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東京都学校薬剤師会の会長が語る学校薬剤師としてのあるべき姿

東京都学校薬剤師会 会長

こんにちは。ライターの渡辺です。今日は、「一般社団法人東京都学校薬剤師会」の会長を勤める井上優美子(いのうえ・ゆみこ)さんにお話を伺います。「一般社団法人東京都学校薬剤師会」とは一体どんな団体で、そこで働く人たちはどんな仕事をおこなっているのでしょうか。

※当サイトは口コミの一部を掲載しています。

東京都学校薬剤師会 会長 井上様

祖父と父がともに薬剤師という医療家系で育ち、物心ついたときから医療研究者を志す。薬学部を卒業後、研究員として活躍したのちに父親が経営する実家の薬局に勤務。その後、学校薬剤師の委嘱(いしょく)を受け、現在は都内の学校や離島での活動に精力的に力を注いでいる。

一般社団法人東京都学校薬剤師会とは

「一般社団法人東京都学校薬剤師会」は、児童生徒並びに東京都民の健康、安全の保持増進を図るため、学校薬剤師の職能・技能及び倫理の向上に努め、環境衛生・薬事衛生の発展に資することを目的とする団体。

一般社団法人東京都学校薬剤師会:公式サイト

東京都学校薬剤師会とは子どもたちの学習環境をサポートする団体

学校

渡辺:早速ですが、井上さんが会長を務めていらっしゃる東京都学校薬剤師会とは、どんな団体なんですか?

井上さん:簡単に言うと東京都学校薬剤師会は、学校薬剤師の資質を高める団体です。子どもたちが快適な学校生活を送れるよう、学校における環境衛生検査活動をおこなっています。

たとえば、学校内の蛍光灯の明るさが適切かどうか、各教室や校舎内の湿度が基準値に保たれているかどうかなど、法律に基づいて学校環境を整える立場にあるんです。

もし問題点が見つかった場合には、学校に対して適切な指導および助言をおこない、学校環境を改善する。それが学校薬剤師の主な仕事です。

東京都学校薬剤師会 会長 井上様

▲学習環境の照明の明るさも細かく基準が決められている。

渡辺:学校薬剤師になるためには、やはり何か特別な資格が必要なんですか?

井上さん:特別な資格は必要なく、薬剤師であれば誰でも学校薬剤師になることができますよ。地元の教育委員会から委嘱(いしょく)、任命された学校薬剤師は、幼稚園、小中学校、専門、大学などすべての各学校に1名ずつ配置されます。

渡辺:学校薬剤師の方の業務は、検査などがメインなんですね。「薬剤師」という名前がついているのでてっきり、薬の授業などもするのかと思っていました。

現代の子どもには薬の正しい知識と判断力が損なわれている

薬局薬選び

>くすり教育とは、薬物乱用の防止教育に加え、喫煙や飲酒の害について広く啓発活動を行うとともに、健康教育をサポートすること。

渡辺:薬の扱い方といえば、平成元年に高等学校で「くすり教育」が導入されましたよね。学校薬剤師さんの活動がより重要なものになると思うのですが、「くすりの正しい使い方教育」が義務化された背景にはどのような事情が関係しているのでしょうか?

井上さん:覚醒剤や薬物乱用が社会問題化しはじめたことが考えられます。薬物乱用を防止するためには、まずはくすりの正しい使い方を理解する必要がありました。その後、平成20年にセルフメディケーションが推進されるようになったんです。 このセルフメディケーションというのは、自らが自分の健康状態を把握して、症状に応じた薬を選ぶ力のことを言います。先ほどもお話をしたように、前回処方された薬を飲んでしまうなど、間違った扱い方をしてしまう人がとても多いんです。

渡辺:今ってドラッグストアに行くとさまざまな薬が売られていますもんね。正直、自分の症状にどの薬が一番合っているのかって理解できていないかも。鼻づまりなのに咳止め用の薬を買ってしまったり……。

井上さん:薬物の乱用や違法ハーブといった問題もあるので、薬に関する正しい知識、判断力を身に付けるためには、子どもの頃からきちんとした教育をおこなうことが重要視されています。

未来ある子どもたちのために学校薬剤師ができること

渡辺:薬剤師がいない市町村での衛生検査はどうしているんですか?

井上さん:東京都では、地方を含め、利島、小笠原、新島、式根島の4島を含めた離島への派遣活動もおこなっています。フェリーに乗って近くの島まで行き、またそこからヘリに乗って離島まで移動するんです。

渡辺:離島まで行かれるんですね。学校衛生検査で使う機器の用意や移動の時間など大変なこともあるのではないでしょうか?

井上さん:そうですね。湿度が高かったり衛生害虫で困っていたり、島ならではの問題点もあります。本会が離島へ学校薬剤師を派遣しはじめてから6年経ちましたが、学校衛生検査に使う機器も用意してもらえるようになりました。また、指導助言も行き届くようになり、教育委員会や学校関係者の意識も変わってきたと思います。 なので私たちは、年2回は必ず離島の学校環境衛生検査活動も積極的に続け、環境を改善していきたいと思っています。

渡辺:学校薬剤師になる人には薬の知識だけではなく、学校教育への理解の高さも求められますね。

井上さん:そうですね。最近は特に、体の不調を感じるとすぐに病院に行ったり、市販されている薬を飲んだり、医者や薬に頼る子どもや親御さんが非常に多いと思います。けれど体の不調というのは本来、3食バランスのとれた食事と適度な運動をきちんと心がけていれば自然と治るものです。 私たち人間の体には自然治癒力という力が備わっているんですから。なので、子どもたちの健康と明るい未来のために、学校環境を整えて健やかな生活を送れるようサポートしていきたいと思います。

まとめ

薬局薬選び

今日は、「一般社団法人東京都学校薬剤師会」の会長を務める井上優美子(いのうえ・ゆみこ)さんにお話を伺いました。東京都学校薬剤師会に所属している学校薬剤師の方々は、子どもたちが快適な学校生活を送るための環境を支えてくれているのです。

きれいな教室で授業が受けられて、毎日安全な給食や学食を食べられるのもすべて、学校薬剤師さんたちの絶えまぬ努力の上に成り立っているのではないでしょうか。

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