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医療業界では目まぐるしく、毎日のようにさまざまなニュースが流れています。それだけ医療業界も日々進歩しているという証拠。恒例となりました薬剤師関連のニュース紹介を今回もしていきます。
本日は9月後半に起きたニュースの中から薬剤師が3つのニュースを抜粋。ニュースの概要をわかりやすくお伝えし、それぞれのニュースに対して薬剤師目線でのコメントも入れています。では早速ニュースを見ていきましょう。
※当サイトは口コミの一部を掲載しています。
この記事の目次
24時間365日対応してくれるかかりつけ薬剤師って? 働き盛りの活用術も紹介
ニュース概要
「かかりつけ薬剤師制度」は、2016年4月に開始された制度。これにより、患者は希望の薬剤師を1人指名して、症状や服用の相談などを継続的に行えるようになりました。
マイナビニュース 2018/9/21
コメント
こちらのニュースに登場している紀平陽子さん。紀平さんは日本調剤で努めている薬剤師。“かかりつけのレジェンド”と言われるほどの紀平さんは現在、1,000人もの患者さんのかかりつけ薬剤師として活躍しています。
かかりつけ薬剤師は平成28年にスタートしたばかりの制度です。
かかりつけ薬剤師を指名するには患者さんの署名が必要ですし、かかりつけ薬剤師が服薬指導をすることで「かかりつけ薬剤師指導料」が60円から100円ほど加算されるため、1,000人もの患者さんに指名されることは並大抵のことではありません。紀平さんはまさにレジェンドと呼ばれるのにふさわしい方でしょう。
私がこのニュースを抜擢した理由は、「紀平さんのようなかかりつけ薬剤師が増えれば、薬剤師の地位がきっと変わる」と感じたからです。
よく薬剤師は「薬を袋詰しているだけ」だとか「ロボットでもできる仕事だ」と揶揄されることがありますよね。でも紀平さんの働きぶりを知ったらこんな言葉は出てこないはず。
- 24時間、365日いつでも相談に乗ってくれる
- 医師に言いづらいことでも相談できる
- 病状に合わせてお薬の量を調節してくれる
- 副作用が起きていないかをモニターしてくれる
これだけのことをロボットができるとは到底思えません。いつでもお薬の相談をできるという安心感は、治療に不安を抱える方や病状が安定しない方にとっては大きなメリットです。
私自身も薬剤師になる前にお薬の副作用で体調を崩したことが何度かあるのですが、「誰に相談したらいいんだろう」と困ってしまい結局は誰にも相談できないまま症状が落ち着くまで寝込んだ経験があります。もしもこのときにかかりつけ薬剤師がいたら間違いなくすぐに電話していたでしょう。
医師に言いづらいことを相談できるのも嬉しいですよね。医師は多忙な方が多く聞きたいことがたくさんあるのに聞けないことが度々あります。
「もっと自分の話しを聞いてほしいのに言うタイミングがない」と私も何度も感じたことがあります。医師に言いたいことを言えないのは適切なお薬の処方がされなかったり、お薬による副作用が起きやすくなったりすることにもつながります。
また医療費の削減にも大きく貢献できるのもかかりつけ薬剤師の大きなポイント。処方されたのに飲まれていない残薬だけで年間475億円にも及ぶというから、残薬の削減は今後の医療業界の大きな課題とも言えます。
残薬といえば在宅薬剤師が得意な分野。在宅医療の場合は薬剤師が直接患者さんの家まで行くため、どれだけ薬が余っているのかがすぐにわかります。
そのため今までは、残薬の確認は在宅薬剤師でしか管理ができないとも言われていました。しかしかかりつけ薬剤師が広まることで、在宅医療をしなくても残薬の確認がしやすくなるのです。
残薬の確認ができれば医療費の削減ができる他、患者さんの治療状況もより深くまで知ることが可能。
このようにかかりつけ薬剤師は、患者さんの治療効率を上げ医療費を削減にもつながります。また薬剤師が普段どんな仕事をしているのかをより明確に患者さんに知ってもらうよい機会です。
紀平さんのようなかかりつけ薬剤師のレジェンドが増えていけば薬剤師の活躍の場がもっと広がっていきそうです。
糖尿病をアプリで管理 中央大研究チーム、いわきで新事業
ニュース概要
糖尿病患者の重症化予防に向け、中央大の医療研究チームはスマートフォンアプリとポイントカードを活用した健康増進事業を福島県いわき市で始めた。
Yahoo!ニュース 2018/9/29
コメント
糖尿病に罹患している方は全国で1,000万人以上もいると言われています。悪化すると透析をする必要もあり、患者さんの生活スタイルを大きく変えてしまう恐れのある生活習慣病です。
さて今回、なんと糖尿病患者さんに向けた健康管理アプリが登場しました。体重や食事の内容を記録することでポイントが貯まり、貯めたポイントはスーパーなどで使えるとのこと。
この取り組みはいわき市の総合磐城共立病院と福島労災病院で行われているそうです。
近頃はスマホやパソコンを利用して今までにない踏み込んだ健康管理ができるようになってきましたね。
オンライン服薬記録、お薬手帳をスマホで管理するなど、どんどん医療の在り方が変化してきています。
私がこのニュースが気になった理由はアプリで服薬記録もできるという点が気になったから。実は少し前にこんな話を聞いたことがあるのです。
