薬剤師の転職~製薬会社へキャリアアップする際の注意点

病院勤務薬剤師、30歳目前。激務に加えて年収への不満があり、自身のキャリアと将来への不安がチラホラ。 「そろそろ製薬会社か、ドラッグストアへの転職を考えたい」 「もっと収入とやりがいが比例する仕事へのステージアップを」 うっすらでも、こうした方向性へのキャリアチェンジを志向しはじめた人こそ、この記事をぜひ読んでください。 あわてず、まずは情報チェック。それから転職活動に入っても遅くはありません。製薬会社やドラッグストアに勤務する際の魅力や注意点を、事前に知っておくのは戦略的に有効です。 それぞれの職場を比較検討し、いずれがより有利か比較してみましょう。

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1.ドラッグストア転職の注意点~魅力は高収入と低ハードルのみ?

ドラッグストアへ転職する際に、魅力となるもの。第一に挙げられるのは収入の高さです。

ドラッグストア勤務薬剤師の年収は400~700万円が相場ですが、20代後半や30代の若さで店長やエリア管理へ昇進する例もあり、そのケースで大手チェーンなら800万円に迫る年収を手にする可能性も。また、薬剤師人口の少ない地域が勤務地なら、一般の薬剤師でも600万円などの高額年収となる場合が多いです。

ユーザー指示の度合いが高い第一類医薬品。効き目において信頼できますが、副作用の心配もあります。これを対面販売できる資格を持つのは薬剤師のみで、企業側としては売上が期待できる第一類のOTC販売が経営に欠かせず、それだけに薬剤師の雇用も欠かせません。

2013年段階で、店舗数が全国で1万7000店と非常に多いドラッグストア。チェーンの出店競争が続く以上、企業側の薬剤師ニーズも当然高いままとなります。同業他社に負けない高収入や好条件を提示して、薬剤師の関心を買うことが不可欠で、このため病院に比較すると高い年収相場が実現されているのです。

ただし業務内容に関して問題がないかといえば疑問です。通常の調剤薬局なら調剤と患者への服薬指導、薬歴管理が仕事ですが、ドラッグストアにおいてはレジ対応や接客、商品補充、化粧品やサプリメントの説明販売、あるいは店舗清掃といった専門外の雑務に追われるケースが頻繁にあるからです。

収入が高いのは魅力ですが、雑務が多いため薬剤師としてのスキルアップが望めない、キャリアにもならない。こうした不満がきっかけとなり、離職するパターンが少なくないのです。

ドラッグストアの場合は勤務先の多さと雇用側の必要性による採用ハードルの低さ、高収入がメリットです。あるいは駅チカで通勤至便といった点も該当します。

しかし、雑務をも強いられるケースが多々あることは、応募する前に注意点として頭に入れておく必要があるのです。

2.製薬会社への転職~高収入のみでない、その他の魅力や落し穴も?

製薬会社の場合も、ドラッグストア同様に最大の魅力は高額給与です。新卒初任給含めた年収の相場が400~800万円。30代サラリーマンとしては破格の1000万円プレイヤーも多数在籍しています。薬剤師資格保持者にとって、最も実入りのいい職場です。

むろん、メリットがある以上デメリットもついてきます。薬剤師資格が活かせる代表的な3つの職種について、みてみましょう。

1.MR

医薬情報担当者とも呼ばれ、その仕事内容は一言で言えば営業職です。製薬会社に所属し、自社開発の医薬品や新薬をPRするため各病院を訪問します。また、医療現場で医師や薬剤師から意見収集をし、自社へ持ち帰り研究開発部門へ伝達、セッションするのも重要業務。将来の新薬開発に貢献するための情報収集を行い、企業へもたらす役目も持っています。

営業職なので、一般企業と同じく年収は他の職種に比べて高めです。30代での年収平均が約1000万円とされ、昨今は女性MRも増加しています。業界自体の安定度も高い上、10万円もの住宅手当が支給される会社もあるなど金銭面での待遇はピカイチです。国内、外資にかかわらず好条件が目白押しで、一度でもMR経験を積めば次回の同業種転職に有利となる点もメリットです。

反対に、デメリットとなるのはどんなことでしょうか。現場の声を拾い上げると、以下の意見が大多数になっています。

「休日出勤が頻繁で、生活が不規則」「医師への接待が多い」「出張、残業が多い」「転勤頻繁」「英語の原著や論文を読む必要があり、勉強や知識吸収が日常茶飯事」

出張が多いなど多忙な上、日々進化する医療情報へのアンテナを張りめぐらし、知識レベルの保持またはアップにつとめる必要があります。医療従事者には頭が上がらず、会社によっては接待の連続といったケースも。

コミュニケーション能力が適性の第一ですが、接待が苦手という人もいるでしょう。女性なら、セクハラも気になるところです。

実際には2012年度以降、MRによる医師の接待は禁止となっているのですが、まだまだ徹底されていないのが実情です。ブラックかホワイトかの違いと同様、このあたりは企業の性格による部分が大きいです。転職先企業の性質を重々調べてから応募するのが上策といえます。

最大の魅力は、やはり収入です。日々の勉強はむしろメリットにもなり、その他デメリットは一般の営業マンと変わりません。接待のない会社への転職なら、比較的不満を感じずにすみそうです。

