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薬剤師が最新ニュースに物申す!5分で読める2019年10月のニュース

10月は台風19号など、自然災害が全国に大きな被害をもたらしました。被害を受けられた方も、被害は少なかったが不安な夜を過ごされた方も、今後の災害対策について今まで以上に意識するようになったのではないでしょうか。

今回は、そんな台風19号関連のニュースを含め、話題となったニュースを3つピックアップして、薬剤師の目線から論じていきたいと思います。

抗生物質、指示守らず服用13% 内閣府調査

ニュース概要

内閣府が発表した世論調査によると、抗生剤を処方された際に医師や薬剤師の指示通りに飲まないことがあると回答した人が13%いることがわかりました。その理由は「途中で治ったらそれ以上必要と思わない」というもので、飲まない人の52.3%が理由として挙げていました。

また、薬剤耐性についても「知っている」と答えた人は49.9%で、「知らない」人は48.7%と、まだ大半の人に認知されていない現状も明らかになっています。

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日経新聞 2019/10/11

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最初に取り上げるニュースは抗生剤の話題です。抗生剤は指示通り全て飲みきることが基本ですが、指示を守らず服用している患者が一定数いるようです

抗生剤は中途半端にやめてしまうと、耐性菌ができる恐れがあるため「全部飲みきってくださいね」とは薬剤師としても特にお伝えするところですが、今回の調査の結果を見ると、まだすべての患者さんに伝わってはいないのだと実感します。

患者のアドヒアランスが悪いのは、抗生剤に限った話ではありません。症状がないから自己判断で飲むのを止めてしまったり、忘れてしまったりと、薬に対して甘く考えている人は良く見かけます。

しかし、その中でも抗生剤は高血圧薬や糖尿病薬といったいわゆる「定期薬」と比べて、服薬指導後に薬剤師が関われる部分が少なく、それがより一層患者の意識低下につながっているのではと思います

抗生剤は、大半が感染を治療するための「臨時薬」で、長期間服用するような薬ではありません。

「定期薬」であれば、アドヒアランスが悪い患者さんに対しても長期的に向き合うことで、少しずつ飲み忘れをなくしていく、必要性を訴求していくといったことが可能になります。

実際に、初めのうちは飲み忘れが多かった患者さんでも、服薬指導のたびに口酸っぱく薬剤師が訴求し続けたことで、薬を飲むことを習慣づけられたケースもありますし、高齢の患者さんには一包化や服薬カレンダーを上手く利用することでアドヒアランスは劇的に改善されます。

しかし、抗生剤のような「臨時薬」では、その症状が治まったら患者さんはもう来局されなくなってしまうので、薬剤師としては「しっかり飲みきったのか」といったことが確認できないのです。

つぎにつなげることが出来ないため、抗生剤の処方が出た際は1回の服薬指導で、薬剤耐性の話などをしっかり伝えて理解してもらうことが、アドヒアランス向上のためには必要です。

薬によっては患者さん向けの指導せんを作っているメーカーもありますので、そういったツールを利用することも良いと思います。

また、抗生剤に関しては風邪に処方されるケースが多い事も問題視されています。

(くわしくはこちらの朝日新聞記事をご覧ください)

本来抗生剤は風邪などのウイルス感染には効果がないため、むやみな抗生剤処方をしないということが推奨されています。しかし、実際には必要以上に抗生剤を処方している病院は少なくありません

私もいくつかの調剤薬局で働く中で、同じ症状でもA病院では抗生剤を出すがB病院では抗生剤を出さない、といった違いが多々起こっていることを実感しています。

抗生剤は適正な使い方をしなければ耐性菌が増える恐れがありますが、医師の中にもまだその認識を持っていない人がいるということは大きな問題ではないかと思います。

また、患者側としても、本来抗生剤が必要ない風邪などの症状であったとしても、抗生剤があった方が「効果がある」と感じる人が未だに多いようです。

確かに、抗生剤は万能で、何にでも効くというイメージは持たれがちです。そのため、滅多に抗生剤を処方しないB病院よりも、些細な症状でも抗生剤を処方するA病院の方に患者が多く集まるといった現象もよく見られます。

患者側も医師側も、抗生剤に対して正しい知識、認識を持ってほしいなと切に思います。

台風19号の被害103薬局に~浸水で営業不可の店舗も

ニュース概要

10月に発生した台風19号は各地で甚大な被害をもたらしました。浸水などの被害があった薬局は103件に上り、宮城県や栃木県、長野県など広い範囲で被害が報告されています。

これらの店舗の中には、被害が大きく当面の間営業ができない店舗もあるとの事です。

ニュース本文を読む

薬読 2019/10/18

コメント

全国的に猛威を振るった台風19号ですが、その影響は各地の薬局にも見られました。私の知り合いにも薬局が浸水したところがあり、分包機などの機器類や医薬品も水没して大幅な損失となっているようです。

私の勤務する地域では今回、運よく大きな被害は受けませんでしたが、他人事だと思ってはいけません。これだけ災害が続くと、明日は我が身ということは十分に考えられるのです。

そのために、災害に対して何かしらの対策を考えていく必要が出てきているのではないか、と考えさせられます。

特に大切になるのは、医薬品の確保です。河川の氾濫や地震などでその地域が孤立してしまうと、医薬品も届かなくなるため、今薬局にある分でできる限り対応していかなければなりません。

