あなたの職場は大丈夫?‐最近の規制(主に薬局)‐

調剤薬局
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みなさん、こんにちは!

HOP!薬剤師でコラムを担当している薬剤師の「あっきー(仮)」です

いよいよ、2018年度の診療報酬改定を間近に控えて、各医療業界は様々な対策を講じているころだと思われます。しかし一方、2017年1月にハーボニー偽造事件を受けて、国もかつてない厳しい対応をとっているのをご存じでしょうか?

今回の事件を受けて対応が必要な内容があるので、各薬剤師の方に向けて確認の意味を込めた記事を執筆しました。

ハーボニー偽造事件について

2017年1月、患者さんが普段と見た目が違う薬を手に取ったところから始まります。患者さんは、薬局でもらった薬が偽造薬ではないと思ったそうですが、薬局に相談をしに行き、薬剤師も薬が偽物であることを把握することとなりました。結論として中身がビタミン剤とすり替えられていましたが、C型肝炎を治療しているのにも関わらず治療効果がでないとなると、国民の医療不信をあおる結果となってしまったことは否めません。 最終的には、流通の上流である卸売販売業者(のちに2業者廃業)・薬局の処分という前代未聞な事件となりました。高い薬(1錠 約5万)であること、ボトル調剤(中が見えない)であったことなどが狙われた要因であると推察されます。

現場では、様々な医療従事者が、一所懸命、昼夜問わず患者さんと向き合い、治療に尽力されていると思いますが、このような事件が起きると実に残念な気持ちになります。

ハーボニー偽造事件以降、日本では発見されていませんが、中国にてベムリディ(B型肝炎治療薬)の偽造品(日本語ラベル)が発見されたこともご存じでしょうか?一般的に、日本で流通している医薬品は品質が良いとされており、インバウンド効果にて諸外国の方々も医薬品などの購入をするために来日される方々もいらっしゃると聞いています。そのため、医薬品マーケットは、逆に他の業種に比べて利益幅も大きいので狙いやすいのかもしれません。

⇒ベムリディ資料

最近の違反状況

それでは、最近どのぐらい違反事例があるのでしょうか?別表(エクセル参照)をご覧ください。ここ5年ほどで、厚生労働省にて公表されている案件としておよそ20件程となっています。製薬会社からクリニック、薬局まで様々な業態で処分が公表されています。最近のトレンドとして、再生医療等製品の処分が多いことが挙げられていますが、再生医療等製品も今後どうなっていくのか動向に注目が必要です。参考までに東京都での処分内容も公表しておきます。

違反事例・処分内容まとめ⇒

ここでお話ししたい内容としては、大きく二つあります。

①年々、医療業界の規制も厳しくなっており、社名(社長名含む)や処分内容も公表

②業務停止・廃業のような経営に少なからずも影響する処分も出ており、未然に防ぐ対応が必要

医療業界のトレンドとして、何か事件が起きてから規制が強化されるのが一般的ですので、今一度自分の職場を見渡して問題ないかチェックをして頂きたいです。今後、処分を受ける管理薬剤師名も出る可能性があると考えています。

最近の規制通知

最近、国から発出された通知類はどれぐらいあるか?という話になりますが、以下の通りです。

ざっと調べただけでもこれだけの通知が発出されています。いかに偽造薬事件の反響が大きく、また国を挙げて対策をしていることがご理解いただけるでしょう。今後、この通知を踏まえて、保健所や都道府県薬務課などが、各医療機関・関係団体を確認・指導を行うことはもはや避けられないと考えます。各医療機関・関係団体においては、しっかり対応しなければ指導を受ける可能性が高いため注意する必要があります。企業や大手調剤薬局、ドラッグストアなどは組織で対応されているとは思いますが、中小企業、個人商店のような小さいところでは情報が疎くなると思われます。地域の薬剤師会から情報を得ていると思いますが、今一度、今回起きた事件の重大さを認識していただきたいです。

対応について

対応としては、以下の項目を行ってもらいたいです。別途、下記に追加コメントを記載します。

なお、薬局、店舗販売業者、配置販売業者、卸売販売業者によって対応が若干異なるため、上記「3.最近の規制通知 ③」を見て対応していただきたいです。ここでは薬局向けの対応を一例として挙げます。

①書面事項の追加(医薬品の譲受時及び譲渡時の書面記載事項)

品名
・ロット番号(ロットを構成しない医薬品については製造番号又は製造記号)(体外診断用医薬品を除く)
・使用の期限(体外診断用医薬品を除く)
数量
・購入若しくは譲受け又は販売若しくは授与(以下「購入等」という。)の年月日
・購入者等の氏名又は名称、住所又は所在地、及び電話番号その他の連絡先
・⑥の事項を確認するために提示を受けた資料
・医薬品の取引の任に当たる自然人が、購入者等と雇用関係にあること又は購入者等から取引の指示を受けたことを表す資料

