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企業の価値観、ありたい姿を大切にしたコーポレート・アイデンティティとは?
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『コーポレート・アイデンティティ(CI)』とは、直訳すると「企業の自己同一性」。その企業の個性・特徴を明確に提示し、イメージの統一を図るための活動のことです。
リモートワーク浸透などの変化に伴い、組織の遠心力が高まる昨今。その中で会社の求心力をどう高めるかという点に、多くの経営者・人事/広報担当者が関心を寄せています。
CIは組織の求心力そのもの。ではこのCIを、具体的にどう経営へ活かせばよいのか。
今回は『経営とCI』をテーマとしたトークセッションを、株式会社キュービックが主催。クレジットテック市場のパイオニアで、近年話題のティール型組織としても大いに注目される株式会社ネットプロテクションズ・代表取締役社長・柴田紳様、主力事業のSEOを起点としながら「デジタル変革」「働き方変革」を核にサービス領域拡大中、GPTW「働きがいのある会社」で9年連続ランクインの株式会社ウィルゲート・専務取締役COO共同創業者・吉岡諒様をお招きし、お話を伺いました。
事業・組織ともに好調な2社のCIと具体的なお取り組みについて掘り下げながら、各社の魅力をお届けします。
話を聞いた人
株式会社ネットプロテクションズ
代表取締役社長
柴田 紳(しばた しん)
1975年生まれ。1998年に一橋大学卒業後、日商岩井株式会社(現・双日株式会社)に入社。煙草事業に3年間取り組んだ後、IT系投資会社であるITX株式会社に転職。
すぐに株式会社ネットプロテクションズの買収に携わり、2001年より出向、2004年に代表取締役に就任。何もないところから、日本初の未回収率保証の後払い決済「NP後払い」を創り上げ、黒字化に成功。
世の中を変革する事業を創造すると共に、人が人らしく、 幸せを最大化できる組織づくりに強いこだわりを持ち、事業においても組織風土においても「つぎのアタリマエをつくる」というミッションの実現を目指している。
話を聞いた人
株式会社ウィルゲート
専務取締役COO共同創業者
吉岡 諒(よしおか りょう)
1986年岡山生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
代表取締役小島と共に2006年に株式会社ウィルゲートを設立。個人として累計で2,000社のWebマーケティングの課題解決提案を実施。
2012年に記事作成「サグーワークス」、2014年にメディア「暮らしニスタ」、2018年にはSEOのAIツール「TACT SEO」、2019年にはオンラインで編集チームが作れる「エディトル」、2020年にはM&A仲介支援サービス「Willgate M&A」をリリース。COOとして全サービスの管掌役員を務める。
Twitter:https://twitter.com/seoamigo
話を聞いた人
株式会社キュービック
代表取締役社長
世一 英仁(よいち ひでひと)
1981年埼玉県さいたま市生まれ。2005年に東京大学法学部卒業後、弁護士を目指して司法試験に打ち込むかたわら、ひとりでデジタルマーケティング事業をスタート。2006年には司法試験に区切りをつけて事業を法人化、現在に至る。
フィールドワーク重視のマーケティングが特長。表面的なニーズではなくインサイトを的確に捉え、人々をよりスムーズな課題解決体験へと導く。従業員数約300人、内約130名が学生インターンという特徴的な組織。
2019年度「Great Company for Students supported by ONE CAREER」において「Great Company for Students」10社として選出。2018〜2021年度「GPTW働きがいのある会社ランキング」、4年連続ベストカンパニー受賞。
Twitter:https://twitter.com/41hide
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この記事の目次
1.各社のコーポレート・アイデンティティ(CI)
世一:それでは、最初にウィルゲート社、ネットプロテクションズ社の企業概要とCIを簡単にご紹介いただければと思います。まずはウィルゲート社、吉岡さんお願いします。