定期でもらっている薬や、災害が起きたことによる怪我や心身のストレスなどで新たに薬が必要になる人も少なくないでしょう。

今回の台風のように、あらかじめ来るのがわかっている災害に対しては、前日に在庫を高い位置に避難させておくなどの対応が必要かもしれません

また、私自身は雇われの薬剤師ですが、「もし自分で開業した薬局が被害にあったら…」とも考えてしまいます。

時間をかけて開業の準備をして、ようやく軌道に乗ってきて利益も安定して出るようになって…という状況で災害にあってしまっては、リカバリも難しくなってしまいます。

そう考えると、開業には大きなリスクがあり、こういった自然災害リスクも開業前にしっかり考えておかなければならないのだと思います。ハザードマップ上で安全な土地を選ぶなど、最低限の対応が必要かと思います。

また、災害時では薬剤師に求められる役割も大きくなります。

例えば、使える薬が限られている状況では、代替薬の提案というのも大切な役割ですし、医薬品の大半が浸水した状況では、薬の管理、選別というのも必要になってくるでしょう。

普段の業務とは異なる状況で、臨機応変な対応が求められることになります。

しかし、私自身もそうですが、実際に災害が起きたら冷静に正しい対応ができる自信はありません。

その理由は、災害時のケーススタディをしたことがないからです。これまではあまりそういったケースが想定されていなかったのだと思いますが、近年の災害の多さを鑑みると、全薬剤師向けに、災害時の対応について学ぶ機会を設けてもいいのでは?と思います。

特許切れ薬、値下げ促進 後発薬並みで医療費抑制

ニュース概要

厚生労働省は、特許が切れた医薬品に対して、後発品への置き換えが80%になった時点で先発品の薬価を下げていく方針を決めました。これまでは特許が切れてから10年を経過しなければ値下げをすることは出来ませんでしたが、今後はそれが早まることになります。

日本では海外に比べて特許切れの先発品が使われることが多く、それが医療費の増加にもつながっています。先発品の値下げによって、年1千億円規模の医療費削減が期待されています。

ニュース本文を読む

日経新聞 2019/10/27

コメント

特許が切れ、後発品の割合が80%を超えたら先発品の薬価を下げる、という今回の決定ですが、これを聞いただけでは「実際にどんな影響があるのか分からない」と感じるところだと思います。

今回は、メーカー・薬剤師・患者のそれぞれの視点からこのニュースを考えてみたいと思います。

まず、「先発品の薬価が後発品並みになる」と後発品と先発品のどちらが使われるのか。

先発品から後発品へ切り替える最大のメリットは「価格」です。しかし、後発品の割合が80%となり先発品が安価となると、そのメリットが失われていってしまうため、後発品を選択する人は少なくなるのではないでしょうか。

そうすると、後発品メーカーにとっては痛手となります。後発の割合が80%になる前に、どれだけ自社のシェアを拡大できるかがカギになってくるので、これまで以上に素早い対応が求められることになるでしょう。

一方、調剤薬局としては、店舗の後発率を考える上で少し影響が出てくるのではないかと思います。

調剤薬局では、現在は後発医薬品率が75%を超えると加算が取れるようになっています。後発品の比率を増やすためには、処方元の医師や患者さんに説明をして、同意を得る必要があります。

その時に薬剤師がメリットとして伝えるのは、価格差、つまり「負担金が減ります」ということです。

しかし、仮にとある先発品が後発品と同じ価格まで下がってしまったとすると、そのメリットがなくなりますので患者さんから同意を得るのは非常に難しくなります

患者さんからすると、先発品の薬価が下がるということはメリットしかないのではと思います。

先発品の方が安心できるけれど、価格が安いから後発品にしている」という人でも、後発品と同じくらいの価格であれば、先発品を使いたいと考える人は少なくないでしょう。

また、医師の中にも、「この薬は絶対に先発で!」と決めているケースは少なくありません。その場合、処方せんに「変更不可」印がついてくるので、調剤薬局の判断で後発品を出すことはできなくなってしまいます。

かかりつけ医の判断で先発品を服用せざるを得ないという人にとっても、負担軽減となりますので今回の変更は大きなメリットとなります。

そして、何より期待されているのは、医療費の削減です。ただ、80%以上が後発品に置き換わった医薬品の薬価を下げたところで、それほど大きな医療費の削減につながるとは思えないのも事実です。

それでも、こういったニュースが皆さんの目に留まることで、「医療費を削減する」「後発品や安くなった先発品を使う」という意識付けがされていくことになると期待しています。

まとめ

いかがでしたか。今回は、

  • 抗生剤を服用する患者さんに対して薬剤師に求められる役割は
  • 台風被害を受けて明らかになった、薬局として、薬剤師として今後必要なもの
  • 特許切れ先発品の薬価に関して、ルール変更で患者や薬剤師にどのような影響があるか

という3つについて考えてみました。

それぞれのニュースについて、自分で考えてみて改めて、日々の仕事をもっと意識的に行っていかなければと考えるようになりました。皆さんにとっても、どれか一つでも今後について考えるきっかけになっていただければと思います。

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