薬剤師が在宅医療で活躍する時代に知っておきたい最低限の知識

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本格的な高齢社会が到来し、医療の現場は病院から「在宅」へ移行しつつあります。今後は、薬剤師も在宅医療の現場で本格的に活躍することが求められています。高齢患者への服薬指導をはじめ、薬剤師が「薬のプロフェッショナル」として在宅の現場で寄与できることは数え切れません。

しかし、薬剤師はこれまで調剤薬局で調剤するのがメインの仕事でした。在宅医療といっても、仕事内容はどう変わるのか、どんな役割を求められるのかイメージできないという薬剤師も多いでしょう。

そこで、このページでは在宅医療と薬剤師の関係について詳しく説明していきます。今後、薬剤師としてキャリアアップをしたいなら必須の知識となります。是非最後まで読んでみましょう。

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1.在宅医療で薬剤師に求められる役割は?

最初に、在宅医療の現場で薬剤師はどんな役割を求められるのか、についてみていきましょう。自分が担うべき役割と、その背景について確認しておくことで、働き方やキャリアのビジョンも見えてくるはずです。

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薬剤師が在宅医療に携わるよう求められるようになった背景

  1. 65歳以上の高齢者数は、2025年には3,657万人となり、2042年にはピークを迎える予測(3,878万人)
  2. 世帯主が65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していく。
  3. 国民の60%以上が自宅での療養を望んでいる。
  4. ケアマネジャーの50%近くが医師との連携が取りづらいと感じているなど医療・介護の連携が十分とはいえない。

このような問題が本格化している中で、薬剤師の在宅医療への本格的な進出が求められるようになりました。具体的に求められる役割としては以下の通りです。

薬剤師が在宅医療で担う役割

1.社会的入院から在宅療養への移行の促進(患者QOLの向上)

看護・介護職がやむをえず薬に関わっている現状を改善し、多職種の連携と相互の専門性を発揮して適正なサービスの提供すること。

2.在宅を担当する医師の負担軽減

薬学的管理指導に基づく患者状況の確認とフィードバック、患者の療養状態に応じた用法・用量の調節や処方変更の提案をすること。

「日本薬剤師会 在宅医療における薬剤師の役割と課題」より引用

2.在宅医療の具体的な業務内容、やりがいが知りたい

では、在宅医療で薬剤師はどのような業務を行うのでしょう?具体的な例を紹介します。

薬剤師の在宅医療の業務内容

薬剤師による訪問介護が必要な対象患者

  1. 入院や通院が困難な方(寝たきりの状態、自立歩行が困難、認知症など)
  2. ご自宅での医療が必要な方
  3. 脳梗塞後など、身体機能が低下した方
  4. 慢性的な痛みに悩まされている方
  5. 排尿や排泄、呼吸などの医療的管理を必要とする方
  6. 晩年をご自宅で過ごしたい方
  7. 在宅ホスピスケアを希望する方

このような状態の患者に対して、在宅医療の薬剤師は以下のような業務を行います。

在宅医療で薬剤師が担う業務

  1. 処方せんに基づき患者の状態に応じた調剤 (バイタルサインの確認、一包化、懸濁法、麻薬、無菌調剤)
  2. 患者宅への医薬品・衛生材料の供給 薬歴管理 (薬の飲み合わせの確認)
  3. 服薬の説明 (服薬方法や効果等の説明、服薬指導・支援)
  4. 服薬状況と保管状況の確認 (服薬方法の改善、服薬カレンダー等による服薬管理)
  5. 副作用等のモニタリング
  6. 在宅担当医への処方支援 (患者に最適な処方提案)
  7. 残薬の管理、麻薬の服薬管理と廃棄 ケアマネジャー等の医療福祉関係者との連携・情報共有
  8. 医療福祉関係者への薬剤に関する教育

「日本薬剤師会 在宅医療における薬剤師の役割と課題」より引用

やはり、調剤薬局やドラッグストアとは明確に異なる仕事内容が見受けられます。また、寝たきりの高齢者などを相手にすることがほとんどですから、コミュニケーション能力も必要になるでしょう。大変な仕事ですが、とても社会的な意義のある仕事です。

続いては、在宅医療を通じて得られる「やりがい」についてみていきましょう。

在宅医療のやりがいは?

