留学経験は履歴書に書くべき?正しい書き方レクチャー<記載例有り>

履歴書での留学経験の書き方

アピール方法は留学の種類や期間によって使い分けが必要

就職、転職活動で留学経験をアピールする手段は、履歴書や職務経歴書といった企業への応募書類です。

さて、正しい書き方、自己アピール方法はご存知でしょうか。留学の種類、どの位の期間であればあなたの強みにできるか等もご説明します。

 

「留学」の定義には種類がある

「留学」の定義には3つの種類があり、留学の種類によって履歴書に書くべきかどうかが変わってきます。
ここでは、留学の定義を詳しく説明します。

正規留学

海外の高校や大学といった正規の教育機関に籍を置き、現地の他の学生と変わりなく現地の大学で学士や修士の習得、卒業を目指す留学形態を指します。

通常留学のための試験で一定の語学レベルが留学前に求められるため、語学力向上を目的とした留学ではなく、選考学科の知識をより深めるための留学といえます。

専攻学科と語学双方の勉強をしなくてはいけないため、苦労や辛いことも多く、中途退学者割合も高くなります。

入学試験には教授からの英語の推薦状が必要になるケースが多く、日ごろの授業態度なども評価対象となります。ですから、留学を目的とする場合、入学年から相当の努力を積み重ねなければいけません。

また、長期間授業料、生活費等の予算も相当額必要となり経済的事情を留学前に整えておかなくてはいけません。

交換留学

日本の大学に在学したまま海外のパートナー校に通う留学形態です。日本に戻ってからの大学の学科卒業を目的としているため、半年もしくは1年間のケースが大半なります。

費用はすでに日本の大学に支払っているため、海外の大学へ新たに授業料等を支払う必要は基本的にはありません。

語学留学

1週間、1ヶ月という短期間からも行ける気軽な海外留学です。語学力がそれほどなく、これから勉強したいという方も参加できます。

ワーキングホリデービザを取得し、語学学校に通いつつ現地でアルバイト等もできるので、予算を抑えて海外文化に触れることができます。

 

十分な留学期間は1年以上

正規留学であれば自ずと1年以上の期間となります。

語学のスキルアップや課外活動を目的とした留学の場合、ある一定の期間その国の文化や人々と交流し、勉学に励まなければ一定の成果は得にくいものです。

長く滞在すれば身に付くとは一概に言えませんが今後ビジネスでもアピールするほどの能力であれば語学の場合、ニュアンスやその言語独特の言い回しや文化の理解が要されるため、ある程度の時間が必要です

ですから、数週間、半年といった留学期間では観光や旅行扱いで捉えらえることも少なくありません。

中途採用の場合よりシビアな目で見られるため、リフレッシュのため無計画に海外留学をしたという印象を持たれないように書き方を注意することが新卒採用に比べさらに必要となります。

 

短期間でも立派なアピールチャンス!

志望企業が留学先の国と関係がある、または社内で語学力が活かせる環境であれば、語学力や異文化交流経験は留学期間に関係なく記載しておくべきポイントといえます。

異国の地で何を目的とし、何を学び、どう今後に活かしていきたいか等の思いを余すことなくプレゼンできれば内定獲得に近づきます。

エピソードを綴りやすい、自己PR欄や自由欄・特記事項欄等ある程度の文字数を要される項目を活用することをお勧めします。

 

留学の種類によって履歴書の書く項目が違うので注意!

留学経験を書く前に知っておきたいポイントがあります。短期留学先で語学学校に通学したからといって、学歴欄に追加をすると、最悪の場合、学歴詐称の疑いを持たれる可能性も潜んでいます。

せっかくの留学経験を採用担当官にマイナス印象と捉えられないよう、留学経験の好ましい書き方について見本を交え解説していきます。

 

履歴書への海外留学記入方法

ここからは、留学経験を効果的にアピールする履歴書の書き方とそのポイントを紹介します。

1年以上の正規留学・交換留学は学歴欄、それ以外の留学は自己PRや特記事項欄を活用

1年以上の正規留学・交換留学経験は学歴欄へ記載しても差し支えありません。

また、社会人の正規留学の場合、一番最後に最終学歴に追加し、経歴欄にも記載しておくと人事担当者が留学経験の見落としを防ぐ有効な手段となります。

正規留学・交換留学以外の留学であれば、自己PRや自由欄・特記事項に書くことが望ましいといえます。

 

