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薬剤師が最新ニュースに物申す!5分で読める2020年12月のニュース

こんにちは、けちゃおです。

早いものでもう1年が終わりますね。今年は年始から新型コロナの対応に追われ続けた1年だったと思います。

今回も、新型コロナウイルスに関連した話題を中心に、医療系の話題を3点ピックアップして解説しています。ぜひご一読下さい。

※当サイトは口コミの一部を掲載しています。

LINEヘルスケア オンライン診療サービス「LINEドクター」を首都圏の一部医療機関で先行提供

ニュース概要

LINEとエムスリーの合弁会社であるLNEヘルスケアは、LINEドクターというオンライン診療サービスの提供を開始したと発表しました。病院の検索、予約から実際の診療、決済まですべてLINE上で完結できるというのがメリットで、導入する医療機関を増やすためのプランを提供していきます。月額利用者数8,600万人を誇るLINEユーザーをターゲットに、オンライン診療の普及に繋げたい考えです。

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ミクスOnline 2020/12/18

意見

この1年でオンライン診療が普及し、様々な企業が参入してきていますが、LINEもオンライン診療サービスの提供を開始したことが発表されました。「LINEで予約から診察まで行える」という手軽さは他のオンライン診療にはないメリットと言えますし、LINEの利用者数からみても、このサービスを利用する人は一定数いるのではないかと思います。

ただ、この記事ではメリットばかりが取り上げられていますが、個人的にはLINEでのオンライン診療にそこまで需要があるのかな、と気になってしまいます。そこで、今回はあえてLINEドクターのマイナス面について考えてみたいと思います。

まず、疑問に思うのはLINEドクターをわざわざ利用するメリットはあるのか、という点です。というのも、普段から定期的に病院に通っている人は、必ず「かかりつけ医」が存在します。当然、普段から診ている医師のほうが症状について理解していますので安心です。感染予防という観点からみても、今はほとんどの病院で電話やオンラインでの診療が可能となっていますので、わざわざLINEドクターを利用して知らない医師に診断してもらうより、いつもの病院でオンラインで診療してもらったほうが良いのではないかと思います。

もう一つ考えられるのは初診でLINEドクターを利用するというケースです。新型葫芦なの影響によりオンライン診療の適用範囲が初診にも広げられたため、かかりつけ医が無く自分で病院を探すのが面倒だ、という人には需要がありそうです。

ただ、私個人としては、そもそも初診の方にオンラインで診療を行うのは無理があるのではないかと思っています。というのも、例えば体調を崩して診察をしてもらうことになった場合、本来であれば触診や血液検査等の各種検査を行って診断を行います。しかし、オンラインではそういったことは出来ませんので、問診とオンライン上での患者の様子から診断しなければならないことになります。これは、どれだけ優秀な医師であっても適切な診断は難しいのではないかと思います。ただの風邪だと思って風邪薬を処方したけれど本当はインフルエンザだった、といった「検査をすれば分かったのに」というケースが増えてしまう危険性があります。また、「検査してみないとわからないので他の病院を受診してください」等と言われてしまっては二度手間になってしまいます。

もう一つ、LINEドクターで不安視されるのは「医師の質」です。LINEヘルスケアは、LINEドクターに先んじてオンラインでの医療健康相談サービスを実施しています。その中で、登録医師から暴言を受けたと告発があったことが問題になりました。対面で診察を行う場合は、暴言などを吐いたら病院の信頼問題にもなります。LINEだからという気軽さが、この問題を引き起こしたともいえます。

LINEドクターは勤務医での登録は出来ず、診療所を開設している医療法人、個人のみが対象となっていますので、このような問題は起こりにくいかもしれません。ただ、その地域に住んでいれば「あそこの病院は良いらしいよ」といった口コミで評判はわかりますが、LINEではそういった前情報を知るのは難しいと思います。評判もわからない医師にオンラインのみで診察をしてもらう、というのはかなりリスクの高い行為なのではないかと思います。

もちろん、今後オンライン診療が更に普及し、LINEドクターも実績を重ねていけばこれらの問題はクリアとなる可能性は高いと思います。例えばLINEドクター内での実績や評判が確認できるようになれば、患者も安心して診察を受けることが出来るようになるのではないかと思います。まだ始まったばかりのサービスですので、今後どうなっていくか注目ですね。

コロナ感染者、受験認めず~薬剤師国試で異例の措置へ

ニュース概要

第106回薬剤師国家試験は2月20、21日での実施が予定されています。実施方法に特に変わりはありませんが、当日は会場入口で検温が実施され、37.5度以上の場合は迅速に抗原検査を実施。妖精となった場合はオンラインで診察を受け、新型コロナと診断された場合は受験が認められないということです。追加試験も行われないということですので、受験までの体調管理が大切になりそうです。

