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転科は医師にとって大きな決断が必要になります。慎重になるのは当然のことと言えるでしょう。
転科を成功させるためには情報収集が何より大事。そのためには信頼できる身近な医師に相談したり、インターネットなどで情報収集するなどの方法があります。また医師転職のエキスパートである「転職エージェント」に相談するのも有効な手段です。医療業界を取り巻く状況や地域ならではの状況なども踏まえて、親身に相談に乗ってくれるはず。
この記事では転科のメリットやデメリットなど、転科に関する有益な情報を網羅して紹介しています。
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この記事の目次
医師のリアルな転科事情
まずは転科のタイミングや具体的な方法について見ていきます。
いつ転科する?転科の適切なタイミングとは
転科には年齢制限はありませんが、医師が転科を考えるタイミングがいくつかあります。
まず30-35歳です。大学を卒業して医師としてしばらく経験を積んでいくうちに、「自分はこのままこの診療科にいていいのだろうか?」と疑問を抱く医師も少なくありません。
こういった早い段階で不安に気づいた場合には、早めに行動に移すことをおすすめします。なぜなら専門医取得を考えたとき、より多くの経験数と症例数を積むことができる若いうちの方が有利に働くためです。
次に40-45歳。この年代は開業適齢期とも言われており、将来の開業を見据えて転科に踏み切る医師が多いと言えるでしょう。
そして50-60歳です。この頃になると、転科するのは生涯医者として現役を希望する医師や体力的な不安からより負担の少ない診療科に移動する医師が主になるでしょう。
いずれにしても、自分にとってベストなタイミングを見極めて転科することが必要になります。
異動、転職、開業という3つの道
転科の動機が固まったら、具体的な転科の方法を選択します。転科するためには、次の3つの方法があります。
- 今の病院の中で異動する
- 今の病院を退職して希望する診療科がある病院に転職する
- 開業をする
最も無難な方法は、今の勤務先内で異動することです。「それこそ周囲の目が気になるのではないか」と感じるかもしれませんが、意外にすんなりいくことがあります。
例えば心臓血管外科医が1人しかいない病院ですと、手術のときに泌尿器科医に補助を頼むことがあります。補助とはいえ、仕事を目の前で見ているわけですから、多くのことが学べるわけです。院長も許可しやすいはずです。
また、消化器外科から消化器内科へ、というように転科しても専門臓器が変わらない場合、同じ施設内で転科が実現しやすいです。
しかし先生が希望する転科の内容が「違う臓器」「内科⇔外科」の組み合わせの場合、病院の経営陣に転科を認めさせることはハードルが高いでしょう。
その場合、今の病院を退職して別の病院に転職したほうが転科しやすいはずです。しがらみを捨て、心機一転、新しい職場環境で新しい科目を始めたほうが先生も医療に集中できるでしょう。
そして、転科を最も成功させやすいのは開業です。病院に所属する常勤医師に比べて自分が好きな治療を好きなように展開できます。
しかし当然のことながら、クリニックの開業には多額の資金が必要ですしリスクもあります。「転科のための開業」はあまりおすすめできません。
あなたはどれ? 医師が転科を決断する3つの理由
医師が転科を考えるには、それなりの理由やきっかけがあるものです。調査の結果、主に以下の3パターンがあることがわかりました。
それぞれ詳しく解説しますので、自分がどのパターンなのか把握しましょう。
やりたい事が変わった/キャリア実現のため
医師として仕事をしていくなかで、ほかの診療科に興味が移ることは珍しいことではありません。
たとえば一般内科医が精神科領域の医学的な面白さに魅かれ、精神科に転科するケース。医学でありながら精神疾患を抱える患者の「心」に触れる精神科領域は、魅力的に映るでしょう。
また医療機器の発展が再発見型の転科を促すこともあります。最新の医療機器を目の当たりにして「使ってみたい」と思うのは、知的探究心あふれる医師の「性(さが)」といえるでしょう。
ほかにも、開業の準備としてプライマリケアの包括的な知識を身につけるため、内科に転科したといったケースもあるようです。こういったキャリアチェンジが見据えた理由も、転科のきっかけとなるようです。
現状の不満を解消したい
現在の収入や勤務状況などに不満があり、それを解消するため転科するパターンです。
社会問題ともいえる医師のブラックな職場環境、そして上司のパワハラに耐えかねて、というケースもあるでしょう。
また形成外科医や一般皮膚科医が美容皮膚科に転科すると、年収を倍以上増やせる可能性もあります。美容皮膚科の求人を見ると2,000万円、3,000万円といった年収提示が散見されます。
ワークライフバランスや体力の問題を解消したい
