伺いました。 …

  • 🕒
  • 2020.10.14更新