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植物の香りで身体の健康にアプローチする今注目のフィトセラピー

天然植物を健康や美容に役立てた、フィトセラピー(植物療法)を推奨しているグリーンフラスコ。全国の薬剤師や一般の人を対象としたセミナーをおこない、製薬を使わず自然治癒力を高めたケアを提案しています。フィトセラピーに見込める効果と取り入れたキッカケについて、代表を務める林 真一郎 (はやし・しんいちろう)さんにお話を伺います。

グリーンフラスコ

植物を美容や健康に役立てるため、「緑の医学」の考え方に基づいた植物療法を生活に取り入れやすいライフスタイルとして提案している。世界中の商品を専門的な視点でチェックし、お客さまに自信を持って提供できる商品のみを取り扱っている。

グリーンフラスコ:公式サイト

※当サイトは口コミの一部を掲載しています。

▲林 真一郎(はやし・しんいちろう)さん

現在は薬局には立たず、薬剤師としての知見やスキル、経験を活かし、ハーブ、アロマを活用したフィトテラピーの普及に従事。販売している商品に使うハーブ選びも自らおこなう。「健康的なライフスタイルの提案」をミッションに掲げ、医師、薬剤師や各種のセラピストを招いたセミナー活動など精力的に活動している。 『からだの自然治癒力をひきだす「緑の医学」』や『メディカルハーブの事典』など多数の著書も出版。

薬を使わずに自然治癒力を高めるフィトセラピー

渡辺:そもそものお話になるのですが、フィトセラピー(植物療法)とは具体的にどういった治療なのでしょうか?

林さん:フィトセラピーというのは、植物の力を活用してこころと体の不調を改善する治療方法。僕らはこれを「緑の医学」って呼んでるんだけど。要は、茎や葉、根っことか植物のいろんな部位を使って免疫力を高めることだよね。僕ら人間にはもともと、自然治癒力といって、病気やけがを治す力が備わっている。その力を最大限に活かすのがフィトセラピーなんだよ。

渡辺:薬に頼らない自然の治療方法ということですね。

林さん:そうだね。薬を飲めば一時的な体調の改善は見込めるかもしれない。けど、薬を飲んでも根っこの部分が改善できるわけではないから、長期的に薬を飲み続けなければならなかったり、人によっては副作用が出たりして、どうしても体に負担がかかってしまう。

渡辺:子どものころ、怪我をして膝や腕に擦り傷ができてしまったとき、祖母が草っ原に生えているアロエをパキッと折って傷口に塗ってくれたことがありました。知らない間にかすり傷も治っていたりして、あれもフィトセラピーだったんですね。

林さん:そうだよ。患部に塗るのもそうだけどヨーロッパの医療現場でフィトセラピーは、薬と同等の存在として扱われてる。たとえば、アロマオイル(精油)を焚いたり、マッサージに使ったり、あるいはハーブを乾燥させてハーブティーとして飲んだり、さまざまな用法で取り入れられてるんだよ。

林さん:それと、僕らの身近なところで言えば、緑の多い公園や緑道を散歩したり、ハイキングをするのもフィトセラピーに入るよね。フィトセラピーって言葉で難しく考えてしまうだけであって、実はフィトセラピーというのは、気づいていないだけで僕らの生活に深く根付いているものだったりする。

渡辺:植物の香りで癒されたりストレスを和らげたり、体の内面と外面の両方にアプローチができるのがフィトセラピーなんですね。

これまで日本では、薬で治療するという考え方が一般的だったと思うのですが、漢方薬や鍼灸(しんきゅう)がWHO(世界保健機関)に認定されたことによって、治療方針も今後変わっていくかもしれませんね。

林さん:そうだね。数年前まではフィトセラピーの認知度は低かった。でも最近は、専門医師が監修した薬膳料理を提供するレストランやカフェ、メンタルケアを目的にアロマオイルを焚く薬局も増えているし。

一般の人の間でも、家庭菜園でハーブを育てたり、料理の味付けや薬味として使ったりすることが多くなってきた。そうやって、日常生活のさまざまな分野でハーブを活用する人が増えてきたのは、フィトセラピーの啓蒙活動をおこなっている身としては嬉しい限り。

フィトセラピーへの認知が低い日本

渡辺:今はこうして、日本でも医療現場でも一般でもハーブが取り入れられるようになりましたが、これまであまり認知されていなかったのはどうしてですか?

