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入社3年以内に転職を考えたら知りたいことー「2019年卒 新卒者の入社後追跡調査」を紐解くー

「本当に、これがやりたかった仕事なのだろうか?」

学生から社会人になりまだ日が浅い中、自分の仕事にギャップを感じている人は、そんな思いを抱いているかもしれません。

実は、ここ20年に渡って「入社後3年で3割の人が転職を志向する」という傾向が続いています。

一定数の新卒入社者が転職を志向する背景には、どのような事情があるのでしょうか。今回は「2019年卒 新卒者の入社後追跡調査」の調査元である公益社団法人全国求人情報協会に離職の背景や離職者を取り巻く環境について話を聞いてきました。

調査結果に対する解説と合わせて、キャリアに悩む20代が前向きな一歩を踏み出すためのヒントをお届けします。

話を聞いた人

増本さんの近影お写真

増本 全(ますもと ぜん)
全国求人情報協会 新卒等若年雇用部会事務局 事務局長

清水山さんの近影お写真

清水山 隆洋(しみずやま たかひろ)
全国求人情報協会 新卒等若年雇用部会事務局 調査担当

※当サイトは口コミの一部を掲載しています。

1.「2019年卒 新卒者の入社後追跡調査」とは?

2019年卒新卒者の入社後追跡調査」は、新卒入社直前の大学4年生、大学院2年生を対象に実施した調査です。

就職活動の振り返りと就業意向についてアンケートを入社前に実施し、入社半年後にどのような変化が起こっているかを追跡調査。入社前後の話を聞くことで就業意向の変化を可視化しています。

調査の背景は、3年で3割の人が離職する実態を正しく捉え、対策の糸口を見出そうというもの。そのために、入社前後の新入社員の就業意向・行動を調査しているのです。

この調査では、以下2点が見えてくるように意識して設計されています。

  1. 入社前後に職場でどれだけの「対話」がなされていたのか
  2. 入社後に定着・活躍する人の学生生活や就職活動の取り組み方

入社後調査において、「対話」に関わる項目を設けることで、職場でどのような対話があったのか、それを踏まえて就業意向がどう変化したか、が見えてきます。

また、就業意向がある人の、学生生活や就職活動の取り組み方を遡ることで、入社後の活躍につながる就職活動方法が見えてくるでしょう。

望ましい初期キャリア形成のための就職活動の進め方や入社後の職場環境がどのように就業意向に影響するのか、など新卒入社におけるミスマッチの要因を分析するための調査です。

2.「2019年卒 新卒者の入社後追跡調査」で見えた傾向

まず、今回の調査結果から次の3つのポイントが見えてきました。

では、それぞれのポイントについて、具体的に見ていきましょう。

入社時に「転職意向」であった人は、入社後に「就業意向」へ変わることが少ない

入社前後の転職意向の違いをまとめたスライド1 入社前後の転職意向の違いをまとめたスライド2

▼データから読み取れること

  • 新卒入社時の就業意向・転職意向については、およそ4人に1人が入社時に転職意向
  • 転職意向と回答した方の多くは入社後約半年時点も転職意向、または離職済み
  • 入社後に転職意向から就業意向に転じたのは、全体の2.2%

▼考察

入社時に「転職意向」であった人は、入社後に「就業意向」へ変わることが少ないです。このことから、新卒入社時に就業意向をもって職場を意思決定することが長く働くうえで大切であることがわかります。

入社時に「就業意向」であった人は、就職活動を通じて、自己理解や企業理解に力を入れていた

入社時に就業意向が高い人が就職活動で力を入れたこと1 入社時に就業意向が高い人が就職活動で力を入れたこと2

▼データから読み取れること

  • 自己分析、企業説明に力を入れたか否かは、就業意向者と転職意向者間で大きな差がある
  • 入社時に就業意向の人は、以下の傾向が見受けられる
  • 就職活動中に自己分析・企業研究・職種研究に力を入れた割合が高い
  • 企業説明会・インターンシップへの参加・大学のキャリア相談の利用割合が高い
  • 給与や勤務地などの就業条件だけではなく、事業の将来性・特徴について情報収集をした割合が高い

▼考察

インターンシップや説明会を通して企業や業務内容を理解し、大学のキャリア相談などを活用しながら自己分析を深める。

そういった準備ができた人は、入社時の就業意向が高くなると考えられます。

また、就業意向の人には、自己分析や情報収集に対して、自分でも力を入れたと思っている人が多いです。自分がやりたいことを理解したうえで、実現できる企業を見定めるための取組みが重要であると言えます。

業務以外のことも相談できる指導担当や先輩社員がいると、入社後の「就業意向」につながりやすい。

新卒者の入社後「就業意向をまとめたスライド」

▼データから読み取れること

  • 就業意向の人は「担当業務以外のことも相談できる」指導社員がいる割合が高い。
  • 転職意向に変わる人は「自分から相談することはない」割合が高い。

▼考察

日本の就活においては、メンバーシップ型採用が新卒採用の前提になっている企業が多いため、希望通りに配属されるとは限らないのが現状です。

ただ、入社前だけではなく入社後にも「配属希望を伝える機会がある」という場合、就業意向が継続しています。希望通りに配属されるかではなく、配属希望など、職場と本人で「対話」する機会を設けることが、就業意向を高めるうえで重要であることがわかります。

