「あのお爺さんは漢方薬剤師なの!?」台湾の研究機関に突撃取材!

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自由に伸び縮みする6本の手に、黒くて丸いサングラスが特徴的なキャラクター。皆さんは、 スタジオジブリが2001年に公開した『千と千尋の神隠し』に登場する釜爺をご存知ですか?

釜爺とは、物語の舞台となる湯屋(温泉宿)で風呂釜を管理しているご老人。彼は、何十種類もの薬草を調合し薬湯の素を作り、作中では主人公である千尋を幾度となく助けました。脇役でありながらも、根強い人気のあるキャラクターの1人です。

先日私は、そんな釜爺について気になる噂を耳にしました。それは『釜爺の正体は、実は漢方薬剤師だったのではないか』といったもの。

これは、薬剤師のキャリア支援サイトHOP!としては、見過ごせない、、、!

『千と千尋の神隠し』は、台湾で人気の観光地『九份』がモデルになったことでも話題になりましたね。釜爺が台湾の漢方薬剤師だった可能性は十分にありそう、、!

あー。写真を見ているだけでも楽しくなってしまいますね。

しかし!

今回の目的は観光ではなく、噂の真偽を確かめること、、!観光したい気持ちを押し殺し、

今回は、財団法人中國醫藥研究發展基金會の常務董事を務める徐 慶松(じょ・けいしょう)さんに、噂の審議を伺っていくことに。財団法人中國醫藥研究發展基金會は、漢方の発展や研究に力を入れている団体です。

編集部:早速ですが、『千と千尋の神隠し』に出てくる釜爺が、漢方薬剤師だったという噂は本当ですか?

徐さん:えーとね。実は私、『千と千尋の神隠し』は見てないんですよね(笑)

編集部:え……。そうなんですね……。実は、ジブリの『千と千尋の神隠し』という映画に、漢方らしきものを使って薬湯を作るキャラクターがいまして。その老人が『漢方薬剤師だったのではないか』という噂があるんです。

徐さん:なるほど。お話を聞く限りでは、そのキャラクターが漢方薬剤師である可能性はありそうですね。というのも台湾では漢方医薬剤師さんが、漢方を調合して薬湯を作ることがあります。実際に私も、月に数回は薬湯用に漢方を調合していますよ。

編集部:おお! そうなんですね!

徐さん:ただ、必ず漢方薬剤師であるとは限りませんが(笑)。漢方を調合して薬湯を作るぶんには、漢方薬剤師の資格は必要ありませんから。それがアニメの世界となれば尚更ね。

編集部:それはそうですね……。作中では八百万の神が、病気や怪我を直すためにその湯屋へやってくるんです。

徐さん:漢方で作った薬湯には、疲労回復や美肌、血行促進などに効果があると言われています。だからそのお湯が漢方を使ったモノである可能性も十分にあります。

編集部:漢方といえば、飲むモノというイメージが強かったので意外です。入浴するだけでも効果があるモノなんですか?

徐さん:もちろんあります。飲むよりは多少効果が薄れる場合もありますが、使う漢方の種類によって様々な効果が得られます。

編集部:飲むだけが漢方ではないんですね……。知りませんでした。

徐さん:ほかにも台湾では、スープに入れて飲んだり、やけどや切り傷には幹部に直接塗ったりしますね。

編集部:そんなに多様な使い道があったとは、、、!日本だと漢方って風邪をひいたときくらいしか飲まないからなあ。

徐さん:そんなことはありませんよ。日本人が気づいていないだけで漢方は、日本でも日常的に使われています。例えば入浴剤もその一つ。日本ではバスロマンやバブなど、数多くの入浴剤が販売されていますよね。そういった入浴剤には漢方が使われているものも多い。

編集部:漢方が入浴剤に使われていることは知りませんでした。

徐さん:日本人が漢方と聞いて思い浮かべるのは、風邪を引いたときに処方される薬や、市販されている葛根湯ですよね。でも注意深く身の回りを探してみると、漢方が使われているケースは多いんですよ。

編集部:台湾だけが漢方を日常的に使っているわけではないんですね。

徐さん:そうですね。実際、日本も漢方の研究は進んでいます。彼は漢方の研究をしている科学者ですが、漢方を学ぶために日本へ留学していた経験もある。

 

林哲輝(りん てつき)さん。日本の九州大学で漢方について研究。現在は、博士として漢方の研究に努めている。

林さん:そうですね。私は日本で『花粉症に漢方を活用できないか』研究していた教授の元に留学していました。

編集部:日本では花粉症に悩む人が多いので、漢方が効くならすごく嬉しいですね。花粉症の薬は毎日飲む必要があるので、天然由来のモノだと安心できそう。

林さん:日本でも花粉症対策として漢方を服用する人は多いようですね。徐さんがさっき言ったように、日本人が気づいていないだけで、身近なところで漢方は使われていると思いますよよ。

編集部:たしかにカレー屋さんが、スパイスに漢方を使ってる事例もあるし。⇒漢方をスパイスに使っているもうやんカレー

林さん:カレーに漢方を使うんですか?それは初めて聞いたなあ。台湾人の場合は、鳥のスープに入れて食べたり、お茶にして飲んだりはしているけど。

林さん:あ、そうそう。今飲んでいるお茶も漢方のお茶ですよ。

編集部:え!このお茶も漢方なんですか!? 漢方というからには苦いのかと思っていました。ほのかに甘みもあって美味しいです。

林さん:そうでしょう。日本人が緑茶を飲むように、台湾人は日常的に漢方茶を飲んでいます。

編集部:ここまで美味しかったら抵抗なく毎日飲めそう。

林さん:そうなんですよ。毎日飲むからこそ、漢方茶は美味しくなくてはいけません。だから私のような研究者は『どのような割合で漢方を調合すれば飲みやすいか』『どうやって飲めば効果を得られやすいか』を日々研究しているわけです。

編集部:調合次第で、飲みやすくなったり効果が得られやすくなったりするんですか?

林さん:もちろんです。「この成分とあの成分が掛け合わされれば相乗効果が生まれる」「この苦味を打ち消すためには、あの成分が含まれる漢方を混ぜれば良い」というようにね。

編集部:徐さんや林さんのように、漢方をより飲みやすくするために頑張っている人がいるからこそ、台湾人にとって漢方は身近な存在になっているのかもしれませんね。今日はありがとうございました!

釜爺が漢方薬剤師だったのかはわからなかったけど、可能性はある。

<お店データ>加暉參藥行有限公司:台北市士林區福港街260號

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