在宅医療は「困っている方を助ける」という社会的意義の大きな仕事です。そこで得られるやりがいはどのようなものがあるでしょうか?

在宅医療で得られるやりがい

  1. 患者の様態に合わせて、医師に根拠のある投薬提案ができる
  2. 治療現場を直接見ることでモチベーションが上がる
  3. 在宅医療を経験することでキャリアの幅が広がる

上記以外にも、在宅医療の場合は親身に話を聞いてくれる患者が多い傾向があるので、指導のし甲斐があるというメリットもあります。相談に応えてあげたいという思いを強く感じながら働けるので大きなやりがいにつながるでしょう。

業務自体は大変ですが、他職種のスタッフと相談しながら患者に一番良い方法を考えるのが仕事の醍醐味です。一人暮らしの高齢者でも確実に薬を飲むことができるようになった、というような経験ができるのは在宅医療に関わる薬剤師ならではのやりがいではないでしょうか。

薬剤師の在宅医療への参加は、とても大きな意味があるのです。

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3.在宅医療の今後はどうなっていくのか

日本保険薬局協会が2015年1月~2月にかけておこなった調査を見ると、訪問薬剤管理指導(在宅医療)についての現状と今後を把握することができます。

訪問薬剤管理指導(在宅、居宅)を実施していますか?

(有効回答数:2228件)

月間の訪問薬剤管理指導(医療・介護含む)の算定件数はどれに該当しますか?

(有効回答数:985件)

まだまだ在宅医療を実施している薬局は少なく、実施しているとしても件数が少ない薬局が大半を占めているようです。

各薬局では、さまざまな在宅医療への取り組みを実践しています。たとえばアイングループでは患者さんに薬剤師の在宅医療の内容をもっと身近に感じてもらい、必要な方に必要な医療を提供出来るよう、薬局が出来るサービスや必要事項をより分かりやすく記載したリーフレットを作成しています。

4. 在宅医療の流れが知りたい

続いてはどのような流れで薬剤師の在宅医療は実施されるのでしょうか。まず実施に至るパターンは大きく分けて4つあります。

①医師の指示型

患者のかかりつけの医者や歯科医師からの指示によって薬剤師が在宅訪問をするパターンです。医師との情報共有や問題点の相互認識が必要不可欠です。

②薬局提案型

薬局窓口で患者の容態や服薬状況について疑問を抱いた薬剤師自ら、訪問指導を患者に提案するパターンです。この場合、患者に訪問の意義・目的を適切に説明することが必須です。

その後医師や歯科医師に情報提供をし、訪問指示を出してもらいます。患者同意を得た後に訪問指導を開始します。

③介護支援専門員提案型

介護支援専門員から薬局に相談した後に薬剤師が訪問指導するパターンです。①と同じく、介護職員との情報の共有と問題点の相互認識が必要不可欠です。

④多職種提案型

看護師、訪問介護員など多くの医療・介護職、家族からの相談によって実施に至るパターンです。

訪問後には処方医に対して報告書を速やかに記入し、薬歴に報告内容をまとめて記載して完了します。

5.薬剤師の在宅医療を取り巻く問題点・課題が知りたい

薬剤師が、在宅医療分野での活躍が期待されているのは前述のとおりです。在宅医療に意欲的な医療機関も多数存在しますが、全国的に見ればそれほど進んでいないのが現状です。その理由は以下のような課題があるからです。

薬剤師による在宅医療が進んでいない要因

  1. 薬剤師による在宅訪問業務の医療福祉関係者への周知・理解不足
  2. 在宅訪問業務の応需可能な薬局の情報不足 (届出情報と実際の対応可否に乖離)
  3. 在宅訪問業務に対応できる薬局・薬剤師の不足(経験不足、薬局規模、経営上の効率)
  4. 24時間、365日体制の構築ができていない