吉岡:ウィルゲートは、SEOコンサルティングとウェブ記事作成支援を中心に、デジタルマーケティング全般のコンサルティングを行う会社です。現在は成長中のベンチャー企業に対してデジタル化支援も行っており、「デジタル変革」と「働き方変革」を核にサービス領域を広げています。
ウィルゲートのミッションは「一人ひとりの『will』を実現する」。それにひもづく形でビジョンとバリューが用意されています。
2008年に離職者が増えたタイミングで、自分たちのありたい姿を再定義したものがこれらです。バリューにはウィルゲートで働く社員に大切にしてもらいたい価値観が集約されており、「当たり前に感謝し、“アタリマエ”を疑う」や「いかなるときも『三方よし』を追求する」など全部で7つの項目があります。
世一:ありがとうございます。続いてネットプロテクションズの柴田さんお願いします。
柴田:ネットプロテクションズは、ECや実店舗に向けて後払い決済サービスを提供しています。テクノロジーを活用して新しい信用を創造する「Credit Tech(クレジットテック)」のパイオニア企業として、国内BtoCだけでなく海外やBtoBも含めたあらゆる商取引を円滑にしていくことを目指しています。
ミッションは「つぎのアタリマエをつくる」。ビジョンはネットプロテクションズらしさを言語化したものです。「競争しあうのではなく、みんなで会社をつくっていく」「誰かの挑戦や成長を阻害しない歪みのない関係性を作る」など、組織として大切にしている考え方とも言えます。
バリューは社員のあり方をまとめたもの。本質思考や誠実であることなど、採用基準にもなっています。
2.CIの成り立ちについて
世一:続いて、CIの成り立ちについてお伺いしてもよろしいでしょうか。いつ、どんな経緯で、ミッション・ビジョン・バリューができあがったのか教えてください。まずネットプロテクションズ柴田さん、いかがでしょう。
柴田:うちは8年前に社員全員で作りました。当時は部分的にはまとまっていたものの一部バラバラみたいな状態でして。中途で採用した中間管理職層のマネジメントスタイルの違いがその原因となっていました。過去働いていた組織の常識がその人の常識となっていたので、それでは全社的にうまくまとまるはずもないと。そこで、ネットプロテクションズとしてのありたい姿を社員全員で考えることにしたんです。
世一:当時はまだ今ほどフラットな組織ではなかったんですか?
柴田:ええ、現在のようなフラットさはありませんでした。1年間くらいかけて、50人の社員全員で考えましたね。
世一:50人全員で議論はすごいですね!どのように進めたのでしょうか。
柴田:7〜8人で1チームとして、各チームで3ヶ月間自分が社長だったらどんな会社にしたいかを考えてもらいました。
3ヶ月くらいでチームごとの方針を固めて、そこから9ヶ月くらいかけて全体で組織の価値観について議論しました。議論を通じて、自分たちは何を大事にするどんな組織でありたいのか、徐々に目線があっていきました。
ただ、そのプロセスに携わった50人の社員ですが、2年後には半分程になってしまいました。しかし、残った人の中で組織のありたい姿や価値観がしっかりと揃えられたことで、その後に入社してきた人も含めて離職が減り、今の組織風土になることができました。
世一:議論を通じて、組織の価値観が揃った結果、離職率が下がったんですね。素晴らしい。ウィルゲートさんはどのようにして現在のCIができたのでしょうか?
吉岡:弊社のCI誕生のキッカケは2008年に離職者が増えたことでした。働くうえでの価値観のズレが、離職者増加の引き金になりました。
ウィルゲートは私が大学2年生の時に学生起業で誕生した会社です。当時は少人数組織でもあったので、気合と根性、仕組みが弱くてもなんとかなっていました。20歳ぐらいの時に、1億円を資金調達をして採用を強化しました。そこで30代の即戦力人材を一気に20人くらい採用したんです。だけど、価値観がバラバラで・・・。価値観がバラバラだから、そこから生じてくるアクションも当然バラバラ。例えば、頑張っている仲間を馬鹿にするような発言が行われたり、“ウィルゲートらしくない”言動が見受けられるようになりました。
このままではウィルゲートがウィルゲートではいられなくなってしまうと思い、改めて私たちが大切にしたいことを言語化し、Value(価値観)ができたんです。事業というより、組織としての価値観を言語化して作られました。
3.企業の価値観と事業の一貫性
世一:各社とも新しく迎えたメンバーと既存メンバーとの間で「何をよしとするか」にズレが生じ、組織のありたい姿を見つめ直してCIができていったようですね。ところで、CIには創業者の想いも反映されやすいと思うのですがその点についていかがでしょうか?