基本の記載項目は国名、時期、期間、学校名

学歴欄に時期、期間、国名、学校名を記載しましょう。

卒業や修了がない場合には大学の研究生同様にいつまで滞在、在籍していたかがわかるよう日付や期間の記載が必須となります。

 

正規留学・交換留学以外は学歴欄に書かない方がベター

1年未満の単位や学位取得を目的としない私的な語学留学やワーキングホリデー、海外研修は厳密にいえば正式な学歴として認められません

何の注意も払わず学歴・経歴欄に記載をすると学歴詐称、経歴詐称として捉えられる危険性があります。

人事担当者の見落としを防ぎたいがために、学歴・経歴欄に書きたい場合は正規留学・交換留学ではない旨がわかるよう工夫をしなくてはいけません。

 

履歴書の留学経験の記載例&ポイント解説

ここでは、具体的な例を交えて、履歴書に留学経験を記載する際のポイントを各項目ごとに解説します。

<学歴欄>

20××年×月~20××年×月(1年間)アメリカ △△州 〇〇大学付属〇〇語学学校に留学

※国名や学校名等は英語でも日本語でもどちらでもOKです。

学歴欄に書ける留学は基本的には正規留学・交換留学のみです。

<免許・資格欄、資格・特技欄、ESの語学欄>

英語力:高校受験レベルの単語や表現での平易な会話は可能なレベル、ローカルの友人とのメールでの意思疎通が可能なレベル

20××年×月~20××年×月(一ヶ月間)オーストラリア 〇〇語学学校に英語力アップを目的に短期語学留学

語学の具体的レベルを書くことで入社後の語学力のミスマッチを防ぐことができます。

※語学留学である旨を明記。

<自己PR欄>

私は行動力があるところが強みです。

学生時代に日本語が通用しない国に行き、困難を克服する力を身に付けたいと思い、フィリピンにホームステイに行きました。
当初の語学力はTOEICスコアで600点ほどであり、英語での会話は単語を繋ぐ程度のレベルでした。
そのため、留学当初は滞在先の家族との意思疎通もままならず、人に自分の言いたいことを伝えることだけで疲れ果ててました。

しかし、どんなに疲れていてもその日聞いた単語や言い回しを覚え、勉強を続けた結果、3ヶ月後には日常的な会話であればスムーズに冗談を交えながら話せるまでになりました。

この経験から、大変なことも一歩踏み出せば壁を乗り越えて成長していけるという自信を付けることができました。大学卒業後も自己能力以上の業務にも臆せずチャレンジをし、会社とともに成長していけるよう励んでいきます。

留学を通じてどのような困難を乗り越えたか、どのようなことを得たかという留学経験が入社後にどのように活かせるかをアピールしましょう。

<志望動機欄>

私は入社をしましたら、貴社の中国へのビジネス展開をドライブしていきたいと考えています。
大学4年次、すでに卒業見込みとなっていたため、短期間ではありますが、卒業論文で題材とした中国に短期留学をしていました。その時に現地で肌で知った環境問題、人々の苦悩を知り、自分に何かできないかと真剣に考える機会がありました。

また、それまで中国に部分的には良いイメージを正直持っていませんでしたが、現地の人と触れ合ううちにその考え方も変わり、国籍や人種イメージで人を括ることは正しくはない考え方であると実感しました。

多くの学びを得た中国に恩返しをするためにも、今後中国への環境分野のビジネスに力を入れようとしている貴社で私も短期留学で得た知見を活かし、今後の目標を果たさせていただきたいと考えています。

※語学力以外に得た知見や培った価値観等もアピール材料となります。特に留学先と関係ある事業と縁が深い場合には志望動機の説得力アップを図ることも適います。

<自由欄、特記事項>

20××年×月~20××年×月 マレーシア 〇〇学校に通学、株式会社〇〇でインターンシップ(1年間)

1年間大学を休学し、マレーシアの 〇〇語学学校に英語力アップを目的に短期語学留学。現地ではシェアハウスに住み、多国籍なルームメイトと意見交換をし、自分の価値観を広げることができました。
ワーキングビザを取得しローカル企業でインターンシップをしながら語学学校に通い、日常的な会話からビジネスで使う英語表現を学びました。

自己PRで留学以外のエピソードを用いたいケースや語学以外のこと(価値観の変化、適応能力やコミュニケーション能力向上等)をアピールしたい場合には、自由欄・特技欄を活用しましょう。

 

履歴書に留学の目的や得たことを将来性に絡めアピールすべし!

