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200万円強の利益を見込んでいたノベルティ生産が、最終的には70万円の赤字に

職業:アパレルの企画、デザイン
困った依頼:ある企業のノベルティ生産の依頼 

付き合いのあるメーカーから来た話ですが、ある大手企業のノベルティのバッグ製作に関わった頃のことです。

その企業は音楽関係の機材を扱う会社で、ことあるごとにイベントに合わせたノベルティをそのメーカーに依頼してくるのですが、メーカーは衣料、その内のカットソーを中心に請け負っているので全てを網羅しているわけではありません。

私がフリーランスで幅広いジャンルの依頼を受けていたので、バッグの製作を頼みたいというのが先方の意向でした。

企画デザインのみのはずが、納品までを受注

内容はテーマに合った企画、デザインを数型、最初はそれだけで企画料を頂けるという話だったのですが、途中でアテにしていた生産背景が使えないので納品までお願いしたいということになりました。

確かに衣料と雑貨は工場が全く異なることが多いので、こちらで探すことにしましたが、予算を聞くとそれほど余裕があるわけではなかったので国内生産では利益を出すのが難しいという判断になりました。

振り屋を挟まずに直接発注

普段は企画デザインまでですので、私が持ち出すお金はほとんど掛からないのですが、今回は納品して始めて引き取ってくれる条件ですので事前に支払いが発生します。

できれば国内で安心したやり取りができるのが望ましいと思いましたが、それをやってしまうと利益がほとんどないため、海外の低コストで生産することにしました。普段なら一軒フリヤを間に挟んで進めるのですが、その時は少しでも売り上げが欲しいと思っていた時期だったので、直接やり取りすることにしました。

今思えば安易に受けるような仕事ではなかったのですが、その当時は他の仕事での売り上げが下降気味だったということが冷静な判断を鈍らせたのだと思います。

最低100万円は儲かると読んでいた

クライアントは誰でも聞けばわかるぐらいの大手ですし、発注数は約一万点、単純に100円抜ければいいやという感覚ですが、一回納品で100万儲かるわけですから簡単に断るのも勿体なかったですし、もう少し工場が抑えてくれればもっと利益が出ると踏んでいました。

企画に関してはある程度簡単に通ったので、後は納期を守って納品できるかどうかまでは漕ぎ着けました。担当はカットソーメーカーのスタッフで付き合いがありましたし、やり取りは慣れていましたので話はしやすかったと思います。

ただしバッグの知識はほとんどないメーカーであり担当者ですので、企画に関しては実質私一人で1から10までやらなくてはなりませんでした。企画が通ってから2ヶ月で生産の予定でしたので、工場背景の確保が出来ていればまず問題はない日程でした。

もちろん企画を通すまで3ヶ月掛けてますのでトータルで約5ヶ月の仕事になります。3ヶ月掛けたとは言ってもデザインは少ない型数で済みましたし、ノベルティですので一つ一つのコストがそれほど掛けられるわけでもありません。

企画自体は至ってノーマルな範疇です。材料が無事に手配できさえすれば、後は縫製の段階でのコントロールができるどうかにだけ神経を使えばいいので、とにかくそこまでは進めておきたかったのです。

素材手配が間に合わない!

ところが問題発生は結構早い段階で起こりました。素材の手配が間に合わないのです。バッグの企画をやったことがある方ならわかると思いますが、ほんの少しの厚みが違うだけでまったく別ものになってしまいます。

それを解消するにはボンディングなどの貼り合わせが必要になるのですが、手に入る厚みの生地ではボンディングの仕方も変える必要が出てきました。加工場ですぐできれば楽なのですが、どういうわけかその加工場では扱えないとの返事が来ました。

そこでできるのは二つに一つ、他の加工場を見つけるか、素材自体を探し出すかでした。最終的には日本での素材手配ということになりましたが、当然材料費が大きく違ってくるうえに中国に送る費用も余分に掛かります。

計算すると約50円ほどの赤字になりました。ということは50円×一万点の赤字です。つまり50万円ただ損をするために生産をしなければならないというバカバカしい仕事になってしまったわけです。約半年弱掛けて何のために動いてきたのか、ただ脱力感だけが残ってしまいました。

結局は70万円ほどのマイナスに

しかも日本に届いてから再度念入りに検品をしなければならないということを後で知らされます。それまでは業者に任せていたのでうっかりしていたのですが、中国での検品に加えて国内での検品し直し、確かによく聞く話ではありました。

ましてやアパレルや雑貨メーカーの商材ではなく、大手の別業種の会社だけに余計に融通が利くこともありえません。結局はトータルで70万ほどのマイナスになってしまいました。上手くいけば200万強の利益がと見込んでいた仕事が、終わってみれば70万の赤字、もう2度と自分で海外生産をやることはないだろうと思いました。

それどころか、自分の資金を持ち出すのも後々は怖くなってしまい、それからの仕事は間を挟むか、あくまで企画とデザインまでの契約にすることにしました。確かに直接やれば儲けも大きいのは確かですが、商社のような環境でないと難しく感じました。