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この記事の目次
フリーランスに向いている科目は?
フリーランス医師と聞いてイメージするのは、医療ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子」や、手塚治虫の名著「ブラック・ジャック」ではないでしょうか。
でもそれはドラマの中での話。フリーランス医師の実態はどうなのでしょうか。科目ごとに見てみましょう。
外科医はフリーランスになりにくい?
フリーランス外科医は実在しないわけではないのですが、数は少ないです。
難治症例の外科手術をするには、手術前の入念な検査が必要ですし、患者やその家族との信頼関係も欠かせません。これだけの準備をすることは、フリーランスの立場では難しいでしょう。
また外科医は手術後も、経過観察やリハビリの処方といったたくさんの仕事があります。手術だけを依頼される外科医は、世界でもほんの一握りのカリスマ的人物に限定されるのです。
フリーランスに向いているのは麻酔科医!
フリーランスに転向しやすい診療科は、麻酔科です。フリーランス麻酔科医の需要が多い理由は、慢性的な麻酔科医不足と、フリーランス向きの業務形態の2点が考えられます。
麻酔科の医師不足は深刻で、1人の麻酔科医が同時に数件の手術を受け持つことは珍しくありません。
こうした常勤の麻酔科医や外科医への負担を避けようと、「高い報酬を支払ってでも、フリーランスに来てもらいたい」と考える病院が多いです。
次にフリーランス向きの業務形態についてですが、麻酔科医は手術が終了すれば業務が完全に終わります。手術後に患者の容態が悪化しても、麻酔科医が登場することはありません。
つまり、麻酔科医の業務形態がフリーランス向きなのは、「1回完結型」だからです。
【体験談】実際にフリーランスとして働いている医師に聞いてみた
民間病院勤務医→フリーランス (30代 男性 東京都)
まず私が医師になりもっとも不満だった点は医局の人間関係でした。せっかく医師という国家資格を手に入れたのに、医局の人間関係に煩わされ、どの病院で働くかも制限されるのは大きな問題点だと思います。医局による人事で大学病院などで勤務を行うと、残業やオンコールなどがしばしば発生し、肉体的な負担がとても大きいということが不満点でした。
いまいち自分には合わないと感じ、フリーランス医として働くことを選択しました。現在は東京・埼玉・山梨と広い範囲の病院を回っていますが、勤務は契約により決められているため過剰な残業やオンコールもなく、自分のペースで働くことができます。収入も以前より1000万円以上増えました。
専門医を取得しづらい、国民年金のため老後に若干の不安が残るというデメリットもありますが、それ以上に「自分のペースで働ける」ということはメリットだと感じています。
フリーランスのメリットは高収入だけではない?
フリーランスを長く続けている医師は「もう常勤医には戻れない」と言います。この働き方には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
勤務時間のコントロールができる
フリーランス医師として働くことの1つ目のメリットは、時間に縛られないことです。
病院の勤務医もクリニックの開業医も、自分の勤務時間を自分でコントロールすることはできません。ところがフリーランス医師は「この日は仕事をしない」と決めれば、仕事を入れなければよいのです。
極端な話、「先月はたくさん稼いだから、今月は休みを多くしよう」と調整することも可能です。業務内容もコントロールできます。
例えば糖尿病疾患を専門に診たいフリーランス医師が、誤って一般内科領域全般を診なければならない職場を選んでしまった場合、契約を更新しなければよいのです。
フリーランス医師には「嫌な仕事はしない」という選択をすることができるのです。
年収の大幅なUPが可能になる
2つ目のメリットは、年収の高さでしょう。多くの勤務医は「激務の割に給料が良くない・・・」と感じています。しかしフリーランスに転向すると、かなりの高確率で年収がアップします。
フリーランス医師の時給の相場は1万円といわれています。
- いっさい残業なしの1日8時間勤務
- 年120日休み
例えばこのような条件は、病院の常勤医では実現するのは難しいはずです。それでも年収2,000万円もらっている常勤医は多くはないでしょう。
フリーランス医師は、年収面のアドバンテージが大きい働き方といえます。そのため「開業資金1億円ためる」と決意してフリーランス医師になる人もいます。
人間関係の気疲れがなくなる
フリーランス医師の3つ目のメリットは、煩わしい人間関係をもたなくてよいということです。ある麻酔科医は「フリーランスになってから、収入が2倍になって人間関係の悩みは10分の1に減った」と言います。
勤務医でも開業医でも、看護師ともめた経験をおもちかもしれません。勤務医の場合はさらに、上司の医師や経営者、事務長といった「軋轢の原因たち」がいます。