留学経験を履歴書に書く時には先述のように書く項目を使い分ける以外にもポイントがあります。

採用担当者の評価軸、それぞれの留学ごとにアピールすべき点を踏まえ履歴書をブラッシュアップし、面接官にも自信を持って話せるよう準備をしておきましょう。

採用担当者は留学理由や得たことをどう活かしたいかが知りたい

留学経験をアピールする場合、採用担当者は応募者の留学のきっかけや何を得たか、帰国後の将来プランを知りたいと考えています。

自己PRや志望動機欄等に留学経験を書く場合にはこの点の明記が不可欠です。

漠然とした目的で留学をしても就職後に活かせる経験は身に付きづらいと採用担当者は思っているため、目的意識と将来設計能力があることを示すためにも、留学をする前に自己分析をし、自分の将来像と真剣に向き合いましょう。

 

留学の目的を書く時のポイント

留学の目的は人によって様々です。目的に応じて記載するべき内容は変わってきますので、ここで紹介する内容を参考にしてみてください。

語学留学は習得した語学レベルと語学への思いをアピール

なぜその言語習得に興味を持ったかや実際に語学習得にあたって苦労した点、どのレベルを目標としていたか、習得した言語を活用してどのようなことをしたいかなどを記載すると良いでしょう。

特に語学を活かす仕事に就きたい場合には自分の現状の語学レベルと語学への思いをしっかりとアピールしておくことをお勧めします。

そうすることで、志望動機にも繋がりができ、軸の通った履歴書となります。

 

課外活動は活動内容への思いや今後どう活かしたいかを自己PR

語学習得を目的とした留学が多いため、それ以外の留学は何を目的にしているかは特に採用担当者は気になっている点となります。

なぜ、日本ではなく海外でその課外活動に従事したのか、力をそそいだことや狙いなどはとても興味を惹かれます。

その活動を経て、どのような変化があったか、学んだことは何かを是非とも履歴書にも盛り込み、採用担当者を惹き込みましょう。

 

ワーキングホリデー(ワーホリ)はコミュニケーション上の苦労や自分なりの攻略法を

職種にもよりますが、海外での就業は社会勉強をしつつ海外の多様な人々の組織作りを学ぶとても良い機会となりえます。

生まれも育ちも信条、宗教も違う人と意思疎通を取ることは決して容易なことではありません。

ですから、大変だったことをどう乗り越えていったかや、異なる価値観を持つ人たちと円滑にコミュニケーションを取るためにどのような工夫が必要であったか等を伝えると良いでしょう。

そして、得た経験を入社後にどう活かしていきたいかまでエピソードを交えてプレゼンをすると、入社後のあなたの活躍する姿を採用担当者がイメージしやすくなります。

 

海外就職には英文履歴書とカバーレターが必須

海外留学を経て、海外で働くことを志望する人も少なくありません。いざ、転職サイトで応募をしたり人材エージェントに登録するとなると、英語の履歴書を準備をすることは勿論、カバーレターという送付状が必要となります。

どのようなことを書く書類かを知り、本格的な活動前に体制を整えましょう。

また、紹介状(Reference)というあなたの推薦状が必要になるケースも多いため、転職者は前職の上司、新卒者は教授や先生等あなたの働きぶりに理解がある人に紹介状を書いてもらえないかを依頼しておくとスムーズです。

カバーレターの基本の記載項目

自分の氏名、住所、履歴書郵送日、応募先企業の採用担当名、希望職種、応募敬意、自分が応募ポジションにいかに適していけるかをアピールする文章、読んでもらったことへのお礼の一文、署名(この部分は必ず手書き)、最後に名前と連絡先(電話番号、メールアドレス)をワードファイルに書きましょう。

英文履歴書の基本の記載項目

自分の氏名、住所と連絡先(電話番号、メールアドレス)、履歴書送付の目的、経験の要約、職歴、学歴、資格、紹介状の有無を項目としてワードファイルに記載します。

英文履歴書の場合、学歴欄に正規留学以外の留学経験を記載しても大きく問題にはなりません。

課外活動やインターンシップは、International Experienceという項目を追加し、海外での経験を書きましょう。

箇条書き等で情報をまとめ、1枚にまとめることが望ましい書類です。最新経歴から書く手法が基本となります。

また、プライベートもアピールしたい方はSNSやブログサイトのURLも記載しておくと良いでしょう。

 

 

この記事を書いた人:がんちゃん@元キャリアアドバイザー
元キャリアアドバイザーのがんちゃんの画像

教育業界から大手転職エージェントへ転職し、約5年半にわたりキャリアアドバイザーとして勤務。業界や職種を問わず1,000人以上の求職者を支援した。

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