また、調剤薬局経営者の大半がMR出身という点が意外なメリットでもあります。医師や病院とのコネクションを築けることが、後々自身で薬局を開業する際に役立つからです。将来の独立ビジョンがあるケースでも、メリットが大きいと理解できます。

2.CRA

日本語名は臨床開発モニターです。新薬臨床試験のチェックを行う職務で、巡回先は病院。年収平均は600万円ほどですが、1200万円以上の高額を稼ぎ出すケースもあります。これまたMRと同様の高給取りです。

外資系の大手有名企業が求人を出すケースも多く、転職成功すれば安定性と高収入が一気に手に入ります。

とはいえ多忙さもまたMRと同等で、デメリットもほぼ同じ。全国に5~6の担当病院を持つため出張の頻度が高い上に、50時間程度の残業や休日出勤がデフォルトになっています。勤務地が東京と大阪に偏在しているため、その他の地方在住者には転職しにくい点もデメリットです。

勤務時間についてですが、外資系ではフレックスタイムを導入しているケースがあります。普段忙しい分、有給休暇が比較的取得しやすいところも、メリットといえばメリットです。

管理職となるには英語のスキルが100%必須ですが、英語研修を独自に実施する企業も存在しています。

3.CRC

治験コーディネーターと呼ばれる職種で、病院と被験者、製薬メーカーの仲立ちをするコーディネイト役。被験者への治験内容説明を行う役でもあり、仕事内容的には看護師にも似ています。薬剤師以上に、看護師経験のある転職者が多い特色があるのも、うなずけます。

メリットは残業がせいぜい月20時間程度まで、休日出勤もめったにありません。出張はほぼゼロで、主な仕事は事務作業です。比較的土日休みがしっかり取れる上に、育児短時間勤務制を導入している会社も存在しています。

このように、主婦層が働きやすい環境を整備している印象があるのがCRCです。事実、CRCの8割が女性とのデータが出ています。

こうした条件の割には収入面でも意外に優遇されており、平均年収は約500万円。MR、CRAに比べれば相場的には安いのですが、CRAほど英語力が問われず、就業場所は全国にあります。難易度の意味合いで、デメリットが少ない職種といえます。

とくに女性に対してこそ推奨できる職種です。

3.メリットとデメリットは一長一短だが~高収入とキャリアアップを両立できる職種もある!

上記の職場および職種において、高収入とキャリアアップが両方望めるのは?

結論からいえば、MRとCRAが該当します。これらが、一見欲張りなその条件を満たす職種です。

CRCは本文にも書いてあるとおり、比較的女性向け。収入面でもやや劣ります。

ドラッグストアの場合には、収入で満足してもキャリアアップ、スキルアップが望めるかどうかの問題があります。

ネット上には幾種類もの転職サイトが存在しますが、常時薬剤師不足のドラッグストアは六大都市のみならず全国的に求人案件が豊富。言い方を変えれば、資格さえあるなら即採用の可能性が高いのです。すなわちキャリアパスとしての重みがありません。

多岐に渡る業務を日々こなす病院のほうが、むしろキャリア、スキルの点ではるかに磨かれる環境です。

ゆえに病院を卒業してキャリアアップ&高収入両立の転職を目指すなら、製薬会社がより望ましいといえるのです。

その上で次に問題となるのが、MRやCRAの求人募集をいかに探すかです。

製薬会社も求人サイトへの掲載を行いますが、残念ながらこれは数的に多くありません。自社ホームページで採用情報を載せている企業もあり、新卒、キャリア採用ともに行っているケースが存在しますが…、実際には中途採用組がその方向から攻めるのは不利。一社ごとの求人数が少ない上に応募者が殺到するので、非常に採用難易度が高い特徴があるのです。

対処法として最も有効なのは、転職サイトのコンサルタント活用です。近年、薬剤師が有利な転職を成功させるためにコンサルを利用するのが、セオリーのひとつになっています。

大手製薬会社や外資CRAの募集要項は大半が非公開となっており、一般のサイト上では閲覧できません。キャリアコンサルタントの求人紹介によって、ようやく知れる希少価値です。非公開の優良企業に出会うには、コンサルタントへの依頼が不可欠なのです。

また、会社ごとに一社一社の採用情報を確認し、電話でアプローチ、応募書類提出など実行する時間的余裕。これが現状勤務中の人には、あるはずもないですね。そういった部分をすべてマッチングの形で代行するのがコンサルタントですから、時間と手間の省力につながる点でも推奨できます。

ともかく、現在病院薬剤師として勤務する30歳手前の薬剤師なら、通常、ドラッグストアや製薬会社における同年代レベルの年収を得てはいないでしょう。

その割に、多忙さはMRなどと変わらないはずです。また病院に勤務し続けて薬局長への昇進を果たしたとしても、MRほどの収益は得られません。こういった側面は、どこか理不尽です。

同じような忙しさなら、せめて収入面の満足がほしいとの価値観を持つに至っても、誰も責めることはできません。薬剤師資格を活用した高収入への道を進むか進まないかは、個人の判断次第でOK。上記の不公平を是正する道は閉ざされていません。

薬剤師不足が叫ばれる昨今だからこそ、波に乗り遅れず適切な行動を取りたいものです。

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