現臨床薬剤師兼元MRが語る|MRの現在と未来とは⁉

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こんにちは。現在、HOP!薬剤師の記事を執筆させていただいているけちゃおと申します。私は、薬学部を卒業後証券会社で営業職をしていました。

その後、製薬会社のMRへと転職をして、現在は調剤薬局で薬剤師をしています。異業種を経験してからのMRという経歴は、他の人にはない経験をすることができ有意義なものでありましたが、転職にあたり苦労することもありました。今回はMRを経験して私が感じたMRのやりがいや大変さ、将来性などについてお伝えしていきます。

なぜMRに転職?未経験からMRへの転職エピソード

薬学部卒業後証券会社に入社⁉|MRへの転職理由

まず、私がどのような考えで薬学部から全く異業種の証券会社に就職したのかについてお伝えします。私が就職活動をする上でポイントにしていたのは、大きく3点です。

1つは高い営業スキルを身につけることができること、2つ目は経営に関わることができる、または経営者を相手に仕事ができること、3点目は高給であることです。

  • 高い営業スキルを身につけることができる
  • 経営に関わることができる、または経営者を相手に仕事ができる
  • 高給である

営業職に就きたいという思いとは別に、将来的な目標から経営に関して学びたいという思いがありましたので、医療業界と決め付けずに様々な業界を探した結果、証券会社を選びました。

証券会社では4年半営業職をしていました。その後、転職をしようと思ったのは、これまで証券会社で学んだ営業スキルと、学生の頃に学んだ薬学の知識を合わせれば、他とは一味違うMRのスペシャリストになれるのではと考えたからです。

他の業界で自分がどれだけ通用するのかを試したみたいという思いもありました。特にMRは、証券会社の営業とは営業スタンスが全く異なります

証券会社では個人宅から法人まで、全ての人をターゲットに営業をかけますので、自分でターゲット選定を行うことになります。一方MRは担当地区が決められており、訪問するDrの数も限られています。その分、一人ひとりの顧客との関係性が非常に重要になってきます。

未経験からMRへ|私の転職方法

転職活動を始めるに当たり、まずは複数の転職サイトに登録をしました。その中には大手転職サイトもありましたし、MR専門の転職サイトというものもありました。

MRは製薬会社によって募集のしかたも異なります。その製薬会社が扱う全ての領域を担当するMRもいますが、会社によっては領域別に分かれてMRを募集しているケースもあります。自分がどの分野でスペシャリストになりたいのかも含めて、応募先を考える必要がありました。

MRの募集は、中小の製薬会社やコントラクトMRも含めると、意外と多くの募集がかけられています。しかし、仕事をしながらの転職活動では、その全てに応募をする時間はありません。

面接は会社が休みの土日にしかできないためです。業界研究をしっかり行ったうえで、関心の高い企業をピックアップして選考を受けるようにしていました。

未経験からMRへの転職は大変⁉

転職活動を始めてまず気づいたのは、行きたいと思った製薬会社があったとしても、そこが転職者を募集していないケースも多々あるということです。

製薬会社は、主に新薬の発売など、大規模なプロモーション活動を行いたいときに大量のMRを募集しています。裏を返せば、大手の製薬会社でも時期によっては全くMRの募集をしていないことがあるということです。

また、時期に限らず、転職者の受け入れを全く行っていない製薬会社もあります。傾向としては外資系の企業は転職の求人が多く、内資系はあまり転職の求人がありません。

そのため、「この企業に行きたい」というのではなく、「MRになるために、今募集のある企業の中でどこが一番良いのか」といった考えで転職活動を行う必要があります。

そして、思った以上に苦労したのはMR未経験であるということです。私自身、営業の経験はあるし、薬剤師免許も持っているのでMR経験の有無はそこまで重要視されないと思っていました。

しかし、MRの転職においては募集の段階で「MR経験の有無」を問われることが多く、たとえ薬剤師免許を持っていても他のMR未経験者と同じ条件で転職活動をせざるを得ませんでした。

これは、MR資格がないと入社後に研修を受け、MR認定試験を受験しなければならないため、その時間やコストを鑑みてMR未経験=即戦力ではないと区別されていたのだと思います。これにより、選択肢が狭まってしまいました。

また、選考段階で特に大変だったのは面接です。MRの選考は、企業にもよりますが平均2~3回の面接を行います。しかし、そのすべてが同じ場所で行われるとは限りません。

私も、一次面接は東京で、最終面接は兵庫で、といった具合に、様々な地域が面接会場となっていました。前職の仕事を続けながらの転職活動でしたので、スケジューリングも難しく、体力的にも負担が大きかったと思います。

