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担当したポスターデザインがwebに無断で転用されてしまっていた

職業:フリーデザイナー
困った依頼:DTPや商業デザインなど 

フリーデザイナーとして案件を募集しているとわりと、いや結構な確率で妙な案件に当たることもしばしばある。

そのときの依頼はポスター製作をお願いしたいと人づてに聞いて、スカイプでのやりとりでファーストミーティングをした。便利なもので顔も合わせることなくさらに通話料は無料、最近は大きな企業でさえスカイプを使って仕事の指示を出したりすると聞き驚いたのが記憶に新しい。

さてどんなクライアントかなと、スカイプ通話で挨拶をした。若めの女性であったが、紹介してくれた人の情報によると30代半ばといったところであるそうだった。

スカイプミーティングでポスターデザインを受注

まずは依頼をざっくりとした感じで聞き出すと、ポスターとできたらスマートフォンケースのデザイン案もいただきたい、とのこと。

ポスターは実店舗のある個人の雑貨店とさらにその個人が管理するwebページのバナーにも一部流用できるようなものがベターなようだったが、ロゴ部分ならまだしもDTPのものをwebパーツとして使用するのは個人的にはあまりよしとしていないところがあったので、少し悩んだ。

別々に作るともちろんその分の依頼料金がかかると、前述を含めてクライアントに説明をした。クライアントはじゃあひとまずポスターデザインのみでかまわないと言われたので、その日のスカイプはそこで終了となった。

次の日もまたスカイプでの通話打ち合わせをした。この日は前日に聞き出していた方向性をもとに、ポスターに使う色は何色にするのか、メインカラーとサブカラー、また写真素材やロゴの受け渡し、ポスターの配置などかなり詳細な部分まで詰めることができ、ミーティングしながらも完成図が頭の中に浮かんでくるようだった。

スカイプでの打ち合わせ中にも紙に書いたラフ案をスキャンしたものを画像データとして渡し、いくつか見せてみた。3つほどラフ案を渡してみたがそのなかでも一番反応の良かったものがあったので、その日のスカイプ通話が終わった後にさっそくフォトショップとイラストレーターでラフ案をもとにポスターを作っていく。

今回の案件は現地に足を運ぶことなく写真やロゴなどの素材が全て集まっているため、交通費もかからずまた拘束される時間がなかったためかなりスムーズな案件といっていいだろう。

クライアントからの修正案対応準備が大切

ここまで順調だと途中でなんだか不安になってくるのだが、その不安は後に的中することになる。大体のクライアントが出すものがあるがそれは「修正案」である。やはりこのクライアントも修正案を出してきたのだ。しかしそれは予想の範囲内で、驚きこそしなかったもののやっぱりか…と思ってしまう。

かくしてクライアントの修正案攻撃を予想していた私は、ポスターデザインを製作するときに基本のことではあるだろうが素材配置のレイヤーを全て分け、表示と非表示を切り替えるだけで最初に出したラフ案のほかの案のものになるように、また配置の調節ができるようにしておいたのだ。

こうしておくことによって急な変更にもすぐ対応することができるし、クライアントによっては自分で配置作業を行いたいと言ってくる案件もあるのでそういう場合にはかなり有効な手段だ。ただ基本的にほすべてきっちりと作成したものを提出することにしている。
今回の案件は訂正が数度入ったが、最終的には結局一番最初に出していたラフ案のもので決定し、いくつか出した修正案は徒労に終わった。

しかし徒労といっても先に出たように表示・非表示を切り替えるだけのものであったし、なによりどんなクライアントも必ずと言っていいほど1度は修正を要求してくるものだ、とでも思っておかないと精神的にだんだんつらくなるのでめげないための精神的クッションである。むろん1発できれいに決まる案件もあるが、そのほうが稀なことで大変にラッキーなのである。

ポスターデザインがwebにそのまま使われていた

で、数度で決まったような比較的ラッキーな案件だったが、無事に納品を終え、数週間後になにげなくそのクライアントのホームページを目にすることがあったのだが、そこで私はアッと驚くことになった。

なんとそのwebページは私が作成したポスターのそのままのデザインで作られていたのである。ボタンやアイコン、フッターこそ御自分で作られたのかはたまたどこかに依頼したのかは分からなかったが、ページそのものがあのポスターのデザインだったのである。

こういう場合、webにも使用することを契約の段階でやり取りするのであるがまったくの、いわばだまし討ち状態でなんともいえない気持ちになったのである。

結局気は進まなかったが連絡を入れてきちんと契約整理をし、そこもスムーズに進んだのでよかったが依頼内容に関してのどこまでしていいのかという範囲がきちんと理解されていないことがわりと毎回身にしみる。今回のことでこのやり取りの時間も含めて、結局まるまる4、5日の時間を費やしたように思う。

あのまま私がwebページの存在に気づいていなければどうなっていたことかと思うとげんなりする。そんな案件だった。しかしまだこれはスムーズに進んだほうであるとご理解いただきたい。