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茶髪を黒髪に!スカートの丈を長く!大量の画像処理を依頼された学校の仕事

職業:グラフィックデザイナー
困った依頼:学校の会報

とある私立の高校の会報。いわゆる親の会が発行している、写真満載の新聞のような印刷物のデザインを担当することになりました。

デザイン担当の私と、写真の処理などのアシスタントの後輩2人で作ることになりました。先方は学校の保護者で作る会報委員のおばさま3人。

この方々の要求がとんでもないものばかりで、何度もくじけそうになりました。

パソコンがあれば何でもできるという勘違いから来る無茶な要求

学校の会報なんてほとんど形が決まっています。しかし、個性的なものにしたい!という強い要望で、表紙のデザインは生徒の学校生活写真をコラージュした凝ったものにすることに。

にぎやかで見ていて楽しく、手間はかかっても見応えのある仕上がりになるだろうと、写真の補正、スキャニング、バランスをとってコラージュと、面倒な作業ばかりでしたがスタッフ一堂頑張ったと思います。

しかし仕上がったデザインのチェックをお見せしに行くと、どんどん非常識な要求が出てくるのです。

「女子高生のスカートが短くて風紀が乱れて見えるじゃないの!なんとかしてよ!」
え?なんとかしてって、今更ですか?

写真の撮り直し、作業やり直しなどの覚悟をしましたが、どうやらそういうことではなく・・・「写真を画像処理して、スカートを伸ばせ!」という要求だったのです。

私たちのようなパソコンを駆使する仕事では過剰な期待をされることもありますが、「よくテレビでやってるじゃない?パソコンでパパッと出来るんでしょ、お願いね。」いやいや、パパっとは出来ませんって!

雑誌や広告の修正のことをいっているのでしょうが、あれって何時間かけて、どれだけ費用をかけてらやっているか。それを、予算の少ない学校の会報ですべての写真でやれと言われても困ります。

写真に写っていない部分の再現まで要求される始末

そしてさらに耳を疑った要求は、ある行事の写真にりついてのクレームでした。文化祭の写真だったと思うのですが、生徒が合唱をしている写真を修正してほしいとのこと。

「3Dとかパソコンでできるんでしょ?ぐるーっとまわしてよ!」

最初、なんのことを言っているのかさっぱり理解できなかったのですが、どうやら、写真の撮影位置自体の角度を変えて欲しい!とのことでした。

つまり・・・

「役員の娘さんがこのあたり(写真の外)にいたはずなのに写っていない。今流行りの3Dとかなんとかで、ぐるーっと角度を変えれば、ここにいた生徒も写真にうつるわよね?だから役員の娘さんがちゃんと写るように直しておいてほしいのよ。」

・・・はい?

写真には、その娘さんとやらは一切写っていません。写っていないものを出現させろ、というのは、もちろんどんなに頑張っても不可能です。

「あら、腕がないのね」

という問題ではありません。

「パソコンの3Dでカメラをこっちへ振ってくれるだけでいいの!簡単でしょ!」

と連呼されましたが・・・それが可能なら大発明です。

何度も説明して、やっと分かっていただきましたが、最後の最後まで、

「だってテレビで見たのに…」

「パソコン持ってるくせに…」

とブツブツ言ってみえました。

専門知識がない方が技術に過剰な期待をされることは良くありますが、そんなSFのようなことまで要求され、しかも理解してもらえないのは、かなりの体力を消耗しました。

大量に画像を処理した結果、かなり不自然な仕上がりになったが・・・

結局その写真の件はあきらめていただきましたが、生徒のスカートの長さ、だらしないズボンの履き方、茶髪…など、本来生徒指導で直して欲しいところを、すべて画像処理で修正することになり・・・深夜までスタッフ全員で、ひたすらスカートを膝丈に伸ばす作業に追われました。

丁寧に作業はしましたが、やはり無理矢理修正した写真は不自然でヘンテコなものになりましたが、保護者の皆さんは大絶賛。勝手にスカートや髪の色を直された生徒さんは、どんなリアクションだったのか気になります。

無知なお客様にも丁寧な説明と対応を心掛けていますが、この一件はさすがに笑顔が引きつってしまいそうになる経験でした。