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薬読 2020/12/7

意見

薬剤師国家試験の受験に際し、新型コロナの対応が明らかとなりました。

陽性患者は受験が認められず、濃厚接触者は別室での受験となるようです。

個人的には、陽性となった受験者に受験を認めないというのは仕方がないことだと思います。受験会場は周囲と会話する機会が少ないので飛沫が飛ぶ可能性は低いものの、受験者数の多さからどうしても密になりやすい状況です。もちろん、会場を広くとり受験者同士の間隔を空けるといった対応も取られるでしょうが、クラスターが起きないためにも当日の検温、検査の実施は必要不可欠だと思います。また、ここでは当日の検査についてしか触れられていませんが、当然1週間前など直前に陽性になってしまった人も受験は不可でしょう。

ただ、感染者に追試も認めないというのは厳しく感じます。どれだけ出るか分からないコロナ患者のためだけに追試を行うのは難しいというのはわかりますが、例えば家族からの接触で感染してしまった等不可抗力で感染してしまった場合には、それでこれまでの努力がふいになってしまうというのは心情的には可哀想だと思ってしまいます。

とはいえ、例年冬場になり受験が近づくと、新型コロナ以外でもインフルエンザ等にかかってしまうリスクがあるため、受験者は徹底した感染対策を行っています。私の知り合いにも合格できる実力がありながら受験当日に体調を崩してしまい受験できなかったり、普段のパフォーマンスが発揮できず不合格になってしまったという人はいましたので、私が受験の頃も体調管理は特に気を使っていました。今年は例年以上に気を遣って生活することになるので、当日の検査で陽性となる人はそれほど多くないのではないかと思います。

薬剤師国家試験に限らず、2~3月は様々な試験が執り行われます。普段からしっかり感染対策をして、万全の状態で試験に臨みたいものですね。

睡眠剤混入の水虫薬、処方の364人特定。70代の患者1人死亡

ニュース概要

ジェネリックメーカーの小林化工が発売している水虫治療薬「イトラコナゾール錠50 MEEK」の中に多量の睡眠導入剤が混入していた問題で、同社は処方された患者のうち1名が死亡したと明らかにしました(12/17日現在で死者は2名)。処方された364名は特定されており、意識消失等の症状は133件、入院した事例は34件に上るとのことです。

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日経 2020/12/13

意見

新型コロナ再拡大の影に隠れて世間一般ではあまり大きな問題として取り上げられていない印象の本記事ですが、薬局で働く身としてはジェネリック業界全般の評価にかかわる出来事ではないかと危惧しています。

今回問題となったイトラコナゾールには、1錠につき2.5倍の睡眠導入剤が含まれていました。イトラコナゾールは1日で8錠服用することもあるため、その場合は通常用量の20倍もの睡眠導入剤を服用していた計算になります。量が多いことも問題ですが、患者としてはこの薬を水虫の治療のために服用していて、当然睡眠をとるつもりで服用していなかったということも被害が拡大した原因だと思います。服用後に運転するなど普段と変わらない生活を送ってしまい、その結果交通事故も増えてしまったのだと思います。

今回の件で特に問題なのは、承認されていない製造工程で製造を行っていたという点です。原料の継ぎ足しを行っていただけでなく、本来2人で行うべき作業を1人で行っていたこともわかっています。今回はたまたま多量の睡眠誘導剤が混入されてしまったため発覚しましたが、この杜撰なやり方ではこれまでにも表にはでなかったものの、同じような間違いが起きていたのではないかと思われてしまいます。

業界全体に与える影響も大きいのではないかと思います。昨今、先発品から後発品への切り替えが進み、2020年9月時点では後発品使用率は78%まで上がりました。

しかし、今後このようなケースが続くようでは、医師や患者さんから「後発品を使いたくない」というケースが増えてしまうかもしれません。

薬局で患者さんに後発品を案内する際も、「先発品と同じ成分で、これまでと変わりなくお使いいただけます。」といった話をすることが多いですが、「でも、先発品と作り方が違うし、違う薬が紛れることもあるらしいから信用できないよ」と言われてしまえば、それ以上案内できなくなってしまいます。むしろ、今後は薬局側としても先発品と後発品の違いを明確に伝える必要が出てくると思います。

ただ、全ての後発品メーカーが問題があるわけではなく、今回はあくまで小林化工のみが問題となったものです。他の製薬会社は適切な工程で製造していることをアピールする必要がありますし、薬剤師としても、その旨をしっかり伝えて患者さんに安心して服用してもらえる環境を作ることが大事です。

いずれにせよ、後発品業界全体に悪影響とならないために、小林化工には迅速な対応をお願いしたいと思います。

まとめ

いかがでしたか。

今回は、

  • LINEドクターのメリット、デメリットと今後の展望
  • 薬剤師国家試験のコロナ対策について
  • 睡眠導入剤混入の小林化工、求められる対応と今後の業界展望

についてお話しました。

特に小林化工の件につきましては、既にニュースを知った患者さんから「私が今飲んでいる薬は大丈夫なのか」といった問い合わせも受けるようになっています。今後どの程度の影響があるのか注目ですし、私達薬剤師も真摯な対応を心がけなければならないと感じました。

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