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こんにちは。けちゃおです。 1月は一つのニュースが連日大きく取り上げられました。新型コロナウイルスの蔓延です。
調剤薬局で働く身としても、そういった患者さんと接する機会がゼロとは言えないので、どれだけ予防や対策をしても怖いものですね。
今回は、調剤薬局に関連したニュースについて3点ピックアップしています。今年は診療報酬改定というイベントも控えていて、また薬局業界が変わっていく年になると思います。薬局、薬剤師の今後のあり方について考えてみました。
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調剤薬局、大手に集約進む 人材不足などで中小身売り
ニュース概要
調剤薬局の再編が進んでいます。調剤・ドラッグストア9社の店舗数は2019年末で7,000店を超えることになりました。大手調剤薬局がM&Aで店舗数を増やす一方、ドラッグストアも調剤併設型の新規出店を進めています。
過疎地など人手不足の地域でも大手であれば対応できることに加え、商品調達力や経営効率の高さなどから大手に身売りするケースが増えていて、今後も大手を中心とした再編が続くものとみられています。
日経新聞 2020/1/25
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調剤薬局のM&Aに関する記事について取り上げてみたいと思います。
調剤薬局の再編の動きは、特にここ1・2年でよく聞かれるようになりました。売却側で目立つのは、個人薬局や、5店舗ほどの小規模で運営している薬局です。
この業界で働いている人ならばご存知かとも思いますが、近年の診療報酬改定によって、利益が取れなくなってきている薬局が出ているということだと思います。 売却の形態もそれぞれで、全てを売却してしまうこともあれば、複数店舗の場合は、売り上げの良い1店舗だけを残して残りを売却、といったケースもあります。
私はどちらかというと大手の薬局で勤務しており、いわゆる買収する側の人間としてそういった場に立ち会うこともあります。その際に経営者の方とも様々な話をするのですが、やはりどの経営者も「以前のように利益を上げられなくなった」「薬局を出せば儲かる、という時代ではなくなった」と感じています。
以前は、若い世代も「いずれは開業して自分の店を持ちたい」と考える人が多かったと思います。実際私も、調剤薬局へ転職した当初は将来的な開業も視野に入れていました。ですが、今の状況を見る限り、新規開業に関してはよほどの良い案件でなければ、安定して利益を上げていくのは難しいと思います。
とはいえ、大手だから安定して利益を上げられるというわけでもありません。最近の診療報酬の改定は、大手にとって不利な改定にもなっていますので、経営が傾くというほどではありませんが、大手もじわじわと利益が削られているのです。
確かに薬価差益の面では、医薬品を大量購入できる大手が有利ですし、在庫ロスに関しても大手であれば自社内で引き取り手を探すことでロスを最小限に抑えることが出来ます。コストを極力抑えることができるからこそ、個人では立ち行かなくなった薬局であっても大手なら利益を上げられることがあるのです。
ただ、大手ならば何もしなくてもいいのか、個人ならどう頑張っても利益が上がらなくなるのか、というとそうではありません。結局のところ、必要なのは経営努力です。今までは、特に個人薬局は特別なことをしなくてもそれなりに利益を上げられていましたので、そこまでシビアにならなくても大きな問題ではありませんでした。
しかし、今後はかかりつけや高度機能など薬局の機能を明確にしていかなければ十分な加算が取れなくなります。自分の薬局ができることを最大限取り組んでいかなければ、中小の薬局は生き残れない時代になったといえるでしょう。
もちろん、かかりつけ機能などを持つことは、利益のためだけではありません。それを実践することはひいては患者さんの信頼獲得にもつながります。
大手が規模を拡大していく傾向は今後も続きそうですが、その中で中小の薬局が今後生き残りたいと思うのであれば、大手と同レベルの対応力を身につけなければならないと思います。
残薬の活用で医療費削減を 「節薬バッグ」運動広がる
ニュース概要
患者宅にある残薬を減らすための「節薬バッグ運動」が広がりを見せています。患者の危機意識が低いため飲み忘れが増えてしまったり、複数の薬局を利用することで余りが出てしまうことがあり、残薬は問題となっています。
多額な薬剤費を少しでも削減させるため、残薬を入れるためのバッグを患者に配り、薬局へ持ってきてもらう取り組みです。既に一部の自治体では効果を見せ始めていて、残薬の削減により最大3,300億円もの薬剤費を減らすことができると期待されています。
日経新聞 2020/1/19
コメント
毎年のように医療費の増加が問題視されていますが、多くの場合は「薬価」「後発医薬品」といったところにスポットが当たっています。今回は残薬に関するニュースで、少し異なる観点から薬剤費削減について考えてみたいと思います。
今回紹介されている「節薬バッグ」については、私が勤務する薬局では活用されていませんが、非常に面白い取り組みだと思います。毎日患者さんと話をしていると、何らかの理由で残薬がある人は非常に多いと感じます。
その薬が毎月定期的に出ているものであれは、今の残薬の状況を確認して、次回受診時に医師に伝えるなどして調節は可能です。しかし、中には「どの薬がどれくらい余っているのかわからない」といった、管理が全く出来ていない人もいます。
