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『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』と『浄化槽法』に基づき、事業者や廃棄物処理業者、産業廃棄物処理施設に立ち入り検査を行う担当者を『環境衛生指導員』と言います。具体的にはどのような業務を行うのでしょうか。また、環境衛生指導員になるにはどのような課程を踏む必要があるのか、年収やあると良い資格、薬剤師が環境衛生指導員になる意義について説明してまいります。
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1.環境衛生指導員の仕事
環境衛生指導員は、各都道府県の任命を受けて業務を行う地方公務員です。環境衛生指導員が行う仕事内容は次の通りです。
- 一般廃棄物などの処分・清掃を行う。
- 廃棄物処理業者や産業廃棄物処分業者、一般廃棄物収集運搬業者、産業廃棄物収集運搬業者に立ち入り、条例や規則に沿って廃棄物や産業廃棄物を管理・収集・運搬・処分しているかを確認する。
- 浄化槽管理者や浄化槽清掃業者に立ち入り、規定と法に沿った業務を行っているか確認する。
- 一般廃棄物処理施設や産業廃棄物処理施設などの廃棄物処理施設に立ち入り、廃棄物処理法に沿った建築物になっているか、廃棄物処理に利用されている設備が適切に設置されているか、事業内容に未申請の部分がないかなどを確認する。
- 廃棄物処分業だけでなく再生利用業を行う事業場においても、改善点がある場合や変更許可申請を行う必要がある場合は指導を行う。
環境衛生指導員は、都道府県の職員ですので該当する地方公務員試験に合格していることが条件となります。
2.環境衛生指導員になるには
その上で、医師・歯科医師・獣医師・薬剤師のいずれかの医療系国家資格を保有していること、医学・薬学・保健学・衛生学・獣医学・理学・工学・農学のいずれかの課程を大学もしくは高等専門学校で修めていること、３年以上廃棄物処理や環境衛生関連の行政事務に携わり、環境衛生指導を行う充分な素養があると認められることのいずれかの条件を満たしている者が、『環境衛生指導員』として任用されます。
任用資格ですので、環境衛生指導員になるための試験や環境衛生指導員としての免許はありません。
3.薬剤師が環境衛生指導員になる意義
廃棄物を処理するときには、多数の薬剤を使用します。もちろん必要に応じて使用しなくてはなりませんが、廃棄物の量や種類、廃棄物処理施設の規模によって使用される薬剤の種類や量も変わっていきますので相当量の知識が必要とされる業務だと言えます。
薬剤師としての薬物における知識が充分に活かせるだけでなく、薬物の適正管理や適正使用に具体的なアドバイスを与えることができますので、指導を受ける業者や個人にとっても、薬剤師が環境衛生指導員であることは有意義であると言えるでしょう。
また、廃棄物を処理するときには、ダイオキシンなどの有害物質が生じることもあります。薬剤師が持つ毒物に関する知識も、充分に活かせる職業となるでしょう。
4.環境衛生指導員が保有していることが望まれる資格
環境衛生指導員としての職務を行う上で役立つ資格がいくつかあります。薬剤師免許を持っていることで取得が容易になる資格もありますので、さらなるスキルアップのために資格取得を目指してみるのも良いでしょう。
公害防止管理者
施設から生み出される製造物や廃棄物を適正管理するのが『公害防止管理者』です。排出される物質によって大気関係や水質関係、ダイオキシン類関係など13の資格に細分されています。試験を受けても公害防止管理者の資格を取得することができますが、実務経験がある場合は講義を受けるだけで公害防止管理者の資格を取得することができます。
類関係公害防止管理者の資格を目指す場合は、薬剤師の免許を保有しているなら、実務経験がなくても講義を受けて資格を取得できますので、非常に取得しやすい資格と言えるでしょう。なお、公害防止管理者の資格は国家資格です。
労働衛生コンサルタント
廃棄物処理の現場は、どうしても労働環境に問題が生じやすくなります。廃棄物処理施設内の環境をアドバイスするときに、『労働衛生コンサルタント』の資格を有するならば、より実践的な解決策を提示することができるでしょう。
労働衛生コンサルタントの試験は、労働衛生一般と労働衛生関連法令の２つの必須科目と、健康管理と労働衛生工学のいずれか１科目の選択科目から成る筆記試験と口述試験がありますが、薬剤師の場合は労働衛生一般の受験が免除されていますので、勉強する範囲が少なくなると言うメリットがあります。なお、労働衛生コンサルタントの資格も国家資格です。
5.環境衛生指導員の年収
環境衛生指導員は技術系の地方公務員ですので、年収600万円前後が平均となります。環境汚染が問題視される現代において需要は高まる一方の職種でもありますので、責任は大きくやりがいも大きな仕事ですが、将来性と安定性にも秀でた仕事とも言えるでしょう。
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