林さん:それは恐らく、そもそもフィトセラピーを治療の一環として取り入れる、という発想自体がなかったからだと思う。ハーブ先進国であるドイツでは、植物から抽出したエキスを生薬として治療に用いることが当たり前なんだけどね。

でも日本では、病気になったらまず最初に病院で医者に診てもらって、処方された薬を飲むか、薬局の市販薬を飲むかが普通じゃない?だからそもそも、ハーブで治療というのが結びつかないってことにも原因があるかもしれない。でも最近は、その流れもだいぶ変わってきているんじゃないかな。

渡辺:といいますと?

林さん:薬剤師や医療関係者の方から「薬は使わず、できれば自然のもので治したい」という患者さんが多い、という話をよく聞くようになった。薬の副作用で気持ち悪くなったりして、薬を飲むことがストレスに感じてしまう人もいる。

だけど、フィトセラピーは、ハーブを乾燥させてハーブティーとして飲んだり、湯船に精油を垂らしたり、日頃の生活に自然に取り入れられるから続けることへの精神的なストレスが少ないんだよね。それに、オイルを焚くと植物の香りで癒されるから、心身の健康にもつながる。

渡辺:薬を飲むストレスと言えば、特に女性は生理になると薬に頼ってしまいがちですね。生理で仕事を休むわけにもいかないから本当はあまり薬を飲みたくないんだけど、痛みを鎮めるためには薬に頼らざるを得ない。

林さん:そう。製薬は効き目が強い分、飲み続けているとどうしても体に負担がかかる。人によっては薬の副作用で気持ち悪くなってしまうこともあるし、気持ち悪いからまた薬に頼るという負のループになってしまったり……。だから、心療内科や精神科では、薬に頼らずフィトセラピーで治療するケースが少しずつ増えてきているみたいだよ。

ストレスを解消して健やかな心を育てる

渡辺:ストレス社会と言われている今の時代だからこそ、日本の医療現場でも積極的にフィトセラピーを取り入れようという動きが高まってきているんですね。

林さん:医薬品がダメなわけではない。けど、ストレスを抱えている患者さんのメンタルケアには、フィトセラピーが一番いいんじゃないかな。結局さ、ストレスっていうのは自覚がないだけで、知らず知らずのうちに溜まっていくものじゃない。だから、その日のストレスはその日のうちにちゃんと取り除いてあげることが一番大切なんだよね。

渡辺:私は三日坊主で終わることが多いんですが、フィトセラピーをうまく続ける方法ってありますか?

林さん:入り口として一番取り入れやすいのは、やっぱりハーブティー(ハーブを乾燥させたもの)。カップにティーパックを入れて熱湯を注ぐだけだから、速くて簡単。あと、部屋でアロマオイルを焚くのもいいし、好きな香りの精油を湯船にちょっと垂らして半身浴をするのもいい。一番重要なのは、無理なく続けられることだからね。

渡辺:気分がモヤモヤしたときとか、イライラしたときはどんな香りが効きますか?

林さん:柑橘系ならレモングラス、森林系ならヒノキ、メントール系ならペパーミントがいいよね。香りを嗅いでいるだけで不安な気持ちやイライラがスッキリするから。ハンカチに数滴垂らして持ち歩いたり、それこそ仕事の合間に深呼吸しながら香りを吸い込むのがいい。

繰り返しになるけど、日々ストレスは感じるわけじゃない。明日になれば、今日とは違うストレスがかかるから、何もせずに放っておいたら身体の健康度がどんどん落ちてしまう。

だからこそ、ハーブティー(ハーブを乾燥させたもの)を飲んだり、料理に使ったり、フィトセラピーを通して、昨日より今日、今日よりも明日を豊かにできるライフスタイルを提案していきたい。それが僕らの願いであり、一番大切にしていること。

まとめ

日本は諸外国に比べると、メディカルケアへの認知度や医療現場での普及が遅れていると言われています。フィトセラピー(植物療法)というのは、医薬品に頼らず植物の力を借りて、人が本来持っている自然治癒力を呼び覚ますことができるのです。

病は気からということわざがあるように、ストレスを溜めないことが真の健康につながるのではないでしょうか。

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