実体験から見るMRのリアルな現場とは⁉

実際に経験したMRのリアルな業務内容

MRの一日は、基本的には直行直帰です。支店には午前中に寄って事務作業や車に積む資材の補充などを行いますが、ほとんどの時間外回りをしています。

まず、朝必ず立ち寄るのは医薬品卸の営業所です。ここで、担当のMSと情報共有を行います。MSの存在は、Drとの関係を構築する上でも非常に大切です。

MRよりもDrと懇意にしているMSも多いので、医薬品の新規採用の依頼などの際に、MSに同行してもらうこともあります。

昼からは病院を回りDrと面会します。MRには、国立病院などの大病院だけを担当するMRと、クリニックや中小の病院を回るMRとに分かれますが、私はクリニック、中小病院を受け持っていました。

訪問のタイミングは、主に午前の診察後、午後の診察前、午後の診察後のいずれかです。Drによっては面会できる曜日や時間が決められている場合もありますので、できるだけ多くのDrに面会できるように、しっかりとスケジュール管理することが求められます。

面会時には自社医薬品を採用してもらうまたは処方を拡大してもらうための案内も行いますが、他にも講演会の案内や、自社医薬品に関する情報提供なども行います。

特に、MRは営業活動も行いますが、本分は自社医薬品の適正使用のために、安全性や有効性に関する情報提供、副作用などの情報収集を行うプロモーション活動です。

間違った情報を与えてしまったり、情報提供が遅れてしまうと患者様の健康を損なう可能性もありますので、どのクリニックにもこまめに顔を出すようにしなければなりません。

その他には、クリニック内で勉強会を行ったり、自社で講演会を開催してその手伝いをすることなどがあります。どちらもこれまでの営業職では経験しなかった業務で、プレゼンテーションスキルなどが求められます。

実体験から見るMRのやりがい

MRが他の営業よりもやりがいを感じられる点としては、専門性を磨くことが営業成績に直結するという点です。

MRが相手にするのは、Drを始めとした医療従事者です。当然、専門知識がなければ認めてもらうことができません。日々勉強をして専門性を高めることが、MRとしての評価につながることになります。

一方、証券会社の営業時代は、顧客は金融の専門家ではなく、経営者や医師などの富裕層でした。様々な業種の方々と証券を通して関わることができるという点ではやりがいはありましたが、顧客に案内をする際に必要以上の専門知識は求められません。

むしろ、専門知識をかみ砕いてわかりやすく説明することが求められるのです。専門知識を高めてもそれを披露する場がなかなかないので、「日々勉強する」というモチベーションが保てないこともありました。そういった意味でMRは「努力のしがいのある」仕事だな、と感じました。

MRの大変さ・ギャップ

MRをやってみてやりづらいなと感じたのは、営業成績に対するウェイトです。MRの営業成績は、対象の医薬品を処方元のDrがどれだけ患者さんに処方したかで決まります。

つまり、Drにその有効性や安全性を認めてもらうことが大切なのですが、一度処方してもらえるようになると、そこから成績が大きく落ち込むということはありません。

多くの薬は、一度薬を飲み始めたら毎月定期的に同じ薬が処方されるようになるためです。もちろん今以上に処方される患者数を増やす努力はするべきですが、裏を返せば全く営業活動をしなかったとしても、毎月一定数の営業成績は確保できてしまうということになるのです。

また、新薬だったり、明確に効果として優れている薬であるような場合は、こちらがプロモーション活動をほとんどしていなくてもDrの独断で採用が決まることもあります。

このように、MRの営業成績はその人のスキルと比例するとは限らず、営業成績だけで個人の評価を判断するのは非常に難しい職種だと思います。

他の営業職では、MRのように「毎月同じように商品を買ってくれる顧客」という存在はいませんので、自分から働きかけなければ成果は全く上がりません。それだけに、個人の営業スキルが成績に直結していましたので、評価としても非常にわかりやすいものでした。

MRでは、個人個人を評価するために、成果だけでなく過程も非常に重要視されます。「今日は〇件のDrと面会できた」「今月は〇件の勉強会を行った」といった具合です。その過程をどのように上司に報告すれば良いのか、といった点が最初は非常に悩んでいました。

また、毎月最低限の成績が保証されていますので、仕事に対するモチベーションを保つのにも苦労します。「1日くらい休んでも変わらないかな」といった考えが出てきてしまうのです。事実、そういったことが続いてサボり癖がついてしまった先輩社員もいました。

しっかりと毎日のスケジュールを立て、その通りに行動するという、自己管理能力が特に求められる仕事だと感じました。また、4年以上薬学の世界から離れていましたので、専門知識を再習得するのにも非常に苦労しました。

薬学部での勉強や薬剤師としての経験が活かせるポイント

薬学部で学んだことで役に立ったことといって、私が一番に思い浮かぶのは論文の読み方だと思います。専門知識に関しては、私はブランクが長かったということもありあまり役には立ちませんでしたが、薬学部以外からMRになる人も多いように、専門知識は入社してから学んでもしっかり対応できるようになるかと思います。

