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話を伺った人:辻 美和子(つじ・みわこ)さん
東京都目黒区にある恵比寿中央薬局(㈱ファーマシィ 広島県福山市)の薬局長を務める。結婚や出産後も、女性が気持ちよく働き続けられる環境を大切にしたいとの想いから、スタッフが育児短時間勤務(以下 :時短勤務)や産前産後休暇を利用しやすい雰囲気づくりに努めている。辻さん自身も結婚しているということもあり、女性薬剤師の働き方に対する理解が深い。また、恵比寿中央薬局では医療事務スタッフはメディカルパートナーと呼ばれ、受付や事務処理だけでなく、薬剤師に同行して在宅医療のサポートを行うなど、薬剤師のパートナーとして不可欠な存在となっている。
女性が安心して長く働き続けられる場所でありたい
――辻さんは薬局長として現場に立っていらっしゃるということですが、「恵比寿中央薬局」を運営するにあたり、特に気をつけていることを教えてください。
辻さん:女性スタッフが働きやすい環境づくりを心がけています。当薬局で働いている薬剤師5人のうち、既婚女性が3人です。女性の割合が高いことから、育児と仕事を両立して活躍できる薬局にしたいと考えています。
――女性薬剤師が育児と仕事を両立するために、具体的にはどういった制度がありますか?
辻さん:出産予定日の6週間前から取得できる産前産後休暇制度があります。仕事を休んでいる間もお給料の一定割合が毎月支払われます。それから、フルタイムで働いていた正社員が、育児などのために一時的にたとえば週3日・1日6時間といった短い時間で働く「時短勤務」も可能です。
――時短勤務の場合、雇用形態はパートタイムになるということでしょうか?雇用形態が変わって月の収入が減ると、「もう少し食費を削ろう」とか節約のことで頭がいっぱいになってしまいそうです。
辻さん:いえ、雇用形態は正社員のままです。ボーナスも出るので、収入面も不安なく働けます。
――ボーナスも出るんですか。これまで通りの収入を確保できれば、お金のことをあれこれ心配して生活を切り詰めることもなく、安心して育児に専念できますね。ある程度生活が落ち着いたら、時短勤務からまた通常勤務に戻すことも可能なのでしょうか?
辻さん:はい。育児等の状況にあわせて、本人の希望により時短勤務から元のフルタイム勤務に切り替えることが可能です。元通り働きたくてウズウズしている人にとって、こんなに安心して働ける環境はないはずです。女性の働き方に理解があり、家庭と仕事を両立させて長く働き続けることができる環境があることは、当社の薬局の強みのひとつだと思っています。
――育児で長い間現場を離れると「自分だけおくれをとっているのでは」「復職して仕事の忙しさについていけるだろうか」と、職場復帰することに不安を抱えているスタッフもいるのではないでしょうか?
辻さん:はい。そうしたスタッフの不安を解消し、安心して職場に復帰できるように、薬機法、新薬、ジェネリック医薬品や在宅医療に関することなどを自宅で勉強できるインターネット研修(e-ラーニング)の制度があります。また、休職中でも薬局や本社で定期的におこなわれている勉強会に参加することができます。
――育児で職場を離れている間も、知識を深められる研修が充実していると、自信をもって復帰できますね。
薬剤師業界を支える女性薬剤師たちの活躍
――本当は働き続けたいけど、職場の理解を得られずに仕事を辞めざるを得ない女性薬剤師は多いと聞きます。
辻さん:以前はそういうこともあったかもしれません。特に女性の場合、結婚や出産といった変化があった時に何を優先するのかによって、ライフスタイルが変わりますよね。以前は「結婚か仕事か」あるいは「専業主婦になるか復職するか」の二者択一で悩む女性がたくさんいたかもしれませんが、女性の働き方への理解を示し、家庭と仕事を両立して活躍できる薬局が確実に増えていると思います。
――薬剤師業界全体を通して、出産後も現場で活躍する女性薬剤師が増えたのはどうしてでしょうか?
辻さん:人手不足が一番の原因だと私は考えています。今、全国に28万人いる薬剤師のうち、約6割以上が女性です。猫の手も借りたいほど忙しい薬局にとって、即戦力である女性薬剤師に辞められてしまうと大きな痛手となります。
だからこそ、「またここで働きたい」「また戻ってきたい」と思ってもらえる、女性薬剤師にとっての「居場所」でありたい。患者さんの健康に直接関わることのできる、こんなにやりがいのある仕事ってほかにはありませんから。
メディカルパートナー(MP)の存在があってはじめて、薬剤師としての仕事が活きてくる
――辻さんご自身もご結婚されているとのことですが、薬局長として同じように仕事と家庭を両立させているスタッフに対して心がけていることは何でしょうか?
辻さん:スタッフとのコミュニケーションを一番大切にしています。かしこまって面談をするというわけではなく、日常的に雑談をしながらコミュニケーションを取るよう心がけています。仕事の話ばかりだと、お互いに緊張してぎこちなくなってしまいますが、「最近どう?」くらいのフランクな感じでいた方が悩みを打ち明けてもらいやすいんです。スタッフには気持ちよく楽しく働いて欲しいと思っているので、どんなに忙しくてもコミュニケーションだけは絶対に欠かしません。
――スタッフが活き活きしていると、薬局全体の雰囲気も明るくなりますよね。
辻さん:患者さんの健康をサポートする上では、患者さんと薬局スタッフのコミュニケーションがとても重要だと思っています。スタッフ同士のコミュニケーションが良好だと、自然と薬局の雰囲気も明るくなり、患者さんとのコミュニケーションも円滑に進むと感じています。
当社では医療事務スタッフをメディカルパートナー(以下:MP)といって患者さんの悩み相談や、在宅業務のサポートに活躍してもらっています。薬局が混み合っていたら、薬剤師の代わりにMPが患者さんの症状やお話を伺ったり、顔なじみの方には「最近ちゃんとご飯を食べていますか?」と食事面についてお話を伺うこともあります。MPは、薬剤師と患者さんをマッチングする、いわば潤滑油のような存在です。
――MPが患者さんと薬剤師の間に入ることによって、患者さんと薬剤師の関係性はどう変わりましたか?
辻さん:実感としてあるのは、患者さんとより深い関係性を築けるようになったこと。患者さんの体調や薬局の混み具合に合わせて薬局全体で臨機応変にスムーズな対応ができるようになった分、患者さんのために、薬剤師にしかできない役割を果たすことに時間を割けるようになったと感じています。
だからこそ、MPの存在は薬剤師にとっても患者さんにとってもなくてはならない存在です。決して大げさな言い方ではなく、MPのサポートがあってこそはじめて、私たちは薬剤師としての使命を果たすことができると思っています。
――MPに求められるのはどんな人でしょうか?
辻さん:薬局長という立場からお話をすると、コミュニケーション能力が一番大切だと思います。常に患者さんありきで物事を考え、スタッフとも、患者さんとも、誰とも分け隔てなく会話ができる人は、1人の人間として患者さんからもスタッフからも信頼されますから。
まとめ
辻さんは最後に、「『薬局として患者さんにできること』を一番に考えられるチームワークを大切にしていきたい」と語ってくれました。女性のサポート体制しかり、MPの存在しかり、こうした取り組みが、ずっと働きたいと思う女性薬剤師の活躍を支えているのではないでしょうか。
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