若いうちは体力的に無理ができたものの、ある程度年齢を重ねて働き方そのものを変えたいという理由の転科です。
または働き方や生き方の多様化に伴い、「自分なりの働き方」「家族を優先した働き方」を重視したうえでの転科もあるでしょう。
また心臓血管外科や脳神経外科など、緊急手術が多い外科医たちは労働の過酷さから心身ともに疲弊しています。
令和2年の厚労省の調査によると、週の診療時間はやはり外科と脳神経外科がトップ2となっています。
出典:厚生労働省「医師の勤務実態について」(pdf)
これらの診療科で働く疲弊した医師たちは、内科への転科を希望する傾向にあります。内科のほうがじっくり患者と向き合えるからです。 いわば「燃え尽き型」の転科ともいえるでしょう。
知っておきたい転科のメリット・デメリット
転科には一大決心が必要です。それはメリットもデメリットもとても大きいからです。
転科のメリットは「望みがかなうこと」
転科のメリットとは、「希望が叶うこと」です。
激務から解放されたかった先生は落ち着いた仕事を手に入れることができます。新しい医療分野に興味を持った先生は、「学ぶ喜び」と「治す喜び」を実感できます。報酬アップのために転科した先生は、高額年収を獲得できます。
なぜなら医療機関は「きちんとした動機があって転科するドクターは、きちんと働いてくれる」という経験則があるからです。転科をする医師に寛容な医療機関は珍しくありません。
転科のデメリットは「失うものの大きさ」
転科することのデメリットは、これまでのキャリア、実績、評価の多くを失うことです。
例えば45歳の一般外科医が一般内科に転科した場合、研修医の頃から一般内科一筋でやってきた40歳の総合内科専門医に専門性やスキル面では太刀打ちできないでしょう。
これはかなりのストレスとなります。転科には「そのようなストレスを味わってもかまわない」と感じられるくらいの意欲が必要になるでしょう。
ただし転科に成功すれば、転科前と転科後の医療知識・技術が融合して患者に高度な医療を提供でき、結果として公共福祉にもつながるはず。ただしその域に達するには、少なくとも数年は必要です。
【体験談】聞いてみた! 転科した医師はどうなったのか
実際に転科をした医師たちは、どのような感想を持っているのでしょうか。以下では2人の医師による体験談を紹介します。
産婦人科から内科へ (30代 男性 東京都北区)
父親が産婦人科を開業していたので、私も総合病院の産婦人科に勤めることに。
ところが父親が診療所を内科に変えたので、私も勤め先に内科への異動を希望したのですが、断わられてしまいました。
そこで新天地で内科に転科することに決め、転職活動を開始。 面接の際、病院側には転科の理由を「家業が内科に変わったので内科医として実績を積みたいから」と素直に伝え、無事内定を獲得しました。
病院側と私の双方が納得できる転科をすることができ、働きやすい職場環境で働いています。
外科から整形外科へ (30代 男性 東京都練馬区)
総合病院の一般外科に勤務していましたが、実家の診療所を引き継ぐために整形外科への異動を申し出ました。
しかし空きがないと言われたため退職をして、整形外科医として採用してくれる病院に転職しました。
整形外科に進んで分かったことは、転科の経験が診療範囲を広げるのに役立つ、ということでした。また、整形外科1本の医師とは異なる視点から診察ができるのも、自分の強みになるはずです。
転科で失敗したくないなら!医師専門転職エージェントに相談する方法も
転科は、医師にとって大きな冒険といえるでしょう。失敗せずに「理想的な働き方やキャリア」を実現するためには、信頼できる医師仲間や先輩に相談することだけでなく、医師の転職を専門としているエージェントに相談する方法もおすすめします。
転科するか現状維持か?まずは転職エージェントに相談を
医師専門の転職支援サービスは、「転科を決断したタイミング」だと思っていませんか。
転職支援サービスを有効に活用するには、転科するかどうか迷っている段階で会員登録を済ませ、転職エージェントから情報収集する事が大事です。
エージェントは地域の医療事情、医療業界を取り巻くトレンドなどの情報を提供してくれます。 そして何より医師それぞれの希望や現状の悩み、描いているキャリアプランに合わせた提案をしてくれるでしょう。
場合によっては、転科以外の「目からウロコ」の方法を提案してくれるかもしれません。
医師にとっておなじみの「m3.com」が運営するエムスリーキャリアエージェント、転職業界大手のマイナビが展開するマイナビDOCTORなど、信頼できるサービスが揃っています。
ミライトーチMediaとは
転職やキャリアに関わるコンテンツを通じ、「今の仕事に悩む人」がより自分らしく働けるようにサポートしているメディアです。
不安のない転職活動や理想の転職先探しに役立ててもらうため、転職者や人材業界関係者へのインタビュー調査はもちろん、厚生労働省などの公的データに基づいたリアルで正しい情報を発信し続けています。
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