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バナー製作の仕事以外に何でもやらされる。求人の嘘に気づき辛い毎日

職業:WEBディレクター
困った依頼:スマートフォンサイトのデザイン 

契約社員としてある会社に入社した話です。その会社はもともとWEB制作の会社ではありませんでした。私もWEBデザイン職としての応募ではなく、その会社の仕事内容に興味があり、求人に応募しただけだったのです。

ただ、会社の親会社がWEB制作で上場している会社でした。私はWEBデザインの経験はディレクターとして少しだけ経験したことはありますが、本職としてはデザインよりもプログラミング寄りのスキルを持っていました。入社して1週間ぐらいは何事もなく平穏に過ごせておりました。

偽装請負ではないのだろうか?

しかし、親会社からWEBデザインの仕事を依頼されたのです。それからは、180度、環境が変わりました。親会社に出向し、ほぼ客先常駐の形態で働くことになったのです。

正規雇用ではない人間が他の会社に出向してもいいのか、これは偽装請負なんじゃないのか、と疑問を持っておりましたが、ここで揉めて仕事をなくしても仕方ないし、長期的なものではないだろうと浅く考えておりました。それが間違いだったのです。

出向先の親会社ではそのWEBサイトに関わることはなんでもやらされました。WEBデザインからバナー制作、SEO対策に、サイト分析、ユーザー動向、コンテンツの制作、システムの改修などです。

せめて構成案を出してほしいとクライアントにお願いすると、会社の社長から電話がかかってきて「自分のキャッチアップ能力の低さをクライアントのせいにするとは何事だ?仕事できないのを他人のせいにするのか?」と怒られました。当時の私は、残業続きで土日も在宅残業の日々、かなりストレスがたまっておりました。

工数確認を上司に依頼するも・・・

それで「そうは言いますが、私の工数を提出しているはずです。平均的な工数で妥当な数字の筈です。工数を踏まえたうえで仕事を受注してください。ページ1枚に、デザイン、素材制作、ブラウザ対応チェック、リンクチェックで少なくとも1時間から2時間の工数はとってください。それでも少ない方です。」と答えました。

すると、「バナー制作なんて5分でできる。ページなんて他のサイトをコピればすぐ終わる。お前はそんなことも分からないのか!」と言われました。この会社の考え方がおかしい、これは下手なことをすると訴えられて、すべての責任を私にかぶせてくると思いました。

その場は「分かりました。」とだけ答え、ほぼ徹夜で受注案件を対応しました。そしたら、その後、「ほら出来る。言い訳は二度とすんなよ。」と社長に言われました。

それでも案件は減ることはありません。今度はJavascriptでアプリを作れとかチラシを作成しろと要望が来ます。クライアントは定時で帰っていき、子会社から出向している私だけが親会社のオフィスに残る日々が続きました。

ストレスはもう限界まで達しており、仕事はどうでもよくわざと出来の悪いものを提出しました。下手にいいものを作ると引き留められてしまうと感じたのと、単純に工数が足りなかったためです。

出向契約書を確認して唖然

どういった契約で私が出向しているのか、それを確認したいと考え、会社の人間に頼み込んで、親会社と結んでいる契約書を確認させてもらいました。そこには見積もりとはいえない内容が記載されていました。

「このWEBサイトに関連するすべての業務を下記料金で引き受けます」といった文書のみ。その下に金額が書いてあるだけでした。しかし、実際はサイト以外の雑用も押し付けられております。

そのことを苦情として伝えたところ、社長からは「断らないお前が悪い」と言われ、「何度も断っても社長が承諾するんじゃないですか」と答えたら、机を蹴ってタバコを吸いに行きました。怒りよりは、すでにこの会社から逃げ出すことしか考えてませんでした。

もう私の中では辞める決心は固まっており、後日、「次の契約は更新しません。」と伝えました。「根性なし」「お前を雇うのにいくら使ったと思ってんだ。」「ふざけやがって!」などさんざん言われましたが、辞めることを一切譲らなかったので社長は諦めて何も言わなくなりました。

しかし、次の後任が決まってない。それまでは続けてほしいと何度も言われ、しかたなくずるずると延長してしましましたが、なんとか後任におしつけて辞めることが出来ました。

後任の人間には悪いことをしたとは思ってますが、後任の人間はIT業界が初めての人間だったので仕方ない、ここがITの世界だから勉強しとけ、と割り切ってめでたく退社しました。

IT業界は上流工程ほどリテラシーが低い

IT業界ではよくあることらしいですが、私はそれまで上流工程の元請けで働いていたことが多く、子請け、孫請けは初めてでした。現状を知らなかったのです。

過去に関わった制作会社の人間に尋ねてみると、やはりその会社はおかしいと、しかしITリテラシーのない人間がWEB制作に乗り出すケースはけっこうある、そういう会社にひっかかったら正規雇用じゃないなら逃げた方がいいとアドバイスを受けました。

IT会社は新興業界というのも、労働環境の悪い原因のひとつなのですが、上流工程に行くにつれて、リテラシーが低くなっていくという知識の逆ピラミッドの構図がその原因大きい理由のひとつです。

元請の人間はITのことは何も知らないが、値段だけは下げてくる。子請けの会社の営業は、自分がやらないからどんな条件でも受領する。その結果、デザイナーやプログラマーだけに負担がかかる。

このスパイラルから抜け出せない限り、日本からGoogleやTwitterのようなサービスは決して生まれません。断言できます。IT業界は、労働者を使い捨てにする経営者を駆逐しない限り未来はありません。