②医薬品に施された封を開封して分割販売する者の記録義務に係る規定

・分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う薬局、店舗又は営業所の名称及び所在地を記載
・上記1以外に、その直接の容器又は直接の被包に「調剤専用」の文字を追加

③業務手順書の整備

・医薬品の譲受時は、納品された製品が正しいこと、目視できるような損傷を受けていないことなどを確認すること。
・偽造医薬品の混入や開封済みの医薬品の返品を防ぐための、返品の際の取扱い。
貯蔵設備に立ち入ることができる者の範囲と立ち入る際の方法。
・医薬品の譲渡時は、全ての供給品において、「上記① 1~8」でに掲げる事項等
(一般用医薬品等については、同2及び3において掲げる事項を除く。)を記載した文書(例えば、納品書)を同封すること。
・製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く。)には、医薬品の容器等に、当該分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う薬局の名称及び所在地を記載すること。
・患者等に対して販売包装単位で調剤を行う場合には、調剤された薬剤が再度流通することがないよう、外観から調剤済みと分かるような措置を講じること。
・偽造医薬品や品質に疑念のある医薬品を発見した際の具体的な手順(仕入れの経緯の確認、販売・輸送の中断、隔離、行政機関への報告等)。
・その他、偽造医薬品の流通防止に向け、医薬品の取引状況の継続的な確認や自己点検の実施等。
・購入者等の適切性の確認や返品された医薬品の取扱いに係る最終的な判断等、管理者の責任において行う業務の範囲。

④従事者に対する研修

薬局等の従事者に対する研修の実施に際しては、偽造医薬品の流通防止のために必要な各種対応に係る内容を含むこと。

⑤薬局等の管理に関する帳簿の記載事項

薬局等の管理に関する帳簿の記載事項として、在庫の異常に係る調査結果及び廃棄した医薬品に係る記録を含むこと。

コメント

以上、全般的な対策としては手順書の修正・従業員教育(偽造薬関係)の記録・在庫入力廃棄などの記録と考えられます。

出入庫の記録(廃棄含む)類については、今のレセコンなどに入力をしているのであればおおむね対応できると思いますが、入力をしていない薬局については何かしらの記録が必要になるので対策が必要となります。

また、業務手順書においては、各関連団体で配布しているものもしくは独自で作成されて設置されていると思いますが、上記の項目・内容を追加しておく必要があります。現在、薬剤師会や関連団体などで今回の対応している手順書モデルでる動きがありますが、通知の施行が2018年1月31日のため早急に対応された方が良いと思われます。

もし、対応に悩まれているようであれば、可能な限りアドバイスをいたしますので声をかけていただきたいです。ただ、筆者は行政ではないので対策に対しての責任ははとれませんので、そちらはご了承下さい。

まとめ

筆者が現場にいた時もそうでありましたが、薬局やドラッグストアなどで業務を行っているときは、このような国の情報は疎かったり、どうしていいのか対応に困ることが日常茶飯事でした。しかし、医療業界はより規制強化すると考えています。

理由としていくつか考えられますが、

  1. 薬局・ドラッグストアが急激に増えたことによる質の低下
  2. 薬剤師不足による質の低下
  3. 他業種の参入による医療業界構造の変化

などがあげられます。アメリカやEUなどではそれぞれ独自の規制があり、薬剤師の地位も高い分だけ要求されることが多いですが、日本はまだそこまで対応できていません。国も国民の健康を守り、一定レベルの医療水準を要求するため、指導もより強化されることでしょう。

余談ですが、2018年1月18日に日本医療政策機構より、2017年の「日本の医療に関する世論調査」結果を公表されています。世論調査2017_報告書。この中で、医療機関の患者サービスの満足度について、薬剤師の対応に関する満足度は39.1%と医師や看護師の対応に比べて低いという結果になっています。インターネット調査ですが、20歳以上の男女1000人を対象として行っています。国民からも薬剤師の満足度が高いとは言えず、偽造事件などを受け、一層風当たりも強くなっています。今一度、照顧脚下(しょうこきゃっか)してもらい、現状を踏まえて今後どのように振る舞っていくかを真剣に考えていただきたいです。

また、少しでも行政対策をしたい方については、以下に追加リンク先を掲示しますのでご一読下さい。行政対応においては、主に管理薬剤師が対応するため、いやな思いをすることが少なくありません。今回の記事を機に何かしらのアクションを起こしてほしいと切に願っています。

(参考)

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また、行政の査察があった際には、どのような内容があったかなど教えていただけると筆者としても大変助かりますし、それをここで発信することによって多くの薬剤師が参考になると信じています。

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「あっきー(仮)」

企業勤務、病院、保険薬局など幅広く経験がある。獲得した資格も30を超えているが、激動な社会で生き残るために歌って踊ってトークのできる薬剤師を目指し、現在も幅広くスキルアップを実施中!趣味は食べ歩き。ただ、困っている人を見ると助けずにはいられないというかなり痛い性格も持っている。

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