これはとある薬剤師が飲食店に行ったときの話。アカルボースやボグリボースのようなα-グルコシダーゼ阻害薬は食直前に飲むのがルール。
それなのにたまたま隣にいたお客さんがα-グルコシダーゼ阻害薬を普通に食後に飲んでいたというのです。
食後の高血糖を抑えるためのお薬を食後に飲んでいるわけですから、薬剤師からしたら信じられない光景ですよね。ちなみにその方には後ほど食直前に飲むお薬であることを伝えたそうです。
このように糖尿病のお薬の中には普段飲み慣れているお薬とは違ったタイミングで飲む必要があるものもあります。
血糖値が上がりやすいタイミングは人によって異なるので、そのタイミングによって処方されるお薬が変わるもの。
それなのにお薬を飲むタイミングが違えばまるで意味がなくなってしまいます。そんなときにアプリで服薬の記録ができたらどうでしょう。
このアプリを使うことで“薬の種類や服薬時間を設定アラームで通知し、薬の飲み忘れを防ぐ”ことができるとのことなので、飲み忘れだけでなく飲み間違いも防止できるでしょう。
総合磐城共立病院と福島労災病院で行われているこの取り組みのよいところはポイント制も導入しているところ。
食事や体重の記録をすることでポイントが貰えるという報酬があることから、入力を手間と思わせない工夫がされているのです。
もしもこういったアプリでの健康管理が全国でも行われるようになったら非常に面白いですね。薬局や病院で患者さんと会うだけではできない関わり方が可能になり、より患者さんの健康を管理することにもつながります。
スマホやパソコンを使った健康管理への取り組みが今後どのように広がっていくのか楽しみです。
「妊婦加算」が炎上した理由 「事実上の妊婦税」か「周産期医療の充実」か?
ニュース概要
妊婦が医療機関の外来を受診した際に負担が増える「妊婦加算」が今年4月から、導入されている。しかし、周知が徹底していなかったため、病院で初めて知った人が続出。
Twitterで広まると、「事実上の妊婦増税では」「少子化を加速させる」などと批判が集中し、炎上した。「妊婦加算」とは本来、何のためのもので、なぜ批判を集めてしまったのだろうか?
税理士ドットコム 2018/9/17
コメント
診療報酬点数改定に伴い、平成30年4月1日から加算されるようになった妊婦加算。妊婦加算が始まることについてほとんど周知されていなかったため、妊婦さんたちの間で大きな話題となっています。
妊婦だというだけで医療費が高くなるというのだから、妊娠している方からすれば大きな問題です。なぜ今回この妊婦加算がここまで騒がれることになったのでしょうか。
騒ぎのきっかけとなったのはTwitterでした。このニュースを読む限りでは、診察はいつも通り行われたのに、お会計のときになって「妊婦ですか?」と確認され会計額が増えてしまったということですね。
これはさすがにないでしょう、と私は感じました。妊婦加算は“安心して妊娠を継続、胎児に配慮した診療を適切に行ったりすることを評価して、医療機関としても妊婦さんを診療する体制が必要”であることからでいた制度ですよね。
なのに今回のTwitterの投稿の場合はお会計のときになって「妊婦なら加算します」と言われているわけです。このTwitterを直接見てみましたが問診票に妊娠の確認の有無はなかったそうです。
京都府保険医協会によりますと妊婦加算が取れるのは診察時に医師が妊娠していると判断した場合のみ。
妊婦さんへの安全の配慮のために加算するものならたしかに、医師が妊娠していると認知する必要が最低限あります。
しかし今回Twitterで妊婦加算についてつぶやかれていた方は明らかに医師は妊娠について認知していません。
たしかに妊娠されている方には投与できない薬もたくさんありますし、より慎重な治療が必要となるのはわかります。
しかしこのように気を使うべきなのはなにも妊婦さんだけではありません。あらゆる疾患を抱えている方すべてに配慮は必ず必要です。
妊婦さんだけ加算をとって他の疾患を持つ方には加算しなくていい理由を私は知りたいとこのニュースを読んで感じました。
それに妊婦加算によって妊婦さんの負担が増えるとなるともしかしたら、妊娠していることを隠して病院を受診される方も出てくるかもしれません。
これこそ本当の一大事です。妊婦さんに禁忌のお薬が処方されてしまう可能性だってあります。妊婦加算については今後もさまざまな方から声が挙がるでしょう。
妊婦さんも納得できるような仕組みが作られなければ、妊婦加算を受け入れてくれる方もあまり増えないのではないでしょうか。
まとめ
9月後半のニュースとして今回は
- かかりつけ薬剤師
- 糖尿病のアプリ管理
- 妊婦加算
の3つをピックアップしていきました。かかりつけ薬剤師や、糖尿病のアプリ管理はこれからももっと広がっていって欲しいですね。
患者さんの健康をもっと身近で守れるようになる可能性があります。一方で妊婦加算はまだまだ問題点が多いもの。妊婦加算についての意見をいくつも見てきましたが納得していない方の方が多い印象です。
医療を提供する側と受ける側の認識のズレも今回の騒動には関係しているのでしょうが、少しでも不信感なく納得して医療を受けられる体制が整っていくことを願っています。
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