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政治家の希望で「ライブ感」「身近さ」がまったく見られないWEBサイトを納品

職業:WEBデザイナー
困った依頼:政治活動家のPRサイト開発 

とある事務所からの依頼で、ある政治関連の活動をされている方のウェブサイト制作プロジェクトの立ち上げに参加しました。

ある著名人の個人事務所がクライアント

クライアントが特定されると困りますのではっきりとは言えないのですが、誰でも知っている著名人の個人事務所で、規模としてはさほど大きなものではありません。昔ながらの、全体を血縁関係のある者でがっちりと固めたような小規模の組織でした。ある意味、間違いのない、強固な組織といえるでしょう。

しかしコレが取引先、さらにWEBデザインについてのやり取り、となるとまた話は別です。先方も私たちを宇宙人かなにかと思っていたようですが、まさかこれほど苦労するとは・・・。

今では著名人どころか一般個人でも自身のホームページやブログを持ち、情報発信するのが当たり前になってきていますよね。そして、その活用次第で人気が爆発的に上がったり、逆に大炎上してしまったり・・・。

そんな、非常に影響力のあるツールだからこそ、専門分野の私たちにとっては特に力を入れて構築したいもの。プロジェクトには特に力のあるスタッフばかりを3名選抜し、専任ライターも1名付けました。

何度も社内で事前ミーティングを重ねてから打ち合わせへ

事前にいただいた膨大な資料、著書をじっくり読み込んだ上に、先方の「新しい支持層に響くものを」というたっての希望から、その方の理念や方針をどのようにアウトプットすれば対象となる人に響くものになるか、社内で何度も事前ミーティングを開いて、素案を練り上げました。そしていざ、先方との打ち合わせへ。

クライアントの担当者は30代前半から50代まで複数いたのですが、事務所の方針なのでしょう、どなたも何しろ確実な道を行きたい保守的なお相手、といった印象でした。そこで我々も、まずは斬新なプランよりも、ということで、動画やブログの掲載、SNSとの連動など、特に目新しいわけではない既存のツールの導入からお勧めすることにしました。

取り入れた際のメリットは、すでに実績があり、プレビュー数も人気も影響力もあるサイトを例にして、懇切丁寧にご説明しました。特に30代の先方担当者からは非常に反応もよく、興味を持って聞いていただけた様子だったので、こちらとしては当たり前感はあったものの、手ごたえ十分。

動画やSNS活用を否定

提案は一旦持ち帰っていただきつつ、私たちも次のステップのプレゼンテーションへ動いていたのですが、後日の「動画は本人がくち下手で苦手なもので。」「SNSは新しすぎてちょっと。」のお返事に、プロジェクトチーム一同、唖然。おそらく持ち帰ったあとに、いろんな方に反対されたのでしょう、若手の担当者の表情には疲労の色が見え隠れしていました。

こうなるとそもそも、どんな手段で、何を訴えたくてWEBサイトの再構築などという話が先方で持ち上がったのか、まったくわかりません(この若手担当者の旗振りのみで始まった企画、というわけでもなさそうでしたので)。くち下手だからこそ、文字で表現するのでは。いや、その前にそんな非社交的な活動家で大丈夫なのか、心配になってしまうほど。

新しいものを要望する割に受け入れてもらえず

それからも担当者が入れ替わり立ち替わりやってきては、「持ち帰って協議します。」と慎重な姿勢は変わらず、具体的な希望を聞いても「なにか新しいものを。」と伝えてくる割には、なかなか受け入れてもらえず、「やっぱりダメでした。」の堂々巡りが続く日々。

また、片方の担当者に伝えて協議してもらっていたはずのことが、まったく伝わっていないことも多々。先方の規模が巨大ではないので、柔軟性やフットワークの軽さ、情報の共有の正確さを期待していたのですが、ここも大きく当てが外れた点でした。

わが社のプロジェクトチームが得意とするのは、表面的なWEB構築だけではなく内容面にも深く突っ込んで幅広い世代にアピールできるサイトです。当初は、「そこを期待しています!」の言葉と共に依頼していただいたはずだったのに・・・。

何も決まらないまま二ヶ月が経過

具体的なことがはっきり決まらないまま、始動から二ヶ月が経過。変わったことといえば私たちプロジェクトメンバーが、その方の理念や過去の活動、地盤とする地域の情報について異常なほど詳しくなった、というだけでしょうか。これも一種の政治の広報活動かもしれません、笑。

終始この調子なので、一進一退で半年が経過し、提案デザイン数とコンテンツ内容だけが膨大な数に・・・。最終的には政局が急激に変化したことから、形はともかく急ぎでサイトをUPする必要が発生。クライアントの意向を丸呑みした構成となり、中でも先方たっての希望で、定期更新されるコンテンツや写真の掲載を極力省いた結果、「ライブ感」「身近さ」がまったく見られないWEBサイトを納品することとなりました。

結局改良ポイントを多数残しつつ納品

私たちは全員一致で納得がいかない、化石の再展示のような内容(失礼・・・)となってしまいましたが、これが先方の望んだ理想の形なのだから、と泣く泣く我慢。改良ポイントはたくさんあったのに、なんともいえない気持ちを抱えたまま、社内プロジェクトは解散しました。

将来的に万が一リニューアル依頼がきても、おそらく関わることはないでしょう。もしくは、コンビニの惣菜をパッケージを変えて詰め替えるだけ、のような仕事にもやりがいを感じられる人には向いているかもしれません。