また、周囲で働く人との対話が就業意向にもたらす影響も大きく、上司や先輩と担当業務以外のことで相談できるかどうかが就業意向にも影響しています。

対話の機会がない場合、自分のことを聞いてもらえず、孤立していると感じる可能性が高く、人間関係への不信・不安が募っているのかもしれません。

3.早期離職者の実情を紐解く

では実際に早期離職をしている人の傾向について「若者にとって望ましい初期キャリアとは〜調査結果からみる“3年3割”の実情〜」を参考にしつつみていきましょう。

第二新卒の離職状況

厚生労働省「新規学卒者の離職状況」によると、大卒者が入社3年以内に離職する割合は、若干の変動はあるものの、約20年間、3割前後と変化はないように見てとれます。

しかし、業種別の離職率まで深ぼってみると人材定着の取組みが定着率向上につながっている可能性もあるという見方もできそうです。

離職状況を業種別に見てみると以下のように分けられ、離職率は業種によって大きく異なります。

業種 3年以内の離職率
製造業、金融・保険業 約20%
建設業、卸売業 約30%
小売業 約40%
宿泊業・飲食サービス業 約50%

一方で、大学卒業後の就業先を業種別で見たところ、2003年時点では、製造業が2番目に人気の就職先でしたが、2018年では小売り・サービス業などの他の業種と比べて離職率が高い産業に就職する割合が高まっています。

つまり、産業構造の中で離職率が高いとされている業種への就職が増えていることが、早期離職者が増えているという見方もできるのです。

そうした環境変化がありつつも、20年間にわたり「3年3割」という数字が変わらないことは、企業が人材定着に対しての施策を進め、成果につながっているのではないかという見方もできるのではないでしょうか。

続いては、早期転職者の満足度を見てみましょう。

実際に早期転職者の70%は「満足している」と回答

早期転職者の満足度をまとめたスライド

調査結果によると、早期転職の満足度は約70%で、小規模企業への転職や、賃金が下がる転職でも半数以上が「満足している」と回答しています。

このことから、早期離職の中には、「いい離職」と「悪い離職」が混在しているといえます。早期離職に「いい離職」があるならば、それも含め、望ましい初期キャリアを獲得するためにはどういう活動が必要なのでしょうか。

転職者の満足度で分けて見てみると、「転職時に重視にすること」への焦点の当て方に違いがありました。

転職満足度 重視した項目
満足している人 「仕事内容」「業種」「自分のスキルが活かせるか」「雰囲気・組織風土」
満足していない人 「給与」「労働時間・休日・休暇」「勤務地」「福利厚生」

このように、給与や労働時間などの条件を重視するのではなく、仕事内容や業種、会社の雰囲気など企業理解をしたうえで職場を選んだ人の方が満足度が高くなっていると見て取れます。

望ましい初期キャリアを獲得するためには、やはり「自己分析」と「企業研究」が重要であるといえるでしょう。

言い換えれば、自分の経験・能力(スキル)を明確にし、どのような社風・組織風土であれば力を発揮しやすいかを分析した上で、次の職場を選ぶことが納得のいくキャリアへの近道になるのです。

4.早期離職を考えた際は「ギャップ」を見つめなおそう

これらの調査結果を踏まえて、増本氏、清水山氏に早期転職を考える方へ転職時のポイントを聞いてみました。

入社して3年以内に転職を考え始めたのであれば、まずはその理由を考えてみてください。避けてもらいたいのは、今感じている不満やギャップを振り返らずに、「今が嫌だから」という理由で転職することです。

そうすると、また同じ理由で転職をすることになりかねません。<入社後の不満を深堀ると入社前とのギャップがどこかにあるはずです。「入社前は〇〇だと思ったのに、実際は△△だった」というものを書き出してみるといいでしょう。

ギャップが明らかになったら、以下の順で深堀りをしみてましょう。

  1. 今ある嫌なことのギャップは、何に関するものなのか?
  2. そのギャップは、就職活動のときに「就職先を選ぶうえで重要なこと」だと認識していたか?
  3. そのギャップを生まないために、就職活動の時に具体的な情報を収集していたのか?情報収集の方法は適切だったのか?

そのギャップを生まないために、就職活動の時に具体的な情報を収集していたのか?
情報収集の方法は適切だったのか?
1で上げた項目が複数ある場合、それぞれに対して、2、3の深堀をおすすめします。

就職活動の際に重要性が見えていなかったギャップであれば、自分にとって本当は重要なことだと認識を改める必要があります。

また、情報収集していなかったのであれば、「次は納得して職場を意思決定できるまで調べてみる」ことを意識するといいでしょう。そして納得できるまで情報収集してみたうえで、転職するかいまの勤め先でもうちょっと頑張ってみるか、もう一度考えてみることが重要です。

情報収集していたのであれば、本当に必要な情報を収集しきれていたのか、見つめ直すのも手です。方法を変えればもっと多くの深い情報を得られる可能性もあるので、今までのやり方を見直してみる姿勢も大切にしましょう。

転職に限らずとも、自分の会社の上司や先輩と、業務以外の、社風や社内ルールについて改めて対話の機会を作ってみても良いかもしれません。認識をすり合わせることで、抱えている違和感を解決することができることもあるでしょうから。

もし、今の仕事に納得感がないのであれば、ギャップに目を向けて自分にとって望ましいキャリアとは何か、考える機会なのかもしれません。

取材先情報

全国求人情報協会(https://www.zenkyukyo.or.jp/

公益社団法人全国求人情報協会(理事長:鈴木孝二 略称:全求協)は、1985年2月に設立。全国の求人サイト・求人情報誌・ 折込求人紙・を運営・発行する67社の会員で構成されており、自主規制のための掲載基準作成、求人情報に関する苦情・相談 業務や調査・研究などの活動を実施。年間求人広告件数は1767万9752件(2019年)にのぼる。

(文 衣笠可奈子)

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