しかし、論文を読み進める力などは、研究室時代に多くの論文を読んだという経験が大きく活かされてくるので、かなり差が出るかと思います。

特にMRは、他社医薬品との比較試験を行った結果を基に有効性などをプロモーションしていますので、どのような試験をしてどんな結果が得られたのか、しっかり理解することができるというのは大きな強みだと思います。

あとは、勉強に慣れているというのも薬学部卒が優位に立てる点かもしれません。他の学部よりも圧倒的に勉強する時間が長かったので、入社後のMR試験対策から配属後の日々の勉強まで、あまり苦にならずに取り組むことができます。

ニュースを元にMRの未来を語る|MRはどう変化していくのか?

ニュース概要【医薬営業 リストラの波】

ここで、1点MRについてのニュースを紹介させていただき、MRが今後どうなっていくのか経験者の目線から意見を述べさせていただきたいと思います。今回は、「医薬営業 リストラの波」という記事を紹介させていただきます。

ニュース本文を読む

日経新聞 2018/7/5

MRの必要性は、今後も薄れていく!?

MRの必要性は、今後も薄れていくのかなと感じています。その一因は、情報の多様化です。医薬品に関する安全性情報など必要な情報に関しても今はネットで調べることができる時代です。

以前のような過剰な接待も禁止されるようになった今、本当にDrから必要とされているMRというのは少なくなっていると感じています。もう一つの要因は、MRの立場の低さです。

日本では、患者さんの治療方針に関しては医師の決定が絶対で、MRがそれに対して意見するということはほとんどありません。

しかし、海外ではMRも医師と対等に近い関係で意見を述べて、患者さんの治療計画を立てることも多々あります。それだけ、MRは医薬品のスペシャリストとしてDrも一目置く存在となっているのです。

日本のMRは、あくまで「情報提供を行う」ということが業務の中心となってしまっています。そのため、企業からも必要がないと判断されてリストラが敢行されているのです。

退職したMRは、記事では3分の2が他業界へ転職したとあります。しかし、他業界へ転職して成功できるのは主に若い世代だと思います。MRは、良くも悪くも他の営業職とは異なり、少し特殊な業界です。

MR以外の仕事をする自信がないといって色々な製薬会社を転々としている人や、MRのやり方が染みついてしまって他の業界へ転職しても上手くいかなかった、という話はよく聞きます。

今後も縮小していくことは確実なMR業界ですが、全くなくなってしまうということはなく、本当に必要とされる人だけが残る少数精鋭部隊になっていくと思います。では、どのようなMRが必要とされるのでしょうか。

1つは、Drと適度な距離感で接することのできる、コミュニケーションスキルに長けたMRです。営業職ではコミュニケーションスキルが求められるのは当然ですが、特にDrは気難しい人も多いので、相手によってアプローチの方法を変えていかなければなりません。

どのDrも、全てのMRと分け隔てなく接するということはなく、必ず懇意にしているMRが存在します。嫌がられない適度な距離感を保って接することのできるMRが、Drからも必要とされるMRといえます。

2つ目は、レスポンスの早さです。質問や頼みごとに対し、素早い対応ができるとDrの評価は上がります。先ほど情報はネットで手に入る時代だとお伝えしましたが、ネット上の情報は一方的であり、まだまだMRによる情報は必要とされています。

Drの意図をしっかり汲み取り、的確に、そして迅速な対応を心がけることは、MRが生き残る上で大切なことです。

そして、これは最低条件ですが、専門知識に長けていることも必要です。今後は専門領域を持つMRも増えてくると考えられます。

医療は日々進歩していますので、現状にあぐらをかいて勉強を怠っているMRは、淘汰されていく時代になるのだと思います。

今MRをされている方、これからMRになる方は、自分がどうすれば他のMRよりも必要とされる存在になれるか、今のうちからしっかり考えておいた方がよさそうです。

まとめ

今回は、証券会社という全くの異業種からMRに転職した者として、感じたMRの特殊な点や将来性などについてお伝えさせてもらいました。

MRは営業職の中でも高給で、製薬業界という安定した業界であることから非常に人気の高い職種です。しかし、今後もずっと安泰とも限りません。

特に外資系企業ではニュースでも取り上げたようにリストラ、コスト削減を積極的に行っていますし、内資系の企業は会社規模で勝る外資系企業に対抗するために、今後業務提携や合併といった形で業界再編が進むのではと予想しています。今後の変動についていけるよう、業界の動向をしっかり注視しておきましょう。

この記事を書いた人
薬剤師兼ライター
けちゃおさん
薬学部を卒業後証券会社に入社。その後、MRを経て調剤薬局の薬剤師として勤務。
現在は薬剤師として働くかたわら、ライターとして医療・薬剤師・キャリア等に関する記事を多数執筆。
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