「病院内のしがらみから解放されたかった」という動機は、年収アップよりも大きいかもしれません。
また勤務医も開業医も「対患者」という人間関係に悩まされますが、「1回完結型」のフリーランス医師は、その悩みが相対的に小さくなります。
ただ、フリーランスになるデメリットも…
一方でフリーランス医師にはデメリットも存在します。
そのため「年収アップ」や「しがらみからの解放」という大きなメリットがあるにもかかわらず、フリーランスになることをためらっている医師がいるのです。
医療ミスがあった際に病院が守ってくれない可能性がある
フリーランス医師のデメリットの1つ目は、医療ミスを犯してしまったときの対処です。フリーランス医師がミスを起こした現場となった病院は、その医師を守るどころか「被害者」になることがあります。
病院が被害者になるということは、病院が家族側につくということです。 例えば病院が「そのフリーランス医師が勝手にやった」と言ったら、裁判でフリーランス医師が勝てる見込みはないでしょう。
自分でスキルを磨き続けなければならない
フリーランス医師のデメリットの2つ目は、学びの環境が少ないことです。病院によっては、常勤医たちがフリーランス医師を歓迎していないところもあります。
そのような常勤医たちがフリーランス医師に最新医療を教えるはずがありません。そのようなケースではフリーランス医師は、「自腹」で学会に出向き情報収集をしなければなりません。
「自腹」は交通費や学会の経費のことだけではありません。
病院勤務医の場合、学会に出る日も給与は支払われますが、フリーランス医師が学会に参加する日は「無収入の日」となります。もちろん、高額な医学書もすべて自前でそろえなければなりません。
税金・保険等の管理を自分でしなければならない
病院には、優秀な事務員が数多くいます。病院勤務医は事務員のおかげで、煩わしい税金や保険に関する事務にタッチしないで済んでいるのです。
フリーランス医師のデメリットの3つ目は、確定申告も税金対策もすべて自分で行わなければならない、ということです。ほとんどのフリーランス医師は税理士や社会保険労務士に頼んでいるそうです。
通勤のストレスがかかる
小さな問題ながら、ボディブローのように後から効いてくるのが、通勤ストレスです。
フリーランス医師はとにかくどこにでも出向く必要があります。ときには泊りがけで「出勤」しなければなりません。通勤経路が毎日違ったり地方のホテルの利用が多くなったりすると、精神的にも相当疲れてくるでしょう。
フリーランスになる前に確認すべき2つのポイント
メリットが大きいと同時に、根深いデメリットも存在するフリーランス医師への転向。もし「自分はフリーランス医師になりたいけど少し迷っている」という状態でしたら、早計に判断しないでください。
フリーランスになる前に医師がすべきことを考えてみましょう。
1. フリーランス医師になるのは難しい!
まず行うべきことは、1人で決断しないことです。なぜなら、フリーランス医師になることは、病院勤務医になるより何倍も難しいからです。
医師が病院の勤務医になることは「普通」のことですがフリーランス医師になることは、日本ではまだ「普通」ではありません。つまり「フリーランス医師への転向の仕方」といったマニュアルは存在しないのです。
何の情報も得ずに、今の勤務先の病院を辞めて、「明日からフリーランスになる」ことは不可能というより無謀です。そのため、1人で決めてしまわず、必ず誰かに相談しましょう。
2. 相談は 「最適な相手」に
では誰に相談したらよいのでしょうか。家族への相談は避けたほうが無難でしょう。「フリーランスになる」と言ったら家族はきっと動揺し、自身も冷静な判断ができなくなってしまうかもしれないからです。
現在の勤務先の医師に相談するのも、当面は避けてください。なぜなら、フリーランスになるといううわさが広がってしまうからです。退職の意向を知る人の数は、実際の退職日まで少ないほうが「吉」です。
つまり相談相手として最適なのは、医師転職エージェントです。彼らはフリーランスの仕事について熟知しておりかつ転職支援のプロだからです。
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さらに転職エージェントは、医師の現在のスキルを聞き、「現時点で年収の相場」を教えてくれるでしょう。この情報は「フリーランスになるかどうか」の判断に欠かせません。
そして転職エージェントを活用するもっとも大きなメリットは、医師が抱える大問題である「フリーランスになるのは今か」について適切な助言が受けられることです。転職エージェントは医師の背中を押すだけではなく、ときに「今ではありません」とコメントするケースもあるのです。
転職エージェントの活用には、「デメリットがない」というメリットもあります。サイト登録はもちろんのこと、エージェントへの相談もすべて無料です。
フリーランス医師の情報を多くもつ転職エージェントたちに相談することは「百利あって一害なし」なのです。
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