これらの課題の解決に向けて、薬剤師や薬局に以下のようなことが求められています。

在宅医療の促進に向け薬局・薬剤師に求められること

  1. 多職種との連携・協働の促進
  2. 薬局・薬剤師の在宅訪問業務の応需状況の把握と情報公開
  3. 薬局の役割や機能について、患者や医療福祉関係者への周知
  4. 退院時共同指導や在宅医療移行後のカンファレンス等への薬局・薬剤師の参画
  5. 薬剤師間(病院・薬局間、薬局間)の連携促進
  6. 必要な薬剤の供給に関わる薬事制度や規制の検討 医療関係団体間の連携の推進・強化

「日本薬剤師会 在宅医療における薬剤師の役割と課題」より引用

これらの課題が解決されれば、在宅医療の現場で薬剤師が活躍する機会がどんどん増えてくるはずです。それによって薬剤師に求められる役割が広がるのは間違いありません。

6.在宅医療に関する勉強がしたい。書籍や実施されている研修について知りたい。

将来的な薬剤師の在宅医療の広がりを見越して、自分で在宅医療についての勉強を進めている薬剤師も増えています。具体的な勉強方法としては以下の3つが挙げられます。

  1. 書籍やe-learningを利用して勉強する。
  2. 日本在宅薬学会で研修を受ける。
  3. プライマリケア認定薬剤師の資格を取得する。

特に③のプライマリ・ケア認定薬剤師の資格は在宅医療において大いに役立つ資格として注目されています。

プライマリ・ケア認定薬剤師についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので興味がある方はこちらも合わせてご覧ください。

7.在宅医療に携わるとどんなメリットがあるの?

在宅医療に携わっても年収はすぐに上がらない?

今後、薬剤師が在宅医療にかかわる機会は増えていきます。しかし、それがすぐに給料アップにつながるわけではありません。

国の政策として医療費の削減が叫ばれていますし、医療法人としても診療報酬以外からの収入源を確保するのに苦労している現状があります。これから先、どんどん医療費は削られていく一方です。薬剤師の負担アップにともなって給料もアップするとは限りません。

在宅医療に携わった経験は今後のキャリアに生きる

すぐに年収アップにつながる可能性は低いものの、在宅医療に携わった経験は将来的に大きなキャリアアップにつながります。

前述のように、多くの薬局が在宅医療を検討しているので、在宅医療を経験した薬剤師というのは転職市場で高い評価を受けることになるでしょう。

薬剤師の在宅医療を推進できている薬局が少ないのが現状ですが、今のうちに経験しておくとキャリアの幅が広がると言えます。

8.在宅医療の難しい点は?

在宅医療に注目している薬剤師は増加傾向にあります。しかし、興味があるから、将来性があるから、といった気持ちだけでは通用する世界ではないのも事実です。

訪問薬剤師は薬の運び屋ではありません。まず患者の主治医から信頼されることが必要です。医師からの信頼を築くのはそんなに簡単ではなく、信頼がないまま担当してしまうと、表面的な情報だけでやり取りしまうことになります。

医師は、適切な薬剤情報提供やコンプライアンス、副作用とみられる自覚症状の有無確認等を薬剤師に期待しています。

薬剤師が在宅医療を行う上で難しい点は、医師から信頼されていないと、患者の細かな症状等を共有してもらえないことです。そういった事態を避けるには、コミュニケーション能力、人間的な魅力が必要になります。

そのほか、在宅医療の世界に飛び込む前に知っておきたいことは山ほどあるのです。

9.不安があるなら転職エージェントに相談を

このような難しい点もあるので、在宅医療の世界に飛び込むなら慎重になる必要があります。しかし、その現場を見学できるわけではありませんし、相談できる人がいないという方も多いでしょう。

そんな方は「薬剤師専門の転職エージェント」に相談することをおすすめします。

在宅医療の実態を教えてもらえますし、求人を出している企業ごとの特徴、人間関係、待遇面などについて詳しく説明してくれるはずです。まだまだ未知数の部分が多い在宅医療だからこそ、こういった頼もしい相談相手が必要なのです。一人で悩まず、まずはエージェントに気軽に相談してみてください。

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