薬が余ってしまう原因も様々で、飲み忘れた人や用法を間違えていた人(1日3回のところ2回しか服用していなかった等)、自己判断で止めてしまった人などがいます。
余ってしまうのは高齢者に多いイメージですが、実は若い世代の人達も薬を継続して飲む習慣がないので、飲み忘れてしまったりでそのまま放置されているケースは多いように思います。
薬の飲み残しがないかを確かめることは薬剤師に求められていることで、調剤報酬でも「薬剤服用歴管理指導料」として算定されています。
その中で、薬剤師としては今回のように残薬を集めることも大切ですが、そもそも薬が余っているということは薬が適切に服用できていないということです。まずこの問題を考えなければならないのではと思います。正しい服用が出来ていないというのは、薬剤師の責任でもあります。
基本的なことですが、「継続の必要性」「正しい用法、用量」などをきちんと説明し、患者さんに納得してもらうことが大切です。特に定期でもらっている薬だと、「いつもの薬ですね」と言うだけで細かい説明を省いてしまうケースが多いですが、特に飲み忘れ等が多い患者さんに対しては指導の度にしっかりと説明をして、患者さんに正しい服用を意識付けることも必要だと感じます。
残薬を減らしていくには、患者、薬剤師双方の意識付けが大事です。これまであまり気にしていなかった人も多いため、節薬バッグなどを用いてもすぐに大きな効果が見られるということはないと思います。
ただ、この取組を続けることで、薬剤師も服薬指導の度に残薬がないか気を使うようになりますし、患者側も「残薬を出さないようにしよう」という意識に変わっていくのだと思います。
私自身、これまでは残薬についてさほど気にしたことはありませんでした。もちろん服薬指導の際に確認は取りますが、残薬を減らすために何か取り組みを行うということがなかったのです。今回の記事を読んで、今後は残薬調整についてもう少し考えてみようと感じました。
薬の正規品、金の粒子を印刷して判別…京大が開発
ニュース概要
偽造医薬品の流通を防止する為、医薬品の表面に金の粒子を印刷して判別できるシステムが開発されました。
レーザーの測定器を充てるだけで判別できるもので、医薬品以外に食品などにも応用が可能なものです。複製するのが難しい技術で、原材料費も安価で済むため、実用化が期待されます。
読売新聞 2020/1/27
コメント
偽薬を防ぐための判別システムに関するニュースです。
偽薬と聞いて思い浮かべるのはハーボニーの偽薬事件です。2017年に起きたこの事件は、薬局業界では非常に話題になったので、勤めている人ならよく知っているかと思います。
この事件を受けて、医薬品卸の仕入れに関するところだけでなく、調剤薬局間の医薬品の譲渡に関しても規制が厳しくなり、本人確認や薬局の開設許可証の提示が必要となりました。今回の判別システムでは、こういった偽薬が紛れていた場合に、薬局や患者さんの元へ渡る前に見つけ出すことができます。
ただ、記事内では「偽造医薬品は世界中に出回っている」とありますが、日本では卸が医療用医薬品を仕入れる場合は、大抵の場合正規のルートを利用しています。そのため、ハーボニーの件はあくまで例外で、基本的には偽薬が紛れ込むことはほとんどありません。
なので、今回の発明は「安心できる」という点で考えるともちろん良いものなのですが、実際に偽薬がほとんど出回らない日本の医薬品市場での需要はそれほど高くないのではと思います。
ただ、コスト面で安価なこともあり、日本以外で今回の技術を欲しがる国も多いのではと思います。いずれはこの判別システムが組み込まれた医薬品が世界基準になるかもしれませんね。
さて、偽薬というと、ハーボニーのような医療用医薬品だけでなく、個人輸入の海外製医薬品を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。実際、日本で偽薬の被害に合う可能性が高いのは個人輸入のケースです。本筋からは少しそれますが、個人輸入に関する問題点についても少し考えてみたいと思います。
日本では発売されていない医薬品を、海外のサイトから輸入する、というのはインターネットに慣れた若い世代を中心に行われることも多いかと思います。ED治療薬など、「周りに知られたくない」と考えて個人輸入を利用するケースも多いようです。
薬局で患者さんと対応していても、たまにこの手の話題となることがあります。例えば、「脱毛症に使われるプロペシアを飲んでいるけれど、成分が同じで安い薬がネットで売っていた。そちらにしてもいいのか」といった内容です。
医師や薬剤師と関わることなく手軽に医薬品が手に入るのは魅力ではありますが、こういった海外の医薬品は日本の安全性の基準を満たしていないものもありますし、怪しいものでは偽薬となっている危険性もあります。
偽薬の場合、中身はビタミン剤などの効果もないが影響もない、というものもあれば、悪影響をもたらすものである可能性もあります。昔よりはかなり規制されたと思いますが、まだリスクはあります。
手軽に様々なものが手に入る時代だからこそ、こういったものに対するリスクについてはしっかり知っておいて、自己責任の上で購入するかどうかを判断したいところですね。
まとめ
今回は、
- 調剤薬局の再編に個人薬局はどう対応すべきか
- 残薬をなくすために薬剤師がするべきことは
- 偽薬の判別システムについて
それぞれ考えてみました。節薬バッグの記事を読んで感じましたが、調剤薬局は仕事内容が一緒に見えても、会社や店舗によって取り組みが全く異なり、「こんなやり方があるのか」と新しい発見があります。良いと思ったものは、できるだけ日々の業務にも取り入れていきたいところですね。
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