柴田:そうですね。実は私、新卒で大手企業に入社したのですが、当時結構放置されていまして…。自分の中ではあまりよい思い出として扱えていないんです。ですから、あの時の私と同じような想いを若者にさせたくない、という想いはあるかもしれないですね。
世一:その想いはネットプロテクションズさんのCIや組織に反映されているのでしょうか?
柴田:仕組みのあらゆるところに反映されていると思います。若い人が自分らしく働ける環境となると、「フラットな組織の方がいいよね」「成長や自走は阻害したくないよね」となりますので。
世一:事業と組織のありたい姿に一貫性はありますか?
柴田:ビジョンの一つ目である「歪みがない事業・関係性を作る」は、組織にも事業にも、一貫して言えることです。うちのサービスはインフラとも言えるので「それぞれのユーザーに公平公正に使ってもらいたいよね」といった会話はよく上がります。
あとは、各部署や事業ごとで戦略を立ててもらっていますが、そこではマネジメント層だけでなく全員で議論します。その際に判断基準となるのはやはり会社や組織が大切にしている価値観になるので、組織のありたい姿がそのまま事業に反映されていきますね。
世一:なるほど、ありがとうございます。CIと事業の一貫性という視点でみると、ウィルゲートさんはいかがでしょうか?
吉岡:ウィルゲートの創業事業はSEOのコンサルティングなのですが、2013〜2015年ごろには事業の多角化期を迎え、新規事業として色々とチャレンジをしていました。その際、CIとの一貫性を考えずアイデアベースでチャレンジした事業で失敗した経験があるんです。短期的には年間数億円の売上まで成長したのですが、中長期的には他事業とのシナジーやミッションに対しての一貫性がいまいちで、結局事業売却することとなりました。
そうした経験を経て、ミッション・ビジョンと一貫した事業展開をできているかという点には注意するようになりました。
そして、ミッションに合わせて一人ひとりの『will』に寄り添える事業に集中していこうとなったのが2015〜2017年の選択と集中期です。例えば、ライターや編集者のフリーランスを活用した記事作成代行事業の「サグーワークス」や「エディトル」を例に挙げると文章を書くのが好きな方の想いを実現するために、お仕事をフリーランスの方々に供給していこう、など事業とCIの一貫性を持たせています。
4.企業として大切にしたい価値観を定着させるためには?
吉岡:そうですね。私たちの場合は、採用段階でバリューフィットを高めたり、フィットする人材かをしっかり見たりしています。「入社後に人を変える」というのは互いに不幸になるやり方だと思うので、採用時の見極めが非常に重要だと考えています。
採用段階でその点がうまくやれていると、その人たちが入社後結節点となって会社のあり方や目指す方向を周囲に広めたりしてくれるんですよね。
柴田:会社を語れる人を増やすことは大切なことですよね。よくわかります。うちも合宿を通じて、社員全員がメッセンジャーになれたことは大きかったですね。合宿後は会社の方向性で迷いが出ることは少なくなりました。
また、浸透の取組みでいうと弊社は座談会に力を入れています。5人くらいのチームに分けて、新卒は1年半、中途は1年の間、定期的に座談会で会話する機会を設けています。
CIの浸透を目的に座談会を設けているわけではないですが、最近の業務や悩みなどを話す中で会社の方向性や大切にしたいことが伝わっていたりもするのかなと思っています。
5.CIは変化し続けていくもの、発信の場を設けて『良い会社』を増やしていきたい
世一:本日はネットプロテクションズ柴田さん、ウィルゲート吉岡さんのお二方にCIについてお話いただきました。各社、それぞれの形でCIの浸透に力を入れていらっしゃいましたが、CIは社会の変化、顧客の変化、従業員の変化によって再構築され続けるもの。
そうした変化の中でCIを隅々までいきわたらせるには、ネットプロテクションズ柴田さんの座談会の話にもあったように代表のコミットも重要だと思っています。
事業・組織と会社の価値の理念が一貫している『良い会社』が世の中に増えていくためにも、こうした取組みや機会をこれからも増やしていきたいです。みなさま、本日はご参加